第15話 最終決戦ですぜ兄貴!
油が切れかけのランプによって薄暗く照らされた洞窟の中は、文字通り地獄の様相を呈していた。
糞尿のすえた臭い。そこに混じる血の匂い。ぺちゃぺちゃと音を立てる足元の液体の正体は絶対に知りたくない。
「親父を守れ!」
「おいおい、俺はガキに守られるほど弱くねぇよ」
そうは言いつつも、カチコミを知らない若いモンが張り切っているので大人しく中心で守られていることにした。
そしてそのまま歩みを進めると、洞窟の最奥にある大きめの空洞に出てきた。
ポツンと中央に佇む染井の周りには、何体もの盗賊の死体が転がっている。どの死体にも頭と胸に綺麗に二発の銃創が残されていた。
「これで全部か?」
「いや、まただ──」
染井はM4を背中に回し、AKをリロードする。その目は暗闇を見据えていた。
不気味な程静かな洞窟にコツンコツンと足音が鳴り響く。
「組長、囲まれています」
洞窟の至る所には隠し通路があったようだ。木の板やわら編みに隠された脇道から無数の盗賊の残党が現れた。
「あの
「どこが百人だ! 二百どころじゃないぞ!」
俺たちは背中合わせに円を作り全周をカバーする。
「何人だろうとやることは変わらない! 狙いを定めろ」
「……よくもやってくれたな! だがここで終わりだ!」
盗賊のボスらしき図体のでかい男が出てきた。俺は無言で奴の頭に照準を合わせる。
「やれおま──」
ボスが号令を出す前に俺は引き金を引いた。パン! と乾いた音の後にボスはその場にバタンと倒れる。
薄暗い中、盗賊たちは何が起こったのか理解できなかったのだろう。一瞬生まれた隙を俺たちは見逃さなかった。
ダダダダダダン! と響く銃声。それに伴って次々に血を噴き出して倒されていく盗賊。
カチンカチンと弾切れの音が聞こえてくる頃には、立っている盗賊は誰一人としていなかった。
「……終わった、な」
「よっしゃぁぁぁ!!!」
「まだだ! まだ油断するな! 脇道に隠れている盗賊がいないか確認しろ! 連れ去られた女や子どもは手当し街まで運ぶぞ! 盗品もちょろまかさずしっかり持ち主まで返せ! 依頼はまだ終わっていない!」
「……お、おす!」
俺の指示で組員たちが散らばり各自の作業に取り掛かる。
「盗賊は確か首だけで良かったはずだな。
「はい神代のカシラ!」
「奥に走っていく音が聞こえた。掃討するぞ」
「援護します染井さん」
諸々の仕事が済んだ順に、俺たちは街に戻った。
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