第5話 何の変哲もある平日

きょう、おれはがっこうにいくはずだった。

でも、にょたいかしてからはいしんいがいろくにそとにでなかった。

どうきゅうせいとあったりしたらたいおうがめんどくさそうだし。


「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ………」

【遥目線】

はいどうも、葵の姉遥でーす。

前回ぶりですね。うん。

只今葵さん、精神崩壊してます。

これまあ私のせいとも言えるんですけどね。


⭐︎★⭐︎


「ふわぁ……おはよ、姉さん」

「葵、今日遅いね?女体化してなかったら遅刻だよ」

時刻は10時を回っていた。

葵の通ってる徳河とくが学園がくえんはここからならば遅くても7時半には家を出ないと遅刻する。こんなのじゃ休み(?)明け早々に寝坊で大遅刻だ。

「うん、分かってる」

「朝ごはん何が良い?」

「目玉焼き」

「…葵、いつもそれだよね。卵値上がりしてるんだからちょっとは他の料理にしてよね?まあいいけど」

「よっしゃ!」

そういうと葵は早速スマホに手を伸ばしてゲームを始めた。

「…ねえ、葵」

私は敢えて声を低くした。

「どうした」

「……あのさ、葵。このまま男に戻るまで学校休むつもり?」

「それがどうした」

「………もしも、だけどさ。二度と元に戻れなかったら、どうす-」

るの?

そう言いかけた途端、葵がスマホを手放し、固まった。

幸い、スマホはふかふかカーペット(略してふかふカーペット)の上に落ちた為、割れなかった。

「…葵……?」

「ああああああああああああああああああああああああ…………………………」


⭐︎★⭐︎


そして現在に至る。

…どうしよう、こいつ。

取り敢えず今は昼なので昼飯食うかと誘ったら小声で何か呟きながらも食べた。

そして寝た。声が枯れて疲れたのだろうか。


⭐︎★⭐︎


凛空りんくー?居るー?」

「入れ」

ここは私の同級生、保科ほしな凛空りんくの家。

彼は大学を卒業してから科学者になった天才だ。

「あのさー、葵が女体化した話についてなんだけど-」

「分かってる。性転換の薬だろ?今作ってるから待って」

「早っ!どのくらいでできる?」

「わかんない。でも明日中にはできる」

「もうちょっと早くできない?」

「…そうだな。弟も女体化してるしな…但し俺に10万円くれ。もし俺が明日の6時までに作れなかったら10万円は返すって感じでどうだ?」

その弟とは保科ほしな凛斗りんと君。

凛斗君は葵とは違ってワールズ探索中に未確認モンスターに不意打ちされ、女体化してしまった…らしい。

「もうちょっと安くならない?」

「これでもかなりサービスしてるぞ?10万円。これが最低条件だ」

「分かった。お願いねー」

私は財布から11の一万円札を取り出すと、凛空に渡した。

「ああ。葵君にもよろしくって伝えておいてくれ」

そして何円か確認すると、

「おい、一万円多いぞ!?」

「知ってる。一万円おまけ」

「お前なぁ……」

凛空が薬を作ってくれれば、感謝しきれない。

そんな思いを込めて私は凛空の家けんきゅうじょを後にした。

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