第9話
翌日。学校帰りの美保奈はなんとなく神社をのぞいていた。
『……夢を見ただけなのに、何やってるんだろ』
美保奈は自嘲的な笑みを浮かべ、踵を返して家路につこうとした。そんな美保奈の目の前に、いつの間にか眼帯の男が立っていた。驚いて転びそうになる美保奈を支え、眼帯の男は柔らかく微笑む。
「よく来たな。お前よ」
眼帯の男は美保奈の手を取るといずこかに歩き出そうとする。
「行こう。歓迎する」
「ま、まって。私はその。ただ覗いてただけで……」
「ん?」
突然の歓待に断りの意を伝えようとする美保奈だったが、眼帯の男の顔を見ると言葉に詰まってしまった。眼帯の男はまるで子供のように無垢な笑顔をしていた。
「……いえ、なんでも、ない……です」
美保奈は、眼帯の男についていってみることにした。眼帯の男がまとう悲しみの雰囲気が和らいでいることに美保奈は何故だか安堵し、幸福も感じたのだ。
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