第4話 「急に頭ポンポンしてくれるとか、……ずるい」

※場面転換 食事や片付けの後、妹に宿題を教えてあげるために再びリビングへ


//SE 妹が階段を下りて来る音

//SE 近づいて来る足音


「おにーいちゃーん、お待たせ―! 宿題持って来た!!」

「ね、ね、隣、座ってもいい?」

「やった♡」


//SE 椅子を引いて、テーブルに着く音


「じゃあ、早速。専属家庭教師、よろしくお願いしまーっす!」//左側から、顔を覗き込むように


//SE 教科書などを開く音

//SE 教科書の分からない箇所を指で指し示す音


「あのね、あのね、ここ、この辺一帯がぜーんぶ分からないの」


「だってー、中学の時はなんとなく雰囲気で解けてたのに、高校になったら何もかも難しく複雑になって頭の中こんがらがって来たんだもん」


「もう、見ただけで拒否反応出て来ちゃう!!」


「でもでも、こうして教えてもらって出来るようになろうとしてるんだから、えらいでしょ!?」


「褒めて褒めて♡」


(ひまりが頭を差し出して来る)


「えー? 褒めるのは問題が解けるようになってから?」


「ってことはー♡ 問題解けるようになったら褒めてくれるんだっ♡」


「やった♡ じゃあ、問題解けたら頭撫でていい子いい子して、『ひまりえらい、よく出来た』って褒めてね♡」


「ああーせっかくやる気になった義妹のやる気を削ぐのは、おにいちゃんとして良くないと思いますっ」



「へへへ。やっぱり折れてくれるー。だーいすき♡」


「……それで、えっと……」


「え? 『二次関数は難しいって思うのは、ただの思い込み』?」


「……えー、何それ、どういうこと?」


//SE 兄が教科書の問題を指差しながら教えている音


「うんうん」


「あぁ、そっか。パッと見た時に複雑に見えて頭がパンクするから分からなーいってなるけど、一つひとつ落ち着いて解いて行ったらいいんだ」


「えーでも、公式いろいろあるし、どの公式使ったらいいか分からないし、複雑だし、やっぱり難しいじゃんー」


「え? 難しいんじゃなくて、めんどくさいだけ?」


「……そうかなぁ。……でも、確かにパッと見た瞬間に難しそうって思い込んでたのはあるかも。めんどくさいだけって心積もりしたら、解けるのかな」


「ね、試しに1問目、解いてみて?」


//SE 兄が問題を解いていく音


「おおおー。さすがおにいちゃん!!」


「じゃあ、2問目は!?」


//SE 兄が問題を解いていく音や、ノートをペンでトントンと叩く音(途中ひまりに教えながら声を掛けているイメージ)


「あー!! そういうこと!? なんかコツが分かって来たかも!! おにいちゃん、3問目も解いてみて?」


「え? 俺に宿題させる気かって? あはは、バレちゃったー」//冗談ぽく


「ってのは冗談で。うん、じゃあ、やってみるね!」


//SE ひまりが問題を解いていく音 (途中つまずきながらも解いていく感じで)


「えっと、だからここは、こうだから……、んー! やっぱわかんないよ、おにいちゃんー」//弱音を吐くように


「え? ホント? 弱音吐かずに一問解けたら頭撫でるくらいならしてくれる?」//言われた言葉を確認するように


「やった!! それなら頑張る!!」//一気にやる気を出したように


「え? うん、この公式に当てはめるだけ? 分かった!!」


//SE ひまりが問題を解いていく音


「出来た!! ね、ね、出来た!! 頭撫でてー♡」(頭を差し出しながら)


「え? 間違えてる? ……えーうそー。出来たと思ったのにー!」//しゅんとした声


//SE 兄が妹の頭をポンポンとする音


「えっ!?」//その行為にびっくりした様子で


「……でも、おしかったからって……急に頭ポンポンしてくれるとか、ずるい……。嬉しくなっちゃう」


「え? これくらいで喜ぶとか、ひまりはちょろ過ぎる? ……うー。おにいちゃんにだけだもん」


「ねぇ、ちゃんと正解できるようになったら、もっと褒めてくれるよね?」//上目遣い


「よーし! ……ぜーったい、出来るようになるもん。私、頑張るね!!」//意気込んだ様子で


「……へへへ」//笑いかける感じで


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