怪奇譚集「落日」

　日が短くなりつつあるとき、夕暮れというのは何やら怪異というものと出会うものらしい。暗すぎず明るすぎず、曖昧なものに人は恐怖をおぼえる。

　そんな境目で起きる話をまとめようと思い立った。人が本能的に恐怖を感じる時間、そこで何を感じるかは分からないが、そのような時期には怪異が時に降りてくる、所謂逢魔が時というやつだ。
　その曖昧な時間に見えるか見えないか、存在するかしないか、聞こえるか聞こえないか、五感がはっきりしない中恐怖体験をしたときそれを気のせいと感じるか、体験したと確信するか、はっきりしない時間を体験していただけると書いた甲斐があるだろう。
　それでは、一時の奇妙な体験たちを初めて行くとしよう。