破門極道異世界組〜最凶の漢たちは異世界の裏社会を牛耳ります!異世界にカチコミじゃァ!〜
駄作ハル
第1話 破門ってことですか、兄貴……
病院の特別個室には二十人以上の組員がすし詰めになっていた。心電図モニターの音が不気味に鳴り響く。
「いいかお前たち、この組は俺の代で幕引きだ。
「本当に良いんですね、
俺はベッドに横たわる親父から封書を受け取る。そこには見慣れた親父の字で「解散届」とあった。
「もうそういう時代じゃねェんだ」
親父は天井を見上げ、そう弱々しく呟いた。
かつては関東の覇権を握り、この日本の半分を仕切った櫻庭組組長
五十代後半にしては若々しく、筋骨隆々だった親父の身体は痩せ細り、髪は抜け、気がつけば死の淵をさ迷っていた。
「大和、お前はまだ若い。そしてお前や吉野の脳ミソがありゃァいくらでも組員共を食わせてやって行ける。俺が見込んだ男だからな。……だからよゥ、関東の龍・桜木大和も今日で
十八の時に親父に拾われてから十五年間。がむしゃらにこの世界で生きた。
その生き様は人に誇れるものではなかったかもしれない。だが、親父は紛れもなく俺に生きる意味を与えてくれた男だった。
「……それと、
それが親父の遺言だった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「桜木の兄貴!」
親父の葬式でそう声を掛けて来たのは子分の大山だ。喧嘩は負け無しの巨漢だが、今日ははち切れそうな黒いスーツに身を包み、肩にはゴルフバックを提げている。
「本当にこんなに道具集めて良かったんですかい? こんな所ガサ入れされたらマズイんじゃ」
「明日解散届を出すよう連絡してあるんだ、お上もそんな野暮なことはしねぇさ。それよりも他の組に邪魔される方が親父に顔が立たねぇ。使わなくても持っているだけでいい」
「そうですか。……それにしてもお嬢は本当にお強いですね」
「ああ。姐さんと親父、立て続けに亡くして気の毒なもんさ。それでも来年は大学受験をするらしい」
式場に数百人の直系組員が集まっている中、一人セーラー服を着て焼香に頭を下げている。
「──兄弟!」
大山とそんな話をしていたら、俺の兄弟分で櫻庭組若頭補佐の神代が形相を変えて走ってきた。
「どうした兄弟!」
「かっ、カチコミだッ!」
神代が絶望の表情を浮かべたその後ろから、山盛りの土砂を積んだダンプが迫って来ている。
「おいおいあんなのは聞いてねぇぞ!」
「あ、兄貴!」
「クソッ!!!!!」
「解散なんぞ許さんぞ櫻庭組! これで全て
対抗組織の鉄砲玉が大声を張り上げ、ダンプは式場に猛スピードで突っ込んでくる。
俺がこの世界で見た最後の景色は、自分の兄弟分が轢き殺される瞬間とダンプの眩いヘッドライトだった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
あとがき
お読みくださりありがとうございます!
初めましての方は初めまして。お久しぶりの方はお久しぶりです。駄作ハルです。
本日より新作投稿開始!
この作品は完結まで毎日投稿です!バトルあり、笑いありの物語となります!是非ブックマークして最後までお付き合いください!
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