第4話

春宵神社の参道は満開の桜並木で彩られていた。食べ物や雑貨の屋台が所狭しと並んでいる。境内は子どもや学生、カップルなどの祭客でにぎわっていた。美保奈は桜を見上げて思わず声を上げる。


「きれいだなあ……」


 美保奈の頭に桜の花びらが一片落ちてきた。美保奈はその花びらを取ると、そっと鞄にしまった。




 粗方屋台を回り終えた美保奈はベンチに座ってわたあめを食べていた。それも食べ終えると、美保奈は参道へと目を向ける。雲の影が道へ落ち、暗くなっていた。立ち上がった美保奈はパタパタと身支度を整えた。


『はやく帰らなきゃ』


 ベンチ横のごみ箱にわたあめの串を捨てると、美保奈は早足で参道へと歩いていく。風に煽られた木々がざわざわと音をたてた。

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