妖精王子は帰してくれない

プロローグ
　会社員の矢崎周平はある日、大学生の義甥アオに告白されたが、妻帯者である周平は彼を拒絶した。その後妻が浮気したことにより周平は離婚し、ひとり灰色の日常を送っていた。
１～３
　一年後、周平は公園で迷い犬らしき柴犬と出会う。犬は離婚前に飼っていた犬とそっくりだった。周平は犬を追いかけ、異世界に迷い込む。
　この世界は中世ヨーロッパに似ているが、心理学の学術書や「妖精王子プーカ」について書かれた絵本など、日本語の本もあった。
　柴犬の正体はプーカだった。この世界は夢の世界だという。女神の娘をたぶらかした冤罪を晴らすため、プーカは周平に恋人のふりをするよう強要する。彼は現実世界でアオの肉体を乗っ取っていたと告げる。
　離婚前にアオと肉体関係を持っていたという偽物の記憶を植え付けられた周…続きを読む