第22話 ゾクッとした後は……
ユイとトワの話しを聞いた蓮華達は、震えが治まるまでギュウギュウと皆で固まっていた。
「まぁ……、そんな?訳で……。多分、帰った人達は遺伝子検査等は受けれないかと……」
「若い人達が一気に現れたと〜思うから〜。それで、パニックになって〜話しをまともに〜聞いてもらえなかったと〜、思います〜」
トワが段々と気が抜ける様な声になってきていた。
「………うん。アレだね。帰らなくって、良かった!?マジでーー!!」
「ニャー!マスターが帰るなら、気合い入れて準備するのニャー!?」
「ヒスイ、落ち着くノー!?まだ、帰るとは決まってないノーー!?ワタシ達は、ちゃんとついていけるのナノ?!?!」
軽く混乱し始める蓮華とヒスイ・ルリを見ていた、フレイ達は一周回って落ち着いた様だ。
「で?これから、やっておいた方が良いことは?
まさか……。怖がらせる為だけに今の話しをしたんじゃないだろう?」
フレイがイデアやヒスイ達を撫でながら、ユイ達を睨みながら聞いた。
「あ~。その……、さっきも少し言ったと思いますが…。色々な事が色々変わるので…」
「取り敢えず…、此処で色々出来る様に施設などを作ったり?農業とか色々始めてもらって~」
睨みながら聞いたフレイや蓮華達はキョトンとして、気の抜けて声を出してしまう。
そんな様子を見たユイ達が気まずそうに「困るよね…。うん…」と小さく呟く。
「あ!そう言えば!?」
何かを思い出したのかユイが、行き成り大きな声を出して飛び跳ねた。
「!?え?何、どうしたの?」
「あ…。すみません。思いだした事が……」
今度はシュッンとなるユイは、チラチラとヒスイ・ルリ・イデア・ベル・ロンを見ながら言いずらそうに話し出す。
「……その…。この子達の…大食いについて…」
「…あっ!!そ~言えば!!忘れてた~」
トワの忘れてたっと言う言葉に、フレイとセバスが音がするんじゃないかという程、凄い睨みをトワに向ける。
あ!これが、よく表現される…視線で人が殺せる的な?……でも、私に向けられた視線じゃなくて…良かった…。二人共、こっわ!!
「二人共、取り敢えず落ち着いて?
で?ユイとトワはさっさと話そうか?」
「蓮華さんも、意外と怖いですよ?その圧…。
まあ、話しますが。え…コホン。その大食いは、魂が損失を補おうとしているんです」
「それで、一応…対策?それ以上酷くならない為に?するための対処だけしか、今は出来る事が無いんですけど…」
「早くし・ろ」
フレイとセバスからの圧が増していく。
「先にもう一回、言っておきますけど…。対策と対処ですからね?
一つ、蓮華さんに頑張ってダンジョンに挑んでもらう」
「一つ、やっぱり蓮華さんに頑張って魔石を作ってもらう。ただし、食用を」
「一つ、これは皆さんに頑張ってもらう事で……。農作物等の品質を良い物を作ってもらう」
フレイ達は「…へぇ~…」と呟き、蓮華は「魔石に食用何て…あるんだ…」と小説とかマンガでそんなの無かった…はず?と思いながら呟く。そして、ヒスイとルリは……。
「魔石はどんな味なのニャー?」
「魔石は美味しいノー?」
と、ユイとトワにキラキラした目で質問し始めていた……。
ヒスイ……、ルリ……。
あ…。ユイとトワ…そんな目で見ないで…。後、助けを求められても…無理だからね?私にはどんな味か分かんないし、ましてや美味しいかも分かんないんだから。
所で?フレイ達も困ってるんだけど…?もしかして…、異世界でも魔石は食べない…の?
ちょ、ちょっと!フレイとセバス?そんな…、何言ってんだって目で…。あっ!声にも出して言わなくても!いいじゃん!
で?本当に、魔石を食べたりは?ーーー無い、んだ…。
「……ヒスイとルリの為に、ここは蓮華さんに魔石を作って貰いましょう!?」
ユイとトワがキラキラの目をした二人共…、訂正イデア・ベル・ロンにも期待に満ちた目で見られ、困り果てた末に蓮華に投げる事にした様だ。
「ちょ、ちょっと!?ユイとトワ!?ヒスイ達も!?落ち着こう?
それに、ほら…行き成り魔石の食用を…作れって言われても…ね?」
蓮華はそう言いながら、皆に落ち着く様に宥める。特にフレイとセバスを…。如何やら、キラキラと期待の眼差しをするヒスイ達の為に、圧が有る視線を蓮華に向けていた様だ。
「「そうニャー/ナノー!?早くマスターに教えるのニャー/ナノ!?」」
ヒスイとルリの言葉に後ろに居るイデア達が、コクコクと頷きながら見ている。
そんなヒスイ達に少し引くユイとトワ。
「……そうですね。では、蓮華さん?ささ、これを……」
ユイがパン!パン!と柏手を打つと、ポッンと何かが出て来た。
「?……えっ…と?……ナニコレ……」
蓮華はあ然とし、ヒスイ達は興味津々の様に見ている。
え…何で私達がこんな反応をしてるか…?それは……昭和感溢れる?福引で使う赤いガラガラ抽選機が現れたから!!…でした…。で?コレを回せば良いの?いや…コレを回す以外知らないよ?使い方…。
「ユイとトワ?コレを……回せと?」
ニッコリ×2
「蓮華さん、握って回せば良い親切設計!!との事です…」
目を逸らしながら言うユイ。
「そうなんです~!!握れば勝手に魔力が流れて使える親切設計~です!」
目を逸らしながら言うトワ。
「取り敢えず二人共、目を逸らしながら言わないでくれる?
まぁ、回してみるけど……。みるけど…そこ!!期待はしないでね!?」
ニコニコ、キラキラと今も無言?で圧が掛まくってるヒスイ達に言う蓮華。
…うっ!ヒスイ達の圧が……。それよりフレイとセバスの圧の方が…こわっい!?
まぁ、取り敢えず…早く回して見せたら気が済むよね?…きっと…。
…よし!あれ…?何か…力が抜ける…?急にだるくなって来た…。
ガラガラ……、ッコロ…。
米粒大の物が一つ出て来た。
「…………えっ…?…ちっさ!?」
出て来たソレを見た蓮華はハッとし、ヒスイ達の方に目を向けると……。そこにはショボーンと落ち込むヒスイ達と、笑顔(ただし目は鋭く怖い)なフレイとセバス。そして、同情と食用の魔石を急に作らせた申し訳なさで、蓮華に向けて手を合わせて謝っているユイとトワが居た。
最初から上手くいくとは思って無かったけど……。こんな大きさ…は、思って無かったな。もう少し大きいと思ってたのに、流石に私もこの大きさだとがっかりだな……。
ヒスイ達のあの顔…かなりがっかりして、フレイとセバスは目が怖い…。このパターン何回目?って感じだけど……、二人が怖いのは慣れないからな~…。だるいけど…後、6…7個作らないと皆で食べれないか……。取り敢えず…がんばろ…。
グルグルと抽選機の様な食用魔石製造機を床に倒れ伏せながら回す蓮華。回す度に魔力が消費して、身体のだるさが慣れない為か目を閉じ何とか回している様だ。もう10回は回してるのに、まだ止めようとしなかった。
「ユイとトワ?マスターが変なニャー」
「止めた方がいいノー?」
ためらいがちに聞くヒスイとルリに、ユイとトワも少し慌てた様子で肯定するように頷き。それを見たフレイとセバスが慌てて蓮華を製造機から引き離す。
「……いや~…。まさか…、この食用魔石製造機…“セキ君”を少し回しただけで、蓮華さんがこうなるとわ…」
死んだ様に動かなくなった蓮華をツンツンと突きながら、ユイは何処かに電話で話し始めた。
「今、ユイが問い合わせしてるから~。ちょっと、待ってね~」
「マスターを引き離すだけでも、かなり魔力を持っていかれたが?」
「ええ。私達が前より色々と弱体していても、消費魔力が多すぎるのでわ?」
蓮華の様子が可笑しいのでユイが問い合わせている間、トワはヒスイ達に落ち着く様に言ってみるが。如何やら蓮華を引き離す時にフレイとセバスも魔力を吸収された様で、その時の量に疑問を感じてトワを睨みながら聞く。
「あ~…。貴方方がそう感じるなら…、何かを間違えましたね~」
魔力に馴染みが有るフレイとセバスが言うならと、トワは焦りながら無理矢理笑ってそう言った。
「兄さん、取り敢えず…マスターをベッドに……」
イデアが遠慮がちにフレイにそう言い。それを聞いたフレイがイデアやヒスイ達を安心させる様に笑顔で答える。
「ああ、そうだな。マスターをベッドに運ぶのは俺がやっておくから、イデアやヒスイ達はご飯の用意をお願いできるか?」
「!?うん!!任せて!!」
「「ニャー/ナノ!!」」
イデアの側でオロオロしてたヒスイ達も安心したのか、ご飯の言葉で元気よくイデアと手を繋ぎ、反対の手でベルとロンの手を取るとキッチン?の方に走りだす。
「まだあそこがキッチンか確かめていませんでしたね…」
「悪いが…、セバスも頼めるか?」
「ええ。では、マスターはお願いしますね。フレイ」
フレイがコクッリと頷くのを見てセバスはヒスイ達の後を追う。
「そう言えば、まだ此処を見回って無かった…ですね~。見回る前に私達が来て…」
「ああ。だから部屋が何処か分からないが…、ベッドならマスターに渡さているから…。それを此処に出してマスターを寝かせる…」
トワは何故!?と驚き、フレイは諦めか遠い目をして黄昏た。
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