第13話 食後、それから
食事の途中にヒスイとルリが、他の人が食べてる物を気にしてソワソワし始め、そんな二人を見た蓮華とフレイは笑って一口分けた。そして、ヒスイとルリも互いに食べさせあい、蓮華とフレイにもと差出たり、キャッキャッと楽しそうに食事を終えた。
◇◇◇◇◇
食事を終えて、温かいお茶を飲み一息をつく四人。
「「美味しかったのニャ~/ナノ~!」」
「それは良かったね!」
蓮華とヒスイとルリが他の料理を見ながら、次は何食べるかをもう話し合っている。
そんな三人を見ながら,フレイはイデアの頭を撫でている。その顔は、最初に会った時より穏やかになっていた。
「ーーあ……!フレイ~」
ヒスイとルリと料理について話していたはずの蓮華が、不意に何の事は無い様子で、
「あのね?今、イデアにポイントを追加で二万払ったから、様子が変わらないか……気に……」
「……マスター?そうゆう事は……やる前に……。いや、追加ポイントは嬉しいが…」
「「……マスター……。一言…ちゃんと…」」
蓮華がサラッと言うから、三人は呆れてジトーと蓮華を見た。
「……え〜と……ゴメンナサイ……」
蓮華はシュンとして謝る。
蓮華達が話していると、ピクっとイデアの指が動く。
イデアが動いた事に気付いた蓮華達は、慌ててイデアに呼びかけようとしたが……。
“イデア”という名前は、蓮華が意識の無かった時に付けたから、その名前で呼んでいいか戸惑い、なんて呼んだらいいか分からない蓮華とヒスイとルリ。それと、弟だがフレイ自身とイデアの名前と他にも対価にして払い、消滅を免れたから……フレイも何と呼びかけていいか分からなかった。
………あー。コレ……、完璧に私のせいだ………。イデアに早く目を覚まして欲しかったから……、皆に後で追加ポイントを払うって言ってたから……。勝手にさっさと払っていいと思っちゃっても、平気って………。
でも……、そうだよ……。イデアって名前を付けたの、この子の意識無い時じゃん………!?
この子をイデアって呼んでも……、自分の事か分からないんじゃ………。
えっ!?どうしよ!?
フレイ………は、っあ!?呼びかけたいのに、言葉が出て来なくて、眉間に皺が寄ってて凄く苦しそうな顔してる!?
どうしよ!?本当に!?
って、ヒスイとルリ?何仕様としてるの!?
蓮華が何を言っていいか考えてると、ヒスイとルリがフレイが握っている手とは反対のイデアの手をポンポンと叩いて、話し掛けようとしていた。
「お兄さん、目が覚めて良かったナノ〜」
「お兄さん、痛い所とか苦しい所は無いニャ〜?」
ヒスイとルリが、ニコニコと笑いながらイデアに聞いた。
聞かれたイデアは、キョトンとしながらコクリと頷く。
「それなら良かったニャ〜!……それから、マスターがゴメンナサイニャ〜……」
「そうなの……、マスターが一言も無しに追加ポイントをお兄さんに払ったから……、お兄さんのお兄さん……心の準備が出来てなかったノ……」
そこで一旦、言葉を切り、フレイの方を見て。
「「……だから、もう少し待って上げてニャ〜/ナノ〜」」
そう言われ、キョトンとしていたイデアが、兄?の方に顔を向けて見れば。
声を出さずに、泣いていた。それも、瞬きをしないで、大量の涙を出していた。
フレイのその様子を見て蓮華は、ギョッとしイデアに謝りつつ、フレイの背を擦って宥める。
「!?えーっと、ゴメンナサイ!?私がやりました!?」
「あ!後、召喚した時、名前が君とお兄さん無くってね!?君が意識無い時に勝手に付けました………。ゴメンナサイ」
蓮華がペコリと頭を下げたら、ヒスイとルリも遅れてペコリと頭を下げる。
イデアには、いまいち言われた事の意味が分からなかったが、少し考えてコクリと頷く。
「………状況が……分からない…け…ど?………名前、……何て……?」
戸惑いながらイデアが、途切れ途切れ話す。
「え?ああ。君の事はイデアって付けて。お兄さんの方は、フレイって付けたんだけど……。平気かな?」
何度か瞬きをして、イデアがコクリと頷き。
「ん。……イデア。……良い…でも…兄さん?僕の……兄さん?」
イデアという名前は気に入ったみたいで、イデアの雰囲気が和らいだが、兄のフレイを見詰めて戸惑っていた。
「ーーえっ?まさか……兄弟じ」
蓮華が言いかけて、フレイにギッと睨まれた。
「…あ…、うん。今のは言っちゃいけない事、だね…ゴメンナサイ」
蓮華が謝っても、暫く睨み続けるフレイ。しかし、少し経ってフーーと息をつき、イデアを安心させる為に笑いながら話す。
「ーーーンンッ、俺はちゃんとイデアの兄だ!?
見た目は……、イデアも若くというか幼くなってるからな?
それで……、名前と見た目…後、精霊としての力や能力、地位を対価にお前を助けてもらったんだ………。悪い……勝手に」
フレイが、その時の事を思い出して、とても辛そうな顔をしている。
イデアは、首を横に振り。
「……兄さん、助けてくれて……ありがとう」
まだ、表情は乏しいが笑顔で言う。
良かったー。い、一応拗れてない……よね…?……大丈夫…な、はず……。
それにしても、イデアは……体調とか平気…なのかな?顔色は最初より良いかな?
後、表情も柔らかくなってるかな……。
あ!イデアが起きたから、聞いとかないと。
「イデア?改めて、初めまして真壁蓮華だよ。よろしくね?
一応、私が召喚したから…主、になるみたい。」
「……よろしく…」
蓮華が自己紹介をしたら、ヒスイとルリが片手を上げて存在をアピールし始め、
「ワタシはヒスイニャー。よろしくニャー」
「ワタシはルリナノー。よろしくナノ!」
自分達の名前を元気良く言って、期待を込めた目でイデアを見詰めた。
そんな二人に、やや押され気味になるイデアと可愛いな〜と眺める蓮華が居た。
「……よ、よろしく……。ヒスイ、ルリ?」
「「はい!!ニャ~/ナノ〜!!」」
あ~、戸惑い気味のイデアとニコニコの笑顔で嬉しそうなヒスイとルリ。うん、可愛いな〜。スマフォが欲しい………。それで、連写したいな〜。
「あ~、イデア?その……、私達は……、先に食べちゃったんだけど……。ご飯食べれそう?」
「「「?!」」」
「?」
フレイ・ヒスイ・ルリがハッという顔になり、イデアは何の事か分かってないみたいで、首を傾げる。
直ぐに慌てだしたのがヒスイとルリで、フレイは落ち込んでしまった。
「!?ニャ~!何食べるニャ~!?ワタシラーメン食べたニャ~!」
「ワタシもラーメン食べたノ〜!色々種類があるノ〜!?」
二人は、さっき食べた物がどうだったかワイワイ説明しだした。
「…え……と…」
イデアは二人の勢いに戸惑い、蓮華やフレイに助けを求めてくる。
三人の様子を静かに見守っていた蓮華とフレイは、取り敢えずヒスイとルリを落ち着かせる。
「は~い!ヒスイ、ルリ。取り敢えず、落ち着こうか?」
「すまない。二人とも、弟が、イデアが……その…困ってるから。一旦、落ち着いて」
そこで、ヒスイとルリがイデアを見たら、オロオロして目尻を下げている様子だった。
二人は、イデアを困らせた事に気ずき。シュンっとして、イデアに謝る。
「「……ごめんなさい…」」
「…うん…、落ち着いて…、くれたなら…平気…」
まだ、オロオロしているが、その顔には先より笑顔がちゃんとしたイデアが、言葉も先よりはっきりしていた。
「二人とも……、今度は……もう少し…ゆっくり……、お願い…。……、兄さんは……?」
「お、俺か?!俺は…うどんだな…。うどんもおいしかったぞ?」
イデアとフレイがぎこちなく?何故か照れてる様な会話をしながら、メニューの写真を見せて教える。
そんな様子を蓮華はニコニコと、ヒスイとルリはイデアが何を選ぶかワクワクしながら、フレイとイデアの様子を見守っていた。
イデアが暫くして、何を食べるか決めたみたいで、蓮華達の方に顔を向けて、照れた様に笑う。
「そ、その……、兄さんと…同じ物に……した」
恥ずかしかったのか、段々と小さな声になるイデアに。優しく頭を撫でるフレイ、ヒスイとルリがイデアの腰に抱き着いて頭を擦り付ける。
「イデア?そんなに恥ずかしがらなくても、良いんだよ?もしかしたら、初めての料理ばっかだっかもだし、ならお兄さんのフレイと同じでも……」
蓮華が話してると、キッと睨んでくるフレイ。
「あ〜……。うん。取り敢えず、イデアは食べちゃおうね?冷めちゃったら、勿体無いし?」
「うん」
イデアが蓮華の言葉に頷いて、恐る恐る食べ始めた。
熱かったのか肩がビックとして、また恐る恐る食べるイデア。
口に合ったのか、イデアの背後がヒスイやルリみたいに、少し明るくホワホワしていた。
そんな様子に、蓮華はニコニコと見守り、ヒスイとルリは次は自分も同じ物にするかとキャッキャしている。そして……、フレイは号泣していた。
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