魔女の証明〜魔女の雨を辿って、貴女のところまで〜

止むことのない世界中に振り続ける雨、大昔に魔女が降らせたというおとぎ話があった。

魔女の存在を誰も信じない世の中、五月雨青嵐は魔女の存在を信じていた。
記憶喪失の彼が持つ数少ない記憶、そこにいるひとりの女性、彼の育ての親である白髪に真紅の瞳の女性、彼女は自身を魔女だと名乗った。

邪教徒と罵られ、蔑まれようと彼は魔女は存在すると、母は悪人ではないと信じ続けていた。
身体が覚えてる優しいぬくもり、彼の失われた母親との記憶、ただそれだけを求めて。

何もかもが抜け落ちた停滞の中にいた青嵐、彼の時間は霞草椿によって再び動き出す。

「行こうよ、魔女を探しに」

子供らしく、それでいてどこか妖艶な雰囲気の椿が差し伸べた手を青嵐は掴んだ。
なぜ雨を降らせたのか、なぜ突然に自分の前から姿を消したのか、…続きを読む