概要
アドリア海に浮かぶ世界遺産の島ヴェネツィアで、働きながら音楽院に通って声楽を学んでいたのだ。
水の都と呼ばれるヴェネツィアは、無数の運河と歴史的建造物に彩られた美しい街並みが特徴だが、数年に一回「アクア・アルタ」と呼ばれる高潮に見舞われる。
このエッセイは、2019年にヴェネツィアが観測史上二番目の高さとなるアクア・アルタに襲われた日、家賃の安さにつられて半地下の家に住んでいた筆者の体験談である。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!高潮が迫り来る! 世界遺産ヴェネツィアでの、貴重な被災体験!!
世界遺産ヴェネツィアを、生活レベルで、生き生きと味わえる、珠玉のエッセイです。
筆者様は、たいへん美しい文章の小説を書かれる方ですので、その間違いのない的確な文章によって、イタリア留学の実体験が臨場感たっぷりに伝わってきます。
情景描写、心理描写、ともに秀逸。洒落た大人のエッセイという印象です。
特に、高潮が迫ってくるあたりの描写は、ドキドキハラハラ! いったいどうなってしまうのか!?
ヴェネツィアへ音楽留学……それだけでも素敵でワクワクしますが、筆者様は仕送りはなく、自分の力で仕事をしながらの留学とのこと(文章内)。……その必死な、ひたむきな姿がかっこいい。尊い。そして最後の場面…続きを読む - ★★★ Excellent!!!『アクア・アルタ』の洗礼
古楽を学びにイタリアはヴェネツィア音楽院に留学した著者が紹介されたのは、やや上ったところにある半地下の家。日当たりはいまいちだが涼しく、家賃も手ごろ。キッチンもバスルームも一人で自由に使えることで音楽の勉強に集中できると喜ぶ著者がひとつ気になったことがあった。
「アクア・アルタのとき、この部屋に水、入ってこないんですよね?」
アクア・アルタ、毎年秋から冬にかけてヴェネツィアを襲う高潮だ。日本では台風や集中豪雨による床下/上浸水のニュースは毎年枚挙にいとまがないが、ヴェネツィアでもこの高潮は毎年住民を不安にさせる気象現象らしい。そんな街で半地下の家を選んでよいものだろうか?
アクア・アル…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ヴェネツィアの空気を感じられるエッセイ
作者ご自身のヴェネツィアでの体験談。
一語一語、それらの表現があの水の都の空気すら伝えてくれるような雰囲気があります。
そして有名な、『アクア・アルタ』。
ヴェネツィアの主要部が水没する高潮現象で、低地は床上浸水するのはご存じの方もいるでしょう。
ですが、昨今の自然環境の変化の影響を受けてか、本来沈むはずのない場所までという――。
その、本当に体験されたリアルな恐怖もがひしひしと感じられる臨場感あふれるエッセイ。
気付いたら一気に読みふけっておりました。
ヴェネツィアという、世界遺産でもあるその都市の日常と非日常を体験できるかのような本エッセイ、とてもおすすめです。 - ★★★ Excellent!!!異国の半地下から広がる人生模様。ヴェネツィアの魅力と挑戦が詰まった実話
『運命の7cm』は、ヴェネツィアの半地下の家を舞台にした実話で、異国の生活のリアルな魅力と困難が描かれてる作品やねん。主人公が直面する「アクア・アルタ」っていうヴェネツィア特有の高潮や、日々の暮らしで感じる葛藤や希望が、細やかな描写で生き生きと綴られてるんよ。特に、半地下の家っちゅう特殊な住まいが、主人公の選択や決意を象徴してるのが印象的やったわ。異国の地で自分の居場所を見つけようとする姿に、読者の心もきっと動かされるはず。物語全体に流れる静けさと躍動感が、ヴェネツィアの街そのものを感じさせる一作やで!
この作品の講評会をしたんやけど、講評会では、半地下の家っちゅう独特な舞台と、それを取り…続きを読む