いまはむかし、かの美しき樹は恋をしました

お聞きください、葉擦れの音を。それはきっと、彼女の囁き声に違いありません。
あなたも、立ち止まって耳をすませてみてくださいまし。

この桜は、心を持ち、あるお方と出会い、そして名を賜ったのでございます。
そのお力もあるのでしょうか。

あの苦しみの時を抜け、あまたの命落ちたのちも、彼女は想い続けておりました。
かようなことを奇跡と言わずなんと呼びましょう。
どうぞ耳を澄ましてみてくださいまし。

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