第4話 死刑宣告

配信が終わる直前。

〈食え〉

〈早く〉

「分かったよ…いただきます…」

俺が今食べようとしているのはスライムゼリー。

配信は3時間ほど続き、途中からスライムについてのコメントも全く出なくなったので逃げられるかなーって思ってたら叩かれた。

だから食う。

「うーん…微妙。食感はゼリーそのものなんだけど、味なんだよなぁ…ゴムみたいな味がする」

〈それは将軍が人間だからでは?〉

「あー、はいはい。じゃあもう面倒臭いし次回の配信ねー?」

〈ふざけんな〉

〈ちゃんと食え〉

〈忘れてるだろ〉

「それはお前らが知らせればいいだろ?」

そう言って強制的に配信を切る。

「ふぅ…帰るか」


家に帰ると、姉が玄関の前に突っ立っていた。

「どうした?姉さん」

「あのね、落ち着いて聞いてね、葵…」

「どうした?」

何を言われるか予想がつかない。

「…明日ね、学校再開するって」

「…え゛」

「……」

「終わったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………………俺の人生終わったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……………………………………」

「ちょっと、葵?大丈夫?」

「大゛丈゛夫゛な゛訳゛な゛い゛た゛ろ゛……………女体化してのこのこ普通に学校行く方がどうかしてるよおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ………………」


⭐︎★⭐︎

【遥目線】

どうも、高麗葵の姉、高麗遥です。

葵が死刑宣告されました。実行は明日です。

誰にも言えない事だけど、私って結構ブラコンなんだよ?

葵が可哀想過ぎる。

「明゛日゛学゛校゛休゛む゛か゛ら゛よ゛ろ゛し゛く゛…………………ゴホゴホ、嗚呼喉痛い。ゴホゴホ、頭痛い。うわぁ、熱だ。うわあぁぁぁ………」

…葵さん?

ふざけてないよね?

その演技、下手過ぎだよ?

「分かった。今のは演技だと分かってるからね?明日とりあえず休む連絡入れとくね」

「…………姉さん神」

「ありがと」

ひとまずご飯炊くか。葵が半泣き状態で前食べ物喉に詰まりかけたことあるからおかゆにしよっと。

「……できたよ」

「えぇ、おかゆ?」

「この前たこ焼き喉に詰まらせたの誰だっけぇ?」

「…………はい、俺です」

素直でよろしい。


二人ともご飯を食べ終わった。次は風呂だ。

あらかじめ風呂は沸かしてある。今さっき沸いたところだ。

「葵ー、お風呂入るよー」

「じゃあその後俺が入るわ」

「違う!」

「…ゑ?」

「一緒に入ろ。今は女同士だし」

「え!?嫌だ嫌だ!」

「何よ、8年前までは一緒に入ってたのに」

「それはもう昔の話だろ!?」

「葵のけーち」

あっかんべーをしてやったが、葵は無視して風呂に入って行った。

…やっぱ、昔と変わんないな。

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