第13話 「今日は私がおにいちゃんを癒してあげる!」
※場面転換 夕方
//SE 窓の外から聞こえて来る雨の音
「あー今日のオムライス失敗だったなー」
「卵で巻くの難しい。ケチャップもドバーッて出ちゃってハート描くどころじゃなかったし。でも、ケチャップライスは美味しく出来た!」
「後何回か練習したらおにいちゃんに作ってあげよーっと」
「……あれ? 外雨降ってるじゃん。そういえば、朝、おにいちゃんちゃんと傘持って行ってたっけ」
//SE 玄関まで歩いて行く音
「あーやっぱり持って行ってない!!」
「私もなんで見送った時気付かなかったんだろー」
「今からならバイト終わる時間に間に合うかな」
「持って行ってあげよーっと」
//SE 玄関を出る音
//SE 傘を開く音
※ 場面転換 外
//SE 傘に雨粒が当たる音
//SE 時々車が走り抜けていく音
//SE ひまりがゆっくり歩いている足音
「うんうん、今から行ったら十分間に合うよね!」
//SE 向こうから誰かが走って来る足音
「……え、あ、あれ? おにいちゃん!?」
「どしたの、そんなずぶ濡れで! まだバイト終わる時間じゃないでしょ!?」
「それに、どうしたの、その指!!」
「……え、バイト中にやけどして……お客さん落ち着いたから早退していいよって言われて……雨だったから走って帰って来た!?」
「うそ、やけどなんて大丈夫なの!?」
「……そっか、痛みはあるけど病院行くほどではないんだ。よかったぁ」
「そんなに包帯巻いてるからびっくりしちゃった」
「ふふ、おにいちゃんのバイト先の店長さん、心配性だもんね」
「……でも、何でそんな元気ないの?」
「……うんうん。そっか……」
「今日夏休みだから忙しいって言ってたもんね。いつもより働かなきゃなのに、やけどして全然働けなくなった上に早退したんじゃ、落ち込むのも無理はないかぁ」
「おにいちゃん、責任感強いしね」
「……でも、そんなに落ち込まないで、おにいちゃん。誰でも失敗することくらいあるんだから」
「それに、バイト先の人だっておにいちゃんがいつもがんばってること知ってると思うよ?」
「……って、言ったところで、すぐ元気なんて出ない、かぁ……」
「あ! じゃあおにいちゃん! 今日は私がいーっぱい、おにいちゃんを癒してあげる!!」
「の、前に。もうおにいちゃんびしょ濡れになっちゃってるし、風邪ひいたら大変。急いで帰ろっか!」
//SE 傘を閉じる音
「よーし、じゃあ、私も濡れて帰る! 一緒に走って帰ろっ」
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