一夜にして変わり果てた世界で、人類は狩られる側へと転落した。
妖魔が跋扈し、植物さえ牙をむく。
弱肉強食となった世界で生き延びるため、女子高生だった主人公は一つのコロニーに身を寄せていた。
「首長」と呼ばれる男性のリーダーに統率され、役に立たない者は容赦なく捨て駒にされるコロニー。
しかしそこには「女神」がいた。
ポストアポカリプスもので、スリラーやミステリーの要素もあり、読んでいて飽きるということがありませんでした。
極限状態での人間の醜さと気高さが両方描かれていて、そこに妙なごまかしが無いところが良かったです。
いくつもの謎とそれに対する解を丁寧に積み上げて、ラストの怒涛の展開に繋げる手腕。それをこの話数で完結させるため、しっかりと錬られたのであろう構成にも唸らされました。
映画を一本観終わった後のような満足感があります。
完結していますので、ハラハラドキドキしながら結末まで一気読みすることができるのもオススメできるポイントです。
ファンタジーでありながら本編に出てくるキーワードにはSFやサスペンス要素もあります。
女神がいて、妖魔がいて、人は生きるために妖魔と戦わざるを得ない人間の心理描写、特に女性キャラの機微な心の動きは秀逸です。
一方で人間の持つ本質的な恐ろしさも描かれており、その辺はファンタジーでありがちなごまかしもなく、現実的であったりします。
さらに戦闘部分は映像を見ているかのような気分にしてくれます。『エイリアン』『ウォーキング・デッド』等、近未来サバイバルがお好きな方には打ってつけです。
この先、本格的な妖魔との戦いに入っていきます。怒涛の展開にさらにのめり込むこと間違いなしです!是非とも一読してください。