第9話 落ち着いて?

 制限時間が終わり、敵役がいつの間にか消えていた。

 しかし、三人はまだ落ち着いていなかったので、蓮華が『ショップ』で温かい飲み物を買って、ヒスイとルリに火傷しない様に言い蓮華は飲み出す。

 ヒスイとルリは温かい飲み物は初めてなので、蓮華のマネをしながら、少しずつ飲んでみた。


「「!?ニャ〜/ナノ〜!!!」」

「え!?やっぱり火傷しちゃった!?ーーゴメンもう少し冷ましてから渡せば良かった?」


 蓮華の問いかけに、ヒスイとルリが首を横に振りながら答える。


「大丈夫ナノ〜。少しビックリしただけナノ〜!」

「ビックリしただけニャ〜ン!温かくて、甘いのニャ〜!!」


 二人は、初めての温かくて甘い飲み物が気に入ったのか、さっきまでの怖がっていた様子が無くなっていた。



 ああ、良かった〜〜!二人とも元気が出てきたみたい。やっぱり温かい飲み物で甘いのが良かったのかなー?まぁ、私も温かいミルクティーにしたけど………。ハァーー落ち着く……。


 ん?あっ、背後に小さいけど花が出た、しかも舞い始めた……これならもう平気かな?


 まぁ、二人が倒した敵役の顔が絵文字じゃなくて、迫力満点の顔になってたからな〜。アレはビックリするし、怖がるのも仕方ないしよね。私も怖かったし………。


 それにしても、ビックリして固まってたら制限時間過ぎちゃったな………。でも、あのまま続けてたら多分……、体力が尽きてへばってただろうしな〜………。


 流石に私、運動不足過ぎない?

 こんなのが後、四つも有るんだよね……、今度はちゃんと敵役倒さないとだし……。それに、このままだとポイントが全然稼げないんだけど、何か良い考え無いかな?



「「マスター?」」


 温かくて甘い飲み物でワイワイ騒いでいたヒスイとルリが、眉間にシワを寄せて考え込んでる蓮華を心配そうに見上げて来る。


 呼ばれた蓮華は反応が遅れるが、どうしたの?と聞き返す。


「ーーーえ?何?どうしたの?」

「難しいお顔してましたニャ~?」

「眉間のシワがすっごい顔だった、ナノ?」

「ああ、あのね?五分があっという間だったでしょ?時間いっぱい出来ても、体力が持たないな〜と、思ってたの……」


 力無くハハハァ……と笑う蓮華に、ヒスイとルリがパチクリとゆっくり瞬きをし首を傾げる。


「……イヤ、本当……体力が無くてね?このままだとポイントが稼げないから、何か考えないとなって考えてたの……」

「何かナノ?」

「うん。選んだ武器だけじゃなく、他の何か使えたら良いなって」

「う〜ん?『ショップ』で何かを買うニャ?」


 二人と話しながら蓮華が考えてる不安を言う。


「……そうなんだけど。買ったは良いけど、使え無かったら時間をまた無駄にしちゃうでしょ?」


 蓮華に言われて、想像してみた二人は頷く。さっきの事も思い出して、確かにっと思ったからだ。


「「ニャ~/ナノ〜」」

「で、ね?ポイントも無駄にしたくないけど……ロープとペットボトルを使って、最初の一体で試してダメなら直ぐに手放して、普通に選んだ武器で倒していく……って考えたんだけど、どうかな?」

「ロープとペットボトル?でどうやるのニャ?」


 ヒスイに聞かれて、最初に『ショップ』で買って飲み終わったペットボトルを取り出し、ビニール紐でグルグルに巻いたり結び、ヒスイとルリに当たらない様に気を付けて出来たソレを振り回した。


「取り敢えず……振り回しても平気そうかな?ねー二人ともコレどう思う?」


 試しに振り回してみた蓮華が、二人に感想を聞こうと思い、二人の方を見たら目を輝かせ蓮華に両手を出していた。



「ニコーーっと期待を込めた眼差しでコッチ見てる〜………、え?可愛いね?あ?違う?そうじゃない?二人も振り回してみたい?

 それじゃあ、二人のはペットボトル飲みかけだけど使って良い?」


 二人は笑顔のまま首を横に振ったり、縦に振ったりして話さないで、蓮華に何故か圧力を掛けながらお願いする。


「……うん、作るからちょっと待ってね?後……笑顔で圧を掛けるの……止めよ?」



「「?」」


 蓮華に圧と言われて、何の事か分かってない様子のヒスイとルリ。互いに見つめ合い、少し考え込んで……あっと、思う。


「「!?っ、ごめんなさいニャ〜/ナノ〜!!」」

「あ、あの………ちょっと、またちょっと魔力が漏れてたノ〜………」

「楽しそうだニャ〜って、やってみたいニャ〜って思ったら………漏れたのニャ〜………」


 また魔力が漏れていたのがショックだったのか、落ち込み段々と声が小さくなっていった。


「そうだな……。まぁ、態とじゃないんだよね?」


 コクコクと力無く頷いたヒスイとルリは、ズーーンッとマンガやアニメでよく使われるモノと暗いモノが、背後に現れて二人の落ち込みが分かる。


「そんなに落ち込まないで、ね?ーーそれにしても魔力って、そんなに漏れるんだね?よくお話とかである、魔力操作とかコントロールを今取ってみる?」

「?スキルは此処のチュートリアルが終わったらナノ……?」

「そうなのニャ〜?まだ取れないはずニャ?」


 三人は目をキョトンとして、首を傾げる。


「えっ?出来ないの!?だって『ショップ』は普通ーに使えてるのに?」

「あれ?そう言えば………使えてるノ?」

「なら、スキルも使えるのニャ?」



 あ、ヒスイとルリの頭の上に???が出て来て動いてる!?な、何かどんどん背後に出て来るモノのバリエーションが増えていくな〜。

 それに、二人の表情が豊かになってきてる……?う〜ん……、会ってからまだそんなに時間経ってないのに?もしかして、二人とも成長が早いか頭良い、のかな?それなら凄いな!!


 私こんな事になる前って、色々やってみたい事はあっても、結局買ってもやらなかったし、興味があっても良いな〜やってみたいな〜っで終わってたけど………。二人にも一緒にやってもらえば……私でも続けられるか、二人の方が上手くなったりするのかな?

 それなら、興味があった事試してみよ〜!!


 そうと決まれば!ーーまずは、『スキル』の所で今スキルを取れるか試さないと!


 二人はまだ………混乱してるみたい……。ゴメンね、また私のせいで………。取り敢えず私は、先にスキルを取ってみるね?

 これでちゃんとスキルが取れたら、二人にも先に取ってもらえば楽できるかな?


 あ、でもここ神様が本当に創った場所だからな~、何か罠があるってルリが言ってたけど……。ここでスキルを取るのが罠じゃないといいんだけどな……。ハァーー。


 何か……もう今日は、最初のこの部屋で終わりじゃあダメかな?疲れたし……色々あったから……、『ショップ』でキャンプ用品も色々あったからそれ買って。ご飯食べて寝たいな~……。




 蓮華が混乱してる二人に心の中で謝りながら、どっと疲れてきたのでもうご飯を食べて寝る事を考え始める。

 しかし、スキルが先に取れないかの確認はちゃんと確かめようと。


『スキル』の所を開きどんなスキルが有るか、取れるスキルはどんなモノか、少し疲れを忘れてソワソワしながら見る。

 そして、そこに映ってるモノを見て驚いて固まってしまう。



 えーーーっ!?神様達!!本当に色々参考にしましたねーーー!!

 神様達何で!?ある意味、罠になるのか……な?それとも沼?取り敢えず危ないモノがあるーー!!


 普通だったら、多分まだ無理だったけどヒスイとルリと契約してるから出来る様になったのかな………。


 あぁ〜〜、コレ!!早くやりたいけど〜、二人ともお願いだから正気に戻って〜!!一緒にやろう〜〜!っあーー、楽しみだな〜!!



 そして二人がまだ固まり、蓮華は興奮している間に時間だけが過ぎていった。

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