第6話 薬

【凛空目線】

 …よし。

 徹夜で性転換の薬を作った。

 現在午前2時。

 約束の時間の4時間前だ。

 完全解除は能力を使った本人が解除するか、死ぬかしないとできないが、この薬ならどんな条件でも短時間だが性転換できる。

 これが薬の内容だ。


 名称:性転換薬

 開発者:保科凛空

 ・2時間の間、性別が変わる。

 ・効果が出ている間、状態異常になると、激しい痛みを伴う。

 ・10分以上間を空けずに5回以上連続で服用すると効果が無くなる可能性がある。


 うん。

 こんなもんかな?

 名称まんまというツッコミは無しで。

 結構頑張ったけどね?作りながら名称ずっと考えた結果がこれです。

 APT◯アポトキ◯ン4869みたいなかっこいい名前つけたかったよ?俺だって。

 とりあえずそれは置いといて。

 まだこれは試作品。

 凛斗や葵君が服用しても大丈夫な様、俺が自分の体で試してみたい。

 元に戻るかを含めて、な。

 緑色の妖しげな光を放つ薬を、俺は水と一緒に飲み干した。


 ⭐︎★⭐︎


【遥目線】

 コンコンコン

「はーい」

 現在早朝6時。

 私はノックされたドアを丁寧に開けた。

 凛空の試作品は完成したのだろうか。

「遥ー、完成したぞ。で、ちょっと頼みがあるんだけど…」

「どうした」

「ここで…寝かせて欲しい…」

「…は?」

「は?じゃなくてさ。俺、徹夜で眠いんだ。寝かせて…くれ………」

 言われてみれば眠そうだ。

「あ、うん。いいよ。ソファーでも大丈夫?」

「ああ……」

 そういうと凛空は倒れて、いや、寝てしまった。

 素早く体を受け止める。

 …凛空ったら、わざわざ徹夜してまで作ることは無かったのに。

 ……雰囲気ぶち壊しだけど、金目当てかな?

 まあだとしてもいいや。これがあれば葵の引きこもり生活も終わるんだから。

 ソファーで凛空を寝かせてから10分後。

「おはよ」

 葵が起きてきた。

「葵か。おはよ。でも静かにしてね」

「なん-」

 で。

 そう言いかけたのだろう。

「え!?なんで凛空さんがいるの!?」

『うるさい!』

 そう耳打ちすると葵は黙った。

『凛空がね、一時的な性転換の薬を作ってくれたの。コレがあれば学校行けるでしょ?』

『うん、まあ、確かに……』

『とりあえず今週は休んで良いから!来週には登校できる様に!』


【葵目線】

 俺は差し出されたカップ麺を食い終わると、すぐに配信へ出かけた。

ちなみに凛空さんはカップ麺の3分タイマーの音で起きた。すみませんと謝ったらもう眠気は飛んだらしい。凄いなこの人。(姉さん曰く、凛空さんは30分前に寝たらしい。)

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