第7話 やっと
神殿の様な建物で、チュートリアルをすると言われて三人は、入口の前までは来ていた。しかし……、しかし、三人はまだ建物の中には入ってなかったのである。
「やっぱり凄いね~!扉の柄?模様?が昔の秤とか天秤だね〜」
「わぁ〜本当ニャ〜」
「…………凄いノ。でも何か忘れてるノ?マスター、ヒスイ」
「?何かって?…………ぁあ、ルリ、ソレチュートリアルだよ」
蓮華が何て事もないように、笑顔で言ってくる。
しかしヒスイとルリは、驚いて目をこれでもかと開き、固まってしまう。
「「!!?」」
二人は驚き過ぎて気絶しそうになるが、何とか耐えることができた。
「「ーーーっ大変ニャ/ナノ!?は、早く中に入るニャ/ナノ!?」」
慌てて蓮華の手を掴み、中に入ろうと走り出す。
「わ、分かったから。ちょっと落ち着いて行こ。転んだら大変だよ?」
ヒスイもルリもこんなに慌てて本当に転びそうだな。
まぁ仕方ないかな、神様からメールが二回も来ちゃったし。普通無いよねこんな事。
でも、もう少し見たかったな、あの模様っで良いのかな?彫刻。後、周りもまだ見てなかったし。
蓮華がそんな事を思っていると、もう中に入っていた。
あれ?いつの間に?扉開ける音したっけ?
蓮華が思わず頭の上に???がででる様な雰囲気を出していた。
ヒスイとルリは蓮華を気にせず広い部屋の中央まで進んで、二人は蓮華の方を振り返る。
「マスター?どうかしたナノ?」
「早くチュートリアルを始めるのニャ〜」
「ーーって、二人とも、もうそんなとこまで……」
蓮華が意外に二人と距離が出来ていたのに気付いて、驚き慌てて駆け寄る。そして、二人は蓮華が近くまで来たのを確認して、説明役として気合を入れる。
あ、ヒスイとルリがやる気満々みたい、両手をグッと握って二人で何か話してる。時々頷き合ってるの可愛いな~。それにしても、ここかなり広い部屋なのに柱が一本も無いのはどうしてかな?
神様達が造ったから、それともダンジョンだから。まぁ、現実では無理なことだけは分かるからイイかな?
に、しても床の色薄い水色で、壁がレモンを薄くした感じの色してて。
照明が見える所に無いのに、何で明るいんだろう?不思議だなー。他の人達もココに来るなら、結構な人達が「有り得ない常識的に〜」とか「実際にとか現実的には〜」とかツッコミ入れるんだろうな〜。今の状況がもう不思議で、すっごくファンタジーなのに。
つい蓮華はワイドショーやテレビ、ネットで好き勝手言ってる人達が、この状況を何時もどうりにテレビ等で話してたらと想像した。
(あ、これ以上は止めとこ。無責任に好き勝手言ってるだけで、何にも変わんないかもっと大変な事にしかならないか……ハァ…………。よく煽ってたし)
「マスターお待たせしましたナノ!!!」
「張り切ってチュートリアルの説明するニャ〜!!!」
二人の勢いに押されて、蓮華はちょっと後に下る。
「二人ともやる気いっぱいだね。……それから、チュートリアルが遅くなってゴメンね。説明よろしくお願いします」
蓮華は言い終わるとペコリと頭を下げた。
蓮華にそう言われて更にやる気になったヒスイとルリは、
「「はいニャ〜/ナノ〜!!」」
興奮気味に話し始める。しかも手が上下に激しく動かしながら。
「じゃぁ、早速やりながら説明するノ〜。まずは中央の所に石で出来た台が出てきますナノ〜」
ルリが言いながら、腕を“バーーン”と勢い良く振り石で出来たソレ紹介する。
「それで、その台に手を置きますニャ〜。手を置いたら空中に画面が出てきますニャ〜」
そしてヒスイは蓮華の手を取りその台に乗せた。
っあ、私にメールが来て、ヒスイとルリの手を私のステータスカードの上に乗せたみたい。これヒスイがマネしたかったのか、それとも仕返しのつもりなのかどっちかな?
どっちらかと言うと、マネなのかな?ヒスイの目凄いキラキラ輝かせて、また背後のオーラ?が黄色で星まで現れてるし。
「出てきた画面で武器を選ぶのノ〜。それでその選んだ武器のスキルがチュートリアルが終わったら、最初の今なら自動的に貰えるノ〜。とてもお得ナノ!!!」
「始まるのは武器選んだら一分後ニャ!敵役の風船みたいなのが出てくるニャ、その風船みたいのを選んだら武器で叩いていくだけニャ〜!!」
「それから一応制限時間が五分ナノ、いっぱい叩ける様に頑張って!!ナノ」
「後部屋は此処と合わせて五個有るニャ〜!五分経ったら次の部屋に行ける扉が現れるニャ!!それぞれの部屋で出来るだけいっぱい叩いて、ポイントを稼ぐニャ〜!!!」
ヒスイとルリが興奮し過ぎて途中から勢いよく一気に、早口で説明したからハァハァと息を切らせ、肩を大きく動かしている。
そんな二人を蓮華は背中を優しく撫でて、落ち着くのを待った。
「説明ありがとね、二人とも。落ち着いたら武器選んで始めようね?」
まだ喋れないのか二人は、蓮華の言葉にコクコクと頷いて返事をする。
ヒスイがアノ台に私の手を乗せるだけだったのは、武器を選んだら一分後に始まって、他の説明が出来ないからだったんだ。しかも制限時間付きなら、説明してる間に時間来て、ポイントが無駄になって私が損すると、思ってくれたのかな。
そうなら嬉しいけど。
「「ーーーぉ待たせしましたニャ〜/ナノ〜!!」」
「あ、もう平気?じゃぁ、早速武器を選んでみようか?」
蓮華を見上げる二人のワクワクして、早くやろうという雰囲気が凄く伝わってくる。
「ワタシ達もどんな武器が有るか知らないのニャ」
「神様達がゲームとかに、よくあるモノを中心にしたって、言ってたナノ」
「……ぇえ!?どんなゲームを参考にしちゃったのかな……」
え、本当に神様達何のゲームとかを参考にした!?
私ゲームにあんまり詳しく無いから、変なのとかじゃぁないと良いな。普通の、普通の剣とかで…………。
蓮華がある意味祈りながら、ヒスイとルリは楽しそうに空中に出てきた、画面に映る武器の写真を見ていく。
武器の種類は…………剣、槍、斧、棒、弓、盾、グローブ…………うん、取り敢えず、普通の…………じゃぁない………………だと。え?何で!?
剣のページ?で良いのかな、最初の方はよく見る片手剣とか両手で持つ西洋の?剣だと思うんだけど。次のは日本刀だしココまでは、分かるけど。
その後は?包丁何で?鎌もまだいいよ、だけど、ニンジンとダイコン、他にも変なのが色々。槍の所にもある変な武器、猫の肉球やピコピコハンマーみたいのに槍の先が付いたのとかがある。
うん、神様達やっちゃったよネタ武器っていうやつ。
ルリが言ってた最初の今がスキルを貰えるチャンスなんだよね?コレ武器によって貰えるスキルが違うとかないよね?
しっかし~ネタ武器で貰えるスキル、気・に・なるな~~!!選んじゃダメかな~?
蓮華はチラっと、ヒスイとルリを見て気になった事を聞いてみる。
「二人ともあの~ね、この如何にもネタ武器をね?もしも、もしもだよ?このネタ武器選んだら貰えるスキルって、違いあるかな?なんて~」
「「???」」
二人とも蓮華が何を言ってるか分かっていないみたいなので、こういうのと指で指して教えヒスイとルリはソレを見ていく。
「「……………………………っえ?」」
「その反応だと…………分からないんだね?」
困った顔をして蓮華を見上げて、
「「……ごめんなさいニャ/ナノ」」
落ち込んでしまった二人は、背後にどんよりして暗い雰囲気が漂ってきた。
「分からないなら、仕方ないよ。ーーーそれでね?出来れば、出来ればね?このネタ武器のどれかを選びたいな~~と思うんだけど?」
「ニャー、さっきも思ったけど、面白い形ばっかで楽しそうニャー」
「本当に武器になるか分かんないのばっかりナノ~。でも今ならちゃんと武器だから使ってみたい気持ちは分かるノ~~!!」
「だよね!だよね!!今ならこんな武器でチュートリアルをしても平気ならさ?選んでみない?」
三人が互いの顔を見て、少しの間見つめ合う。
そして、ゆっくりと頷きあう。
「「「ーーーネタ武器で/ニャ/ナノ」」」
それからまた三人は、ネタ武器の所を見始める。
しかし直ぐには決めずに、アレでもないコレも面白い形等と、キャッキャ騒ぎながら見ていた。
ちゃんと三人が武器を選んだのは、それから一時間後だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます