藤の花が印象的! 美文で綴られる、ダークでファンタジックな和風恋愛譚
- ★★★ Excellent!!!
不思議な血をその身にやどすヒロインの槐。彼女は座敷牢に押し込められて生活しています。
小さな世界で生きる槐を不憫に思う斎郎は、彼女と交流を重ねるうちに槐に恋心を抱くようになるのですが……
趣のある文章、時折りさしこまれる藤の描写の美しさ。そして、ほんのりと暗い恋愛模様が魅力の和風ファンタジー。
小さなコミュニティーが脈々と受け継ぐ因習、複雑に絡みあう人間関係。そんな環境のせいでしょうか。純粋な愛が少しずつ変容していく様子が恐ろしくも興味深かったです。
現実にヒロインみたいな血を持つ人がいたら、こんな状況が生まれてもおかしくないなと思えるリアルさも本作の見どころだと思います。
明るく可愛らしい恋愛ファンタジーも好物ですが、本作のような現実味のある恋愛ファンタジーは大大大好物!(笑)
セクシャルな描写もある一筋縄ではいかない恋愛模様がお好きな方におススメです。