第3話 皴の一つ一つさえ

『年を取ると、好きな人のしわの一つ一つ迄いとしいって本当かな?』

『そうなの?』


 ……ホントだったよ?

 すごく愛しい。


 白くなった髪の毛。

 皴だらけになった目じり、身体。


 それは、君が頑張って生きてきた証。


 意識がなくっても命を振り絞って生きる君の姿は、宝石よりも、何よりもキレイだった。


 でもズルい。一人だけ、ずっとずっとキラキラしちゃってさ?


 自分だけそんなカッコイイままで、ホントにズルいぞ?

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