第8話 始める……?

 三人がネタ武器を見るのに夢中になっていたが、やっとそれぞれの武器が決まった様だ。



「それにしても、ネタ武器色々有ったね〜。二人ともそれで決まりでいい?」

「「はいニャ/ナノ!!」」


 蓮華が二人に声をかけ、三人が選んだ武器が現れる。


 すると、その武器は同じモノだった。


 ソレは、ガラスなのか水晶か分からないが、綺麗な透明なモノで出来た、三日月に猫と兎が乗っていて右下には蓮の花の飾りが付いた棒。それとデザインが同じで腕に付けられる小さな盾。


「「「ーーー」」」


 三人は同じモノが出てくるとは、思っていなかったので、顔を見合わせてしばらく無言になってしまった。


「…………まさか、皆同じの選ぶなんてね?」

「「……ニャー/ナノー」」


 三人は他の二人を少し驚くかな?と選んでみたが、会って少ししか経ってないのに、考えることが似てきたみたいだ。



 え!?あれ〜〜〜!?ヒスイもルリも同じの選んだの!?二人なら、肉球の付いた棒とかぬいぐるみのニンジンや魚とか。そうゆーの選ぶと思ったんだけど…………。

 でも、……そっか〜コレを選んだんだ〜。まぁ、写真の横に限定って書いてあったから、私達をモデルにした専用の武器だったのかな?

 やっぱり限定って言われたら弱いよね……。それが可愛いヒスイとルリがモチーフみたいなモノならさー、選ぶでしょ?普通ー。


 それにしても、良いな……このデザイン……。これ鞄とか小物とかワッペンでも、作ってくれないかな?イヤ、自分で作れれば良いんだけど……、私不器用だからな〜。あっ、その為のスキルかー、成る程、成る程。今で諦めていた色々な事をスキルを使って、上手く出来るようになったり、出来なかった事が出来るようになるんだー!!

 例えどんなに下手でも補正がかかる、それがスキル。なら時間がいっぱいあるなら、スキルレベルを頑張って上げよう。



 蓮華が同じ武器だったのに驚き、二人ならこっちの武器にするのかな?と考えていたら、棒に付いてるモノに意識がいき、このデザイン欲しいな?作れれば良いなから、スキルで補正出来るかな?と考えが変な方向に行きつつあった。


「マスター?どうしたナノ?」

「ワタシ達が同じの選んだのダメだったニャー?」


 蓮華が違うことを考えていたら、ヒスイとルリが不安そうな顔をして蓮華を見ていた。

 蓮華は、慌てて二人が言ってる事を否定した。


「っち、違うよ?!そうじゃないからね⁈絶ッ対!!あのね?三人で同じのだな~って思って、それからこの棒に付いてるモノ良いなって思うでしょ?」

「「それはそうニャー/ナノー」」

「で、ね?このデザインがヒスイとルリがモチーフでしょ?」

「マスターも一緒ナノ!」

「忘れちゃダメニャー!」


 蓮の花が蓮華のモチーフという事が、二人にとって大切だった様だ。


「ぅ、うん。ゴメンね?それで、このデザイン綺麗だし可愛いでしょ?」

「「ニャー/ナノー!!」」

「だからね?このデザインがされてる鞄とか小物が欲しいな〜、って考えてたの」


 そう蓮華が言うと、ヒスイとルリが武器に付いてるモノをジーーーっと見る。


「「確かにニャー/ナノー」」


 深く頷き。

 蓮華に言われた事を考えて、コレが付いた鞄や小物を想像し、二人は有れば欲しいなと思う。


「で、有ればソレを買えばいいけど……。無いからね……。じゃあ、作れれば良いってなるでしょ?」


 ヒスイとルリはまた深く頷き、話の続きを待つ。


「だけどね?此処で問題があるの…………。」


 蓮華が凄く悲しい様な、悔しい表情で続きを話す。


「私ね?……不器用なの、後絵心も無いし、だから……。ーーーこんな時こそ、スキルでしょ!!!」


 ナニかを決意したのか、途中から真剣な表情でそう言い切った。


 ヒスイとルリが、え?急にナニを言ってるの?言ってる意味がちょっと分からないと、キョトーンとした顔で蓮華を見つめる。


「だってね?スキルだよ?魔法や錬金術とか色々多分出来る?様になる、スキルなら……日本で、現実で出来なかったことが出来るはず!!!だから、私の不器用も絵心もスキルでどうにかなるはず!!……多分。と言う事を考えてたんだよ……」


 ビッシャーーンと雷が落ちた様な反応をするヒスイとルリ、そして、二人が固まって動かなくなった。



 えっ?今二人の背後に雷が……。二人の背後に出てくるモノのバリエーション凄いね……?雷まで出るなんて。

 それにしても、何で二人とも固まっちゃたの?私変な事言ったっけ……?

 取り敢えず二人を正気に戻ってもらわないと。



「ーーーヒスイとルリ~~?おーーーい!!戻ってきてーー!!」


 蓮華がヒスイとルリの肩を叩きながら、何度か呼びかける。


 何度目かの時二人がピクッと反応して、蓮華の腕にそれぞれ抱き付き興奮した様子で話し出した。


「マスター!!早く、早くスキルニャー!?」

「そうナノ!!マスター早く取るの、ナノーー!!」


「「早くスキルを取って!!レベル上げてーー!!色々作るのニャー/ナノー」」


 二人はそう言い蓮華の腕を握りながらえいえいおーー!と、腕を上げて頑張るぞおーー!!と気合を入れ。蓮華もつられて、おーー!!と声を上げる。


 武器として選んだ棒と盾を取りながら蓮華が、二人がさっき説明してくれた事を思い出し聞いてみる。


「そう言えば、武器を選んで一分後に敵が出てくるんじゃなかったっけ?」

「?ニャ?……そう言えばニャ……」


 蓮華とヒスイが首を傾げてぁれ~?と、言い合う横からルリがステータスカードを見ながら、


「マスター、ヒスイ。ステータスカードに武器を選んで、装備してから一分だって書いてるノ~!」

「「!?っえ?本当/ニャ!!」」


 ルリに言われて二人がステータスカード見たら、 『 開始するのは装備してから一分後。 


  ねぇ、いい加減始めくれない?


          様子を見てる担当神より 』


 どうやら、あまりにもこの空間でするチュートリアルをしないので、担当?している神からまたメールが届いていたようだ。しかし、三人がネタ武器で騒いでいて気付かなかった。


「ーーへ、へ〜。担当の神様が居て、しかも見てるんだ〜……。」

「「…………これは凄く怒ってますニャ/ナノ……」」


 まさか見られているとは思ってなかった三人は、顔を引きつらせて困惑した。


「と、取り敢えず。そろそろ一分経つから……、頑張ろうか?」

「「ニャ/ナノー!!」」



 三人が気合いをいれて少し緊張気味で待っていると、床が点々と光出し少しずつ大きくなっていき。そこからタマゴの形をした1メートル位で、上の方に絵文字が描いてある風船?が出てきた。


「こ、コレが敵役?……」

「そうニャ〜!最初はマスターからニャ〜!」

「そうナノ〜!マスターが悪い事をいっぱいしてなければ、一回ポンと叩けば倒せる、ナノ〜!」

「……へ〜、じゃあ時間も無いし、思いっ切り叩いてみるね?」


 蓮華はルリの言葉に気になる言葉が有ったが、敵役が出てくるコレには制限時間が有るので、後で聞こうと思った。



 一回ポンと叩けば倒せるって言われたけど、どれぐらいの強さで叩けばいいの!?

 まぁ、叩いたらイイんだから取り敢えずやろう。考えても仕方ないし、勢い良くいけば平気なはず。



 蓮華が緊張しながら、バットを振る様に思いっ切り棒を敵役に振る。すると、少し当たった感覚は有るが、あまり抵抗?反発?が無かったので、蓮華は勢いのあまり棒がスポッと手から抜けて、そのまま近くに居た別の敵役に当たるが、その敵役も通り抜け床に転がった。しかも、転がった場所にまた別の敵役が居て、ソレにも当たった。


 最初に蓮華が叩いた敵役、スポッと手から抜けて行った棒が当たった敵役、勢いがまだ有り床に転がった棒に当たった敵役が光の泡の様になって消えてイク。その敵役の顔に描かれている、顔が最初のは笑顔だったが、後の二つは泣いていた。


 ぇえ?今の何?何か例えるなら、ゼリーに思いっ切りスプーンをぶっ刺した時みたいな感じだったんたけど!?

 そ・れ・に!?棒の先に付いてた飾りの重さのおかげ?せいで、勢いが出て手から抜けて行っちゃった!?しかも、私が当てた敵役だけじゃなく、他に二体も当たっちゃったよ。

 あれだね、巻き込まれ事故。二体目と三体目の顔がそれぞれ違うけど泣いてたな〜。何ていうか、うん、ゴメンね?



「ーーわ~!?ビックリしたね〜!!……うん、二人とも気を付けて、やってみよ?」


 蓮華が今の事をビックリはしたが軽くスルーして、二人にも敵役を叩く事をすすめ、驚き固まっているヒスイとルリの背中を少し押して、正気に戻し敵役の方に促す。


 ヒスイとルリは蓮華みたいに勢い良くは、棒を振らなかったが、二人の手からまた擦り抜けて他の二体にあたり、二人が最初に当てた敵役を入れて三体ずつ倒した。


 二人の結果は蓮華の時と同じだが、違う所が有った。…………それが、敵役の顔。三体とも泣きながら怒っていた。とても怖い顔で。


「「…………ゴメンナサイニャー/ナノーッ……」」


 あまりの事で、二人とも少し涙を浮かべて蓮華に駆け寄り、そして抱き着いて、頭を擦り付けて来る。


 蓮華も自分の時は、勢い良く振るったからだと思ったが、二人場合はゆっくりだったので、まさか同じ事が起こるとは思わず驚く。


 しかも、あの顔。蓮華も怖くて、言葉が出て来ない。それでも、抱き着いて来た二人の頭を出来るだけ優しく撫でる。


 三人がこんな状態だったから、制限時間の五分はあっという間に終わってしまった。

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