甘い毒に蕩かされる

最新話まで追いついたので書きます。

転生先は女誑しの天才画家を父に持つ娘。まだ15にもならない子どもです。

一見するとインパクト絶大、どんな父親だよと突っ込まずにいられない笑える展開が待ち受けているだろうと思うでしょう。実際に笑える展開が多いのは事実です。

しかし、本質は別のところにあります。主に2つ。明暗で例えるのなら、明に当たるのが画の描写です。

文章で表現されているはずなのに、目の前にその画が存在しているように感じられます。それだけでなく、細かい技法なども丁寧に描写されており、気迫に圧倒されます。

そして、暗に当たるところが向けられる強すぎる愛情。
最初こそ溺愛ぶりを笑って読めるのですが、少しずつ軋んでいるように感じてきます。ネタバレになるので詳しいことは書けませんが、油のように染み込んでくる感じもまた形容し難い美しさがあります。

毒は薬にもなる。しかし、間違えれば人を殺す毒になる。

ファタールは致死量の毒か。否か。

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