第11話 契約……しますか?

 精霊でも……、仲間を贄にするんだ………。正直、驚いた。まぁ〜?人と常識や認識、感覚が違うかもだし……。も、もしかしたらソレが当たり前かも知れないし………?


 あ?でも……、弟君よりこの少年の方が、………強い?んだよね?なら、何で弟君?



「ソレは、俺が……ハァー。世界が崩壊しない様に、神達の指示で駆け回っていたから………な……。恐怖に負けて……あるいは……自分は助かろうとして、弟を贄にしたらしい……」

「……え?らしい?」


 力無く少年は頷き。


「贄に弟がされているのを止めて、知らせてくれた神達に……、聞いた。俺が弟をとても大事にしているのを知っていたから………。後、弟に何かなったら俺が……その……」


 少年が言い淀んでしまう。

 蓮華が此処まで聞いて、出来るだけ明るく冗談ぽく物語とかでよくある事をいってみる。


「アハハ、君なら。弟君を贄にした人達の息の根止めたり、神様達を脅してどうにかしようと、しそうだね〜!!」


 蓮華の言葉に、キョトンと目を開きえっ?っと首を傾げる。


「何故分かった?ーーまぁ、時間が無かったから……取り敢えず弟にした事を関係者達にして。それから、弟が消滅しかかっていたので神達を脅、に言って、誰かポンとサポート役にポイントを使う者が居ないか探させていただけ……だが?

 ああ、後そんなバ…ヤツを観察させてもらっていたな」


 少年は、何か可笑しな事をしたか?こんなの普通の事だろ、という顔をして蓮華達を見て来た。



 わあ~、凄い…な〜。さらっと本当にサラッと言ったけど、それって凄い事だよね?

 まぁ、大切な弟君がそんな事になったら……ね?関係者の人達は自業自得って事で、気にしない様に仕様。あんまり深く考えると……怖いから。


 脅したの……?神様達を?………本当に凄いね、この人。あれ?今バカって言おうとした……?

 それに観察してた……って、ヒスイとルリと契約してから見てた?二人とも契約だけでも……そう言えば…驚いてたよね?しかも、追加ポイントも払ったら……もっと驚いてたし。

 もしかして、居ないの?追加ポイント払う人。だから、こんな怖い人が私の所に来ちゃったの?

 ………マジ?



 蓮華の様子を見ていた少年は呆れた顔を向けていた。


「まぁ、君がバッ…ン、ま、フー。取り敢えず私達と契約をしろ、今直ぐに」


 少年は真剣な眼差しで、そう言い蓮華に詰め寄る。

 そのあまりの迫力に蓮華は思わず後に下る。


「あっぇ?契約するから……、その圧仕舞って?お願い」

「本当だな?」

「うん。だから……ね?」


 その言葉を聞いた少年は一歩下がり、それまで出ていた圧を抑える。



 あ、圧は弱まったけど……完全に仕舞ってはくれないんだ………。

 取り敢えずさっさと、契約?して休みたい。



「それで?契約ってどうやるの?」

「ああ、『従魔』の所に俺と弟のカードが有るだろ?」


 少年に言われて、『従魔』の所を開き見てみると、確かに二人のカードが有った。



(本当に有った!?アレ?……でも、これ……。何で)


「………ねぇー、何で……名前が、無いの……?それに、弟君の所………」

「消滅しかけの弟を助ける対価にした。……弟も無いのは、………しかけたからだ。そういう事にしてくれ……」



 ぅあー。気不味い。少年の名前を対価にって……。しかも、弟君の名前も?………でも弟君のカードには、『消滅した』って……書いてあるんだけど?

 少年の方は読めないし、コレ本当に対価は名前だけなの?


 少年は詳しく聞いて欲しくないみたいだし、後から絶っ対問題になるヤツだコレ。ただ、今直ぐにどうにか出来ないし。取り敢えず様子見って事にしとこかな?



「今は深く聞かない事にするけど、ちゃんと話してね?弟君に話した後でも良いから……」

「すまない。いつか話す」


 蓮華と少年の雰囲気が重苦しくなり、ずっと蓮華の足にしがみついて居たヒスイとルリが、心配そうにオロオロと二人のやり取りを見守っていた。そんなヒスイとルリを大丈夫と頭を撫でる。


「それで?此処からどうしたらいいの?」

「まず俺のカードを押してくれ、それからカードの右上に契約という所が有るだろ?」

「う〜っと?……あ、有った!?」

「それを押して、後はサポート役の二人にした様にしてくれれば、大丈夫な……はずだ……」


 話を聞きながら操作をしていた蓮華は、少年の最後の小さな言葉に、驚き操作を止めた。


「ーーっえ?大丈夫なはず?って!」

「い、イヤ大丈夫だ!続けてくれ!?それから……俺はいいが、弟に変な名前を付けたら………どうなるか…」


 少年が最後まで言い終わる前にズッンっと空気が重くなり、その目は冷たく鋭かった。


「………うん。え〜っと、ネーミングセンス自信無いけど……その、付ける前にその名前で良いか……聞くから、落ち着こう?ね?」

「まぁそれなら………。」

「取り敢えず、少年の方はフレイで弟君の方がイデアって考えてるんだけど?ちなみに………、ぱっと思い付いた………好きなキャラの名前何だけど?」



 あれ〜!?気に入らない!?ムッスっとして考え込んじゃったよ……、本当にこの反応はどっち?

 イヤ、本当。私苦手なんだよ……名前付けるの……何時も結構悩んで本とかネット使うのにな〜、でも今無いから付けるの自信無いけど……好きなキャラなら変な名前じゃないはず……。


 あぁ、ヒスイとルリの時と違ってポイントが先でも良いんだ〜。

 名前は後にして……ポイントを払っちゃお!?でもポイント……かぁ〜、少年の方はヒスイとルリと同じでも良いんだろうけど……、問題は弟君なんだよね〜。まぁ、五万ずつにしとこうかな?足りなかったら追加というか強化を頑張ろう。



「………俺がフレイで弟がイデア……か。フーゥそれでお願いする……。それで?俺が悩んでる時に何を?」

「?う?ああ、あのね?少年と弟君のポイントを先に払ってたの。五万ほど……ヒスイとルリの時は二万だったけど……、弟君の事を考えると……これ位かなって……?思ったんだけど」

「「「……五万……?!」」」


 大人しく蓮華の足にしがみついてたヒスイとルリも驚き、少年改めフレイの声が揃って呟いた。



 わ~三人とも声揃ってるな~、これなら……直ぐに仲良しになれるかな?ヒスイもルリもフレイの事を怖がってるみたいだし……。でも、フレイはイデアの事すっごく大切にしてるから……、多分身内には甘いタイプだと思うんだけど……。まぁ、会ってすぐだから様子……って、……えぇーーー!!!



 フレイの姿はそのまま少年の茶色の髪にキリッとした、ラベンダー色の目をした綺麗な顔をした姿だった。そして、イデアは……ぐったりとした、七〜八歳位のフレイに似たふわっとした茶色の髪で、目は閉じていて分からなかった。


 蓮華はイデアの様子を見て、無言でカードを操作し始める。そして、素早くポイントを追加をし決定ボタンを押して、フレイに話しかける。


「フレイ?取り敢えず追加でポイントを払ったし、今日はもう此処で休もう?何でか『ショップ』の所に、テントをポイントで強化すると、中がグランピングみたいに成るんだって。だから、このテント買って強化してご飯食べて寝よ?」


 追加でポイントを払い先程より、穏やかになったイデアをまだ心配そうに見ているフレイに休む様に進める蓮華はちらっと足元のヒスイとルリに視線だけで見る。

 フレイは蓮華が視線だけで見たヒスイとルリに向ければ、二人が五万も最初に払われて驚き、しかしイデアがぐったりしているのを見て怖くなったのか震えながらフリーズしていた。


「…………。そう、だな……。ポイントは……平気なのか?かなり使っているだろ……。」

「あーー。うん、まぁそこそこ使ってる……かな。それより!このテント……な・ん・と100ポイント!強化に100ポイント使ったんだけどね~。まぁ、そのおかげで?テントの中が3LDK!しかも部屋が広い物になったよ!後、強化したおかげで追加効果で回復と健康が付いたみたい!?」


 蓮華はテントについて説明をする時テンションを上げてフレイにそう言って、これで少しは安心出来るでしょ?と言葉にはしないが伝える。


 蓮華にそう言われ、フレイはこわばっていた身体から少し力が抜け、顔の表情も穏やかなる。



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