第14話 カチコミなんて久しぶりですね兄貴!
吉野と別れた俺たちはギルドから貰った地図を見ながら盗賊のアジトを目指した。
幸か不幸か、その道中に盗賊の一人と出会った。
「おい、お前盗賊か?」
「あ? 誰だお前ら? ……雇われの冒険者か?」
盗賊は曲剣をぬらりと抜き構えた。
「やっちゃっていいよな組長!?」
「ダメだ染井」
俺は染井を静止し、胸ポケットから拳銃を取り出した。
「あ? なんだそれ──」
「ベレッタって知ってるか?」
俺はバン! と一発、盗賊の膝に撃ち込んだ。
「うァァァ!」
立つことのできなくなった盗賊は膝を抱えながら地面をのたうち回っている。
俺はそんな盗賊の髪を掴み無理やり引き起こす。
「お前らのアジトは何処だ」
「……はぁ……はぁ……。言うと思うか……?」
「言うさ」
間髪入れずに俺は盗賊の耳を撃ち抜いた。
「がァァ!」
耳元で銃を撃たれればその轟音で一時的な難聴になり平衡感覚も失う。頭の中まで響くその銃声は判断力を奪う。
「大人しく喋った方が身のためだぞ」
俺が何を言っているか聞こえてやしないだらうが、盗賊は必死にコクコク頷いていた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「──ほう、あそこがアジトか」
捕虜の案内のお陰で迷うことなくアジトに着いた。
山肌にぽっかりと空いた洞窟を根城にしているらしい。
「はあ……はあ……。そうだ……! はあ……。もういいだろ……! 離してくれ……!」
「ああ。──もういいぞ」
「やった──グぶァ……」
一瞬希望の表情を浮かべた盗賊の男はガクりと崩れ落ちる。
男の喉からは銀と赤に妖しく光るドスが覗いていた。そう、後ろから頚椎ごと神代が男の首を貫いたのだ。
「お前も討伐対象だ獣が」
ここの盗賊に同情の余地などない。薬物、強姦、人身売買、何でもありの鬼畜共だ。
「……今度こそ俺に行かせてくれ組長! いや、行かせてもらう!」
染井は素早くライフルにマガジンをセットし、セーフティを解除した。
「ああ。好きに暴れてこい!」
「そう来なくちゃなァ!!! ──戦争じゃァァァ!!!」
染井はそう叫びながら、M4を構えAK-74を背負い、単身で洞窟へと突っ込んで行った。
すぐに複数の銃声と盗賊の叫び声が聞こえてくる。
「桜木の親父……、染井さんが元軍人って話は本当ですか……?」
「ああ。アイツは元フランス外人部隊だ。……だが命令無視を繰り返し、ああいう風に単独行動ばかり行っていたため軍規違反で除隊となった」
根っからのバトルジャンキー。そんな人間が適切な訓練により肉体と精神力、そして知識を手にしてしまったらどうなるのか。
俺たちは洞窟に足を踏み入れ、そこに広がる光景で理解させられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます