夢の中での出会いは、運命だった。

彼女の血は毒。
彼女の血は酒を作るのに必要。

そんな理由からずっと座敷牢に囚われ、座敷牢しか知らない彼女──槐は、藤の夢だけが唯一の慰めでした。
そんなとき、その藤の夢に一人の男性が現れ、槐の運命が動き出します。

槐をめぐって展開されるお話はしっとりと甘い中に愛憎が渦巻き、人間関係の複雑なところが丁寧に描かれています。
叢雲という存在が現れてくれたからこそ、槐は心を保つことができたのでしょう。そして、それは叢雲もまた然り。

作り込まれた世界観にぐいぐいと引き込まれる、素敵なお話です。
皆様もぜひ、読んで見てください。

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