第12話 事故
俺らの母は俺が生まれた数ヶ月後に亡くなった、と姉さんからは聞かされている。
……が、最近それが本当かどうか疑っている。
あまり覚えていないが、母は髪が肩下くらいまであり、茶髪だった気がする。
でも、その記憶には姉さんがいなかった様な…
記憶の中では父さんも別人だし、俺の妄想なのだろうか?
そういえば、父さんが亡くなってからもう4年も経つのか…。
……こういう事考えるのはやめだ。
今日は寝よう。
⭐︎★⭐︎
父さんが出張から帰るはずだった日の前日。
父さんと一緒に飛行機に乗っていた男性が高麗家を訪ねてきた。
「父さんが亡くなった!?」
姉さんの大声を聞いて、俺は起きてしまった。
最初のうちは姉さんが深夜に大声を上げた事に苛立ちを覚えていたものの、その直後に姉さんの言葉を思い出した。
-父さんが死んだ。
俺は姉さんと二人きりで生活していけるのか。
姉さんは成績は良い方だが、不器用な上にうっかりやだ。
そして姉さんは料理ができない。
本っ当に。家庭科の授業サボってたのかというくらい。
まだ3年生で家庭科の授業が始まっていない俺ですら姉さんよりも
幸い父さんは遺産を全額俺らにくれたが、それが無ければ俺らは餓死するだろう。
「葵!父さんが亡くなった!」
「聞いた。それで起きた。所で、父さんは…何で、死んだんだ?」
「起こしちゃった!?ごめん。父さんは出張の帰りの飛行機が墜落事故に会って……」
「…そっか」
父さんは北海道に出張へ行っていた。
……一昨日、「また三日後、帰ってくる」って言ってたのに。
帰ってきたのは訃報だった。
「…父さんの嘘つき…」
「……………」
「………………………」
「…あの、お二人のお父さんからこれを預かってるんですけど……」
男性からは、シマエナガのぬいぐるみを貰った。
姉さんが欲しいと言っていたぬいぐるみだ。
「………!」
ぬいぐるみは少しだけ焦げていた。
墜落した時の炎で焦げてしまったのだろう。
父さんが亡くなった時の悲惨さを思い浮かべて、声を上げて泣いてしまった。
⭐︎★⭐︎
…あれ。
夢か。
いつのまにか朝になっていた。
-父さんの名前は
とても優しい人だった。
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