第17話 もみじの散り際

【二年前】

【もみじ目線】

「よーし、ここが金剛石ダイアモンドの洞窟か…」

名前からに贅沢そうな場所であると思っていたが、思った数倍綺麗だった。

「なんでここが危険区域なんだろ」

〈もみじ、気をつけろよ…〉

〈ガチで危険だから……〉

「そうなの!?気をつけなきゃ。じゃあ、入りまーす」

一歩踏み出した途端、途方もない寒気を感じた。

「うっ………」

〈大丈夫か?〉

〈無理すんなよ〉

〈おい、もみじの後ろになんかいないか…〉

〈え、あれって〉

〈紅葉ちゃん逃げて!!!〉

「えっ!?」

振り返ると、結晶を身に纏った龍が居た。

「あ、あああああ………………」

生まれてこの方感じたことのない恐怖。

怖い。

それ意外に考えられることがなかった。

〈おい、逃げろ!〉

金剛ダイアモンドドラゴンだ……!〉

〈死ぬぞ!〉

「あ、ああ、ああああ……………」

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

〈無理だ…もう………〉

〈ダイアモンドに………………………〉

〈もみじさんが死ぬなら私も死にます〉

〈おい……もみじ………〉

〈配信中に死ぬなんて………………〉

〈おい、あの龍の好物は…元人間の金剛石だそうだ〉

〈うわあああああ〉

〈希望を掻き消すな〉

〈もみじ……〉

〈もみじよ、死んだら許さん〉

〈俺も後追いしてくるわ〉

〈やめろドラゴン〉

〈俺らのもみじに何をする〉

〈ドラゴン死ねドラゴン死ねドラゴン死ねドラゴン死ねドラゴン死ねドラゴン死ね〉

〈グロいって………………〉

〈18歳未満は即ブラウザバックして!!!!!〉

〈あああ…………………ああ…〉

〈もみじが最期まで動けなかった理由がわかった……〉

〈誰か来たぞ…〉

〈誰か知らんが逃げろ〉

〈あいつ………後追いするって言ってたやつか〉

〈やめろおおおおおおお〉


【アナウンサー目線】

私は原稿に目を向ける。

くれないもみじさん、金剛石ダイアモンドの洞窟で死亡………

…もみじさん、まだ16歳だったはずなのに。

石化ののちドラゴンに喰われた…

残酷ね……

政府は金剛石ダイアモンドの洞窟内とその周辺のエリアの立ち入りを禁止…

そりゃあそうね。

ご冥福をお祈りします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る