第10話 電話

「はあぁぁ……」

配信が終わった。

…暇だ。

友達と遊びに行こうとでも思ったが、よく考えたら性転換してるんだから無理だ。

はずい。

プルルルル

…電話だ。

『将軍!?ネットで騒がれてたけどどういうこと…?』

親友、新田にった涼真りょうまの声だ。

やばい…!でももう隠し通せない。配信なんてしなきゃ良かった。

でも落ち着けと心に怒鳴り、冷静になった。

「…ちょっと待て」

急いでトイレ(バリアフリー。男女のトイレは両方入るのに抵抗がある。)に駆け込む。

「見ての通りだ。保科もそうだろう?俺は原因分からないけどさ…?」

保科凜斗は俺の同級生。

凜斗は一応毎日学校に登校している。勇気があるのか、凜空さんに行けと言われているのかは知らんけど。

『将軍思ったより声変わってないねー。後、保科は原因分かってたんだ』

「悪かったな、声変わり前で。保科はお兄さん曰くワールズで未知のモンスターに襲われた、らしい」

『へぇ。で。いつ学校来るの?』

え……………

「ら、ららら来週から行こうと…???」

『でも葵、皆勤賞取りたいって言ってたじゃん』

「うぐ」

『ズル休みは駄目だよ?』

…………………

「………行けば良いんだろ…?」

『うん』

「しょーがねーな…でも急には無理だから早くても明後日だぞ…?」

『やったー!』

「もう切っていいか…?」

『いいよー!じゃあなー!』

ブツッ

電話が切れた。

そして姉さんにかける。

「姉さん?」

『葵からかけてくるなんて珍しい。どした?』

「友達が明後日から学校に来いって…」

『で、それを引き受けた、と?』

「うん…」

『学校行きたかったの…?』

「違う」

『…馬鹿なの?断ればよかったのに』

「俺が昔言った事からボロが出たんだよ………」

『へぇ。まあ、徳河の女性用制服はスカートありだから、注文しとくね』

「え…!?ちょっと、姉さん!?」

『?何?』

「今のままでいいから!」

『よくない。可愛いんだから勿体無いし』

「男子に可愛いなんて言うな!」

『今は女子でしょ?』

「心の性別は!男!」

『はいはい。でもスカート履かないと校則違反だから履かなきゃ駄目だよ?』

「うっ…もうこうなったら校長先生に特例出してもらおう!」

『ええ…もう注文しちゃった』

えええええええええ…!?

「返品」

『無理』

ああああっ!

俺はダッシュで家に帰った。

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