人ではない彼女は、妖か、精霊か、それとも……

この残酷で美しい夢幻の世界。
読むたび、その描写の美しさ儚さに、息を飲まずにはいられない。

屋敷の奥に囚われ血を採られ続ける槐。彼女の血は毒で、鬼すら倒す力がある。
人ではない槐。ならば彼女は何者なのか。
ずっとそんな疑問を抱えたまま物語を追っていた。

辛い現実から藤の花の幻想に入り浸る槐。その中に突如として現れる黒い男。
彼は槐の救いとなるのだろうか。これ以上彼女を傷つけないで欲しいのに。
槐の心に同調したように、読む私の心にも疑心暗鬼が生まれる。

過去と現在を織り交ぜながら、かつては桃源郷であった集落の謎が少しずつ解き明かされ、幻想的な結末へと読み手を導いてゆく。

作者さまが織りなす美しい夢幻の世界。
ぜひとも読んでみて欲しい!

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