第11話 これからどうするんですか兄貴?

 ギルドでの手続きを終え宿屋に戻る頃にはもう日が暮れていた。


 宿屋では店主が食事の用意をしてくれていた。

 お嬢とカレーンも打ち解け、仲良さそうに話していて安心した。


「お帰りなさい皆さん。……仕事は見つかりましたか?」

「心配しないでくれおやっさん。明日からはシノギを見つけてアガリをしっかり納めるからよぉ」

「そ、それならいいんですけどね……」


 店主は頭をポリポリ掻きながら奥へ戻って行った。


「では僕たちはこれで失礼します。またギルドなどで会うこともあると思いますが、その時はよろしくお願いします。それでは! ──行くよカレーン」

「うん……。じゃあね、ヤエちゃん」

「またね」


 ロンとカレーンは出会った時とは正反対の笑顔でたち去っていった。


「兄貴! 早く飯にしましょうや! 俺はもうペコペコですぜ!」

「よし、じゃあ食べようか。……頂きます」


 そうして俺たちは、この世界に訪れて初めて落ち着いたひと時を過ごすことができたのだった。


 しかし、パンとスープだけの簡素な食事はすぐに終わってしまい、俺たちはすぐに手持ち無沙汰になった。この世界にはテレビやラジオもなく、スマホも使えない。


 そうして沈黙が続いた時、誰かがボソリと呟いた。


「本当に俺たちは戻れないのか?」


 それは当然の疑問だった。


「……兄貴、いつの間にか俺たちはここで生きて行くことになってましたが、本当にそうするんですかい?」

「馬鹿野郎大山、俺たちは死んだんだ。特に俺が死ぬ場面はよく見たはずだ。……兄弟もな。だから、戻れるなんて思っちゃいねぇよ」

「そんな初めから諦める必要もないですよ神代さん。俺たちがこっちに来たのだって常識じゃ考えられない。もしかしたら想像もつかない方法で帰れるかもしれない」


 大山の考えも、神代の考えも、どちらも正しい。

 だからこそ、もっと多くの人間の意見が必要だった。

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