第8話 ずっといっしょだ
夢を見た。
最初の夢は講義の夢だった。眼鏡をかけた教授がホワイトボードを示しながら喋っている。
『夢は無意識を投影してるんですね。たとえば過去の経験や、こうだったらいいのに、という願いが、夢に反映されることはよくあります』
ふわふわとした声が眠気をさそう。
ぼくはぼんやりとホワイトボードを見た。
そこにはなぜかシュロンの実のイラストが、赤いマジックで大きく描かれている。
果実がたくさん、尻だけをくっつけてつながった、ぼこぼこした姿。隣には『集合的無意識』と書かれている。
(ああ、いろんな人の無意識って、シュロンの実みたいに、根っこの方では一個につながってるって説のことだっけ)
教授は何か言いながら、そこに『シンクロニシティ』という単語をきゅっきゅと書き足した。
(意味ある偶然……全然違う人が同じ夢を見るやつ、だったか)
授業のつまらなさに、あくびを噛み殺した。眠ってしまったのか、すぐに意識が途切れた。
次の夢は、病室の夢だった。
真っ白な壁紙に窓の位置。ぴったりと閉じたカーテン。
そこは昨夜、プーカが間違えて作り出したあの病室そっくりだった。電子音や人工呼吸器の音が、重苦しく鳴っているのも同じ。
違ったのは、ベッドの上に誰かがいることだった。ぼくの視線はくぎ付けになった。
血の気の引いた、どこかあどけなさの残る顔。茶色く染めた髪。
腕に点滴、口元に人工呼吸器をつけたその人物を目にして、さあっと背筋が冷たくなる。
『アオ……!!』
声にならない声でぼくは叫び、駆け寄った。
アオはぼくの呼び声に反応もしない。
黒ずんだ顔に向かって震える手を伸ばす。
アオ、どうした、何があった――――
『うわっ』
そのとたん、ぼくは誰かに首のうしろを掴まれ、真っ黒な空間へ放り出された。伸ばした手の向こうで、白くて四角い病室があっという間に遠ざかっていく。
「アオ……!!」
ぼくははっとして目を覚ました。冷や汗がぐっしょりと服を濡らしている。
(夢か)
ぼくはほっとため息をついた。
だが、あの血の気のないアオの顔はまぶたの裏から離れてくれない。まるで死んでいるみたいだった。
しばらく夢の後味を引きずって天井を見ていた。趣味のいいライトがぼんやりとした明かりを落としている。
(ホテル……じゃないな。時の塔だ)
夢から起きても夢の中だなんて。
いつになったら帰れるんだろう。あんな夢を見たあとで、アオのこともひどく心配だ。
悲しみながら上体を起こそうとして、気づく。身体の下になにかふさふさしたやわらかいものがある。
なんだっけ、これ。ぼくはこんなものを身体に敷いて寝たのだったか。
「すん」
ふさふさのあたたかな何かは、一瞬膨らんで、戻った。ぼくは思わずうしろを振り向いた。
ベッドの上で、黒犬がぼくを腹にもたれさせ、丸まっている。
「プーカ!」
ぼくが声をあげると、犬は首を上げ、寝ぼけまなこでこちらを見た。
それからねろねろとぼくの顔を大きな舌で舐めはじめた。
「やめろ……息、でき、ない」
薄目を開けると、簡単にぼくの頭を丸呑みできるサイズの口が半開きになっている。どろどろのよだれ。ぼくの顔より長い牙。
犬の愛情表現だとわかっていても、この大きさだとこわい。
ぞわぞわとしたものが背筋をのぼる。身をよじっても生温かい舌から逃れることはできなくて、寝起きの身体が熱くなりかける。
そんな気分じゃないのに。
「戻って、もういいから」
顔を庇いながら叫ぶと、ぽんと音を立ててプーカがもとの姿に戻った。
顔中ぬるぬるになったぼくの隣に、にこにこと横たわっている。黒いしっぽがゆさゆさと機嫌よく揺れる。
「はは、事後っぽい」
プーカはぼくの頬を手で拭う。
「それとも、ほんとに事後にしちゃう? いいよ、昨日できなかったもんね?」
「な、なにして……?」
「なんかきみ、うなされてたからさ。ベッドに上げてあげたんじゃん。あんな硬い床で寝ちゃダメだよ」
その言葉でまた、昏睡するアオの姿が目の前をよぎった。胸が苦しくなる。
「夢を見たんだ。アオが意識を失って、病院のベッドにいる夢……」
「……そう? へ、変な夢だねー」
プーカはあきらかに動揺している。さすがのぼくも不審に思った。
「なあ、今アオは何してる? 元気なのか?」
「うん? 元気、元気」
目が泳いでいる。
「ほ、ほら、そんな夢見ちゃうのはさ、こんな辛気臭いとこにいるからだよ?」
プーカは早口でまくしたてた。
「プーカ」
「あとでここを出てさ、冥界をツアーしよう。右手にごらんいただけますのが地獄の釜の蓋でございます、ってさ。いろいろ見どころがあって楽しいよ」
「プーカ、聞け」
「女神さまに怒られるって? 大丈夫、ちゃんと夜までに戻ればバレないって」
「なあ、プーカ。アオは」
ごまかされればごまかされるほど、ぼくの不安は募った。
「もうアオの話は聞きたくないよ!」
どんと勢いよく身体をひっくり返される。急に表情を失った顔が、ぼくの上に影を落とした。
「なにするんだ」
プーカは無表情から、にやっと笑ってみせた。
「決まってるじゃん。こういうとき、男の子がしたいこと」
あの夜プーカがぼくを抱いたときも、同じようにぼくをにやにやと見下ろしていた。
プーカが何をする気なのかは明らかだった。
「よ、よしてくれ、こんなこと、してる場合じゃ」
顔から血の気が引いていくのがわかる。
アオが心配なだけなのに、なんでこんなことになるんだ。
「わかってる? きみはね、オレと結婚したの。アオのことは忘れなきゃ、ね」
まだぬるぬるの唇を、プーカの指が通った。
アオが不安でたまらないのに、身体に痺れが走った。
「十年。これからオレらは一緒なんだよ。時間なら、たっぷりあるね? やったぁ」
舐めるようにキスをしながら、プーカはぼくの服を剥いでいく。
「ダメだ、ほんとに、そんな気分じゃ……」
キスの合間を縫って、ぼくは藻掻きながら訴えた。
「アオを忘れてって言ってるだろ! きみはもうオレのなんだぞ!」
プーカは声を荒らげた。ぼくはびくりと身体をすくめた。
「ごめん。怯えさせちゃった」
しばらくぼくを見つめていたプーカは、やがてふっと笑って言った。
「やきもち妬いて、悪い旦那さんだねー……ね、許して? きみに嫌われたいわけじゃないんだよ」
ぼくの服を整えながら、プーカは眉を下げる。
(どうしてこいつはいつも……嫌いになれたらずっと楽だったのに)
ひどい失敗をしたあとのアオそっくりの、所在なげな笑顔だ。
ぼくは胸を詰まらせた。
ぼくは少しずつ、真実に近づいていた。
「さて、お詫びに素敵なブレックファストと行こうか。部屋に朝日を入れよう」
プーカが指を鳴らすと、カーテンの向こうがぱっと明るくなる。窓がひとりでに開いて、やわらかな風を室内へ入れた。
同時に、ぼくの前にクロワッサンとカフェオレ、小さなサラダボウルが乗った、金のトレイが現れる。
昨夜と同じように、プーカの前には何もない。
「なんで食べないんだ……」
さっきまで漠然としていた不安が渦を巻いて、だんだんとかたちをなしていく。
「妖精はものを食わないんだよ」
プーカはウソくさく言った。
「昔、お供えのシュロンの実を食べて、女神さまを怒らせたくせに、か?」
「ほら、いいから食べな」
アオの点滴姿がぼくの脳裏をかすめていた。胸が苦しくなる。
「お前が食えよ。昨日から、なんも食べてないだろ」
ぼくはトレイをプーカの方に押しやった。祈りに似た気持ちだった。
プーカが何かを食べてくれれば、この不安も少しはどこかへ行ってくれるのに。
「ごめんね」
少し黙って、プーカはぽつっと謝った。
謝らないでほしかった。冗談だと笑って、そのパンをむしゃむしゃ食べる。それだけでいいのに。
「先に屋上で待ってるよ。ツアーの前に準備運動しなきゃ、大きく腕を振って伸びの姿勢からー、はい」
ごまかすように言って、プーカはベッドから飛び降り、階段を上っていった。
ぼくはトレイをじっと見つめた。いつかアオと家で観た、海外映画の朝ごはんだ。
パンを口に入れても、味がしない。膨れ上がった不安がぼくの胸をいっぱいにしているせいだろうか。
それともこの映画の朝食を、ぼくとアオが実際に食べたことがないから、なんだろうか――――
『夢は無意識を投影してるんですね』
昨夜の夢に出てきた、心理学の教授の声がよみがえる。
『たとえば過去の経験や、こうだったらいいのに、という願いが、夢に反映されることはよくあります』
(学生のとき、ちゃんと授業、聞いておけばよかった)
そうしたら、今ぼくが抱いているこの不安だって、あるわけがないと笑い飛ばせたかもしれないのに。
食べ終わったぼくはパンくずを払って、絵本を開いた。最後の確認がしたかった。
絵本は、ぼくらが塔へ幽閉されたところで話が終わっている。
『プーカは異界の旅人とともに、時の塔へ幽閉されることになりました。
しかしプーカは幸せでした。彼はついに、真実の愛を見つけたのです。もう彼はいたずらを重ねることもないでしょう。彼のさびしさは、これからは旅人が永遠に埋めてくれるのです』
その続きのページは存在しない。
それを見て、ぼくは泣きそうになった。
たぶんこの不安の塊は本物だと、わかったからだった。
ぼくは絵本を手に持ったまま、屋上へいそいだ。
「プーカ」
プーカはいつになくぼんやりと景色を眺めている。
足首までしかない低い柵の向こうは、真っ暗な冥界だ。ところどころに赤いマグマが筋をつくって不気味な光を放っている。
「ごめん。ツアーはなしだ。なんかさ、出られないっぽいんだ」
プーカはえいと空を蹴った。何かにぶつかったかのように足が跳ね返った。
「ね? 女神さまに脱走対策されちゃったかな?」
「ぼくたちをここから出したくないのは、たぶん……女神さまじゃないと思う」
見えない壁に手をついて、ぼくはつぶやいた。
「な、なに言ってんの? 女神さま以外いないでしょ、誰がここにオレらを幽閉したと思ってんのさ」
「この絵本」
ぼくは手元の絵本に目を落とした。
「ヒントをくれてたのは、お前でも、ソフィアさまでも、女神さまでも、なかったよな……?」
ゆっくりと小さなヒントたちが集まって、ひとつの仮説を作り出していく。
真実だという確証はないが、手遅れになる前に、どうしてもたしかめなくてはいけない仮説。
「だから、もう一人いる気がするんだ。この夢には、ぼくに指示を出していたやつが」
プーカが息を飲む気配がする。
「結婚させられたぼくらが塔に閉じ込められて、そのままエンディングを迎える話を描いたやつが……そんなの、一人しかいない」
「あ、あれ? そ、そうだ、その絵本、オレがメッセージを送ってたんだ! そうだよ、そんなエンディングで喜ぶの、オレしかいない」
ウソくさい声でまくしたてるプーカの声に、胸が苦しくなる。
「そうだな」
ぼくがそうつぶやくと、プーカは一瞬、ほっとした顔をした。
「お前しかいないよな……アオ」
「え……」
プーカはぽかんとした顔をして、固まった。
「お前、アオ、なんだろ? 違うか?」
ぼくはそっと訊いた。
「だから飯が食えないんだろ? 今、現実のお前は病院にいて、何も食べられないし、食べたくない……」
違うよと笑い飛ばしてほしかった。アオなら元気だよと。
あの病室はほんとに間違えて作り出しちゃっただけで、なんでもないんだよと。
だがプーカは何も言ってくれない。
ウソがばれた子どもみたいな顔をして、プーカは唇を噛んでいる。
「お前が現実のアオを乗っ取ってたんじゃない。お前がアオの分身なんだ……この夢の中でアオの代わりに動いていた、アオのアバター。それがお前だ。お前自身は、アオとは別人だと、今までずっと思い込んでたかもしれないけどな」
泳ぎが下手で、変身していなくてもアオによく似ている男。どうしてもっと早く気づかなかったんだろう。
「ここはたしかにぼくの夢だ。ぼくの願望もこの世界には織り込まれている」
アオと刺激的な恋がしたいという願望は、実際にぼくのものだったんだろう。あまりに大それた、あってはならない願望だったから、当時のぼくは見ないふりをしていただけ。
今ではそれがはっきりとわかる。夢のせいでも、魔法のせいでもない。
アオに対して今感じている、このひどい胸の痛みが何よりの証拠だった。
「でも、アオの夢でもあるんだろ? この絵本の結末は、お前の願望だ」
半分はプーカに。半分は見えない壁に向かってぼくはつぶやく。
「果実がいくつもくっついたシュロンの実みたいに、ぼくの無意識とアオの無意識が、自分たちでもわからない深いところでつながって、リンクして――――」
人と人の無意識は深層でつながっているという仮説、『集合的無意識』。
意味ある偶然と訳される、『シンクロニシティ』。
プーカの城で見た、あの心理学の本にもあった言葉だ。
「――――そうしてぼくとお前は、同じ夢を見た」
長い沈黙があった。
「責めないで」
心細そうな声をして、プーカがつぶやく。
「ふたりきりになりたかったんだ。それだけ」
「責めてるわけじゃない」
なるべくやさしく語りかける。十年もいっしょに閉じこもろうとするほどぼくを愛してくれている子どもを、責められるわけないじゃないか。
「オレが叔父さんの身内じゃなくてさ」
プーカは苦しそうに続けた。
「オレよりもっとイケメンで、魔法みたいになんでもできて、強くて、かぼすちゃんみたいにかわいくもなれて……そんなふうだったらさ、叔父さんにをモノにできるかなって思ってたんだ」
今話しているのは、アオだ。
表情や話し方で、ぼくはそう思う。
「バカだなぁ。そんなのがお前の願いか」
そして、その願望が夢に反映された。
いとおしさと悲しみ、それから少しの呆れが混ざり合って、胸がいっぱいになる。
ぼくは思わずプーカの――――アオの頭をぽんと撫でた。
その瞬間、プーカはぱちん、と弾かれたように頭を振った。次の瞬間、あんなにさびしそうだった表情が、いつものにやにやとした笑顔に変わる。
「そうか。なんだ、オレ、アオだったんだ」
またプーカの人格に戻った話し方で、ぼくは少し戸惑う。
「よかった。これでアオにやきもち妬かなくて済むね。なんせ同一人物だ」
「ん? ああ、そう、だな」
どうしてそんなことを言い出したのだろう。考えていると、プーカは誘うようにぼくの手を握った。
「じゃ、下の階に戻ろっか」
「え?」
「これから十年、ここで甘ーい新婚生活しなくちゃ。アオだってそれを望んでるんだ、誰にも邪魔はさせないってね」
「おい、違うぞ」
プーカは階段に向かって手を引いていこうとする。ぼくはなんとか踏みこたえた。
「お前はぼくと現実に戻るんだ」
プーカは肩をすくめた。
「ここ、なんでもできて楽しいじゃん。それに念願のふたりきり。きみを帰してあげる理由はどこにもないな」
ぼくはだんだんこわくなっていく。
「ダメだ、それじゃアオは眠ったまま」
その先を続けることはできなかった。プーカの表情が、またすうっとアオのものに変わっていく。
アオの口元はさびしそうに微笑んでいる。
「オレね、父さんと血がつながってないんだって。血液鑑定ではっきりしちゃって」
ぼくは目を見開いた。
元義兄夫婦が揉めていたのは知っていたが、まさかそんな争いになっていたとは。
何もそんな風にアオを傷つけるやり方で揉めることはないじゃないか。元義兄夫婦に対して、どうにもならない怒りがわいてくる。
「実のお父さん、ふつうに家庭持ちらしくてさ。母さんも鑑定で白黒つくまで、うちの父さんの子だって主張してたし、そうであってほしかったみたい。父さんのこともオレのことも全然愛してないくせに、笑っちゃうね」
冗談みたいに笑いながら言うアオの言葉の裏に、痛みと苦しみが見え隠れする。何一つ、アオのせいじゃないのに。
ぼくはアオに何もしてやれなかった。何も。
「だからオレのこと、父さんも母さんもあんまりかわいくなかったっぽいよ。父さんにとっては疑惑の子だし、母さんにとっては人生の汚点だった。どうりで、ねー」
女神とプーカの話がなんとなく重なる。これも現実を反映して――――?
「ってか、叔父さんも離婚しちゃったし、現実に戻ったらガチ他人じゃね? 帰りたくねー、ここで一生叔父さんと暮らすんだ」
ぼくの両手を握って、アオは笑っている。
「いっぱいエッチしよう、現実なんか忘れちゃうぐらいにさ。今のオレ、すげー幸せなんだよ」
「こら、アオ」
ぼくは困り果てた。
「やだやだ、帰さないよ」
アオは楽しそうに言う。
「だって、ここにずっといたら、お前……」
人工呼吸器をつけ、横たわるアオの姿がはっきりと浮かんで、心臓がきゅっと冷たくなる。
「……お前、たぶん、死んじゃうんだぞ」
これまで考えないようにしていた言葉が、ずんと胸に沈む。
死ぬ。アオが。
アオは意味がわかっていないのか、きょとんとしている。
「ずっと目が覚めないって、そういうことだろ……そんなの、ダメだ。ぼくがいやだ」
ぼくは目の前の肩を強く揺すった。
「叔父さん」
「帰ろう」
こうしている間にも、アオの死が迫っているとしたら?
ぼくはだんだんパニックになっていく。
「やだ。叔父さんがオレを好きなのは、魔法のおかげだもん」
「違う、聞け」
「夢から醒めたらオレのこと、またなんとも思わなくなるんだろ」
どうしてわかってくれない?
「そんなことない。お前が好きだ、だから」
「そんなの、信じないよ。帰りたくて言ってるくせに!」
なんでこんなときに限って頑固になるんだ。
「違う! ずっといっしょだ! 現実でも! 約束、するから!」
ぼくはプーカの――――アオの身体をおもいきり抱きしめた。
「ぼくが死んだら、さすがにいやだよな?」
ぼくは小声で訊いた。
「叔父さん?」
「その前に目覚めてくれ、頼む」
ぼくは力を振り絞って、アオの大きな身体を抱いたまま、見えない壁に体当たりした。
ばりん、と壁が破れる音がする。時間が一瞬遅くなった気がした。
抱き合ったぼくらの身体が風を切って、真っ逆さまに冥界の闇へ落ちていく。どこまでも。どこまでも。
「頼む、アオ……!」
ぼくはアオを抱きしめる腕に力をこめ、ぎゅっと目を瞑った。
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