平成元年(昭和六十四年)への応援コメント
こんなの感想かけねーっすよ!
ってのが正直な今の感想。
クソデカ感情でぐちゃぐちゃにされた感触に関しては言語化が難しいので、言語化が簡単な枝葉の話からします。
次々に緊張感を生み出してくるので止まれなかった。動物って不確実なものは解決したいという本能があって、すなわちそれが原始的な好奇心で。話の緩急は一見地味なのに読むのが止まらないものって、この不確実性と緊張を出して読み手の本能をフックするのがうまくて、俺はそれを好奇心ドリブンって勝手に呼んでます。ホラーなんかがそのわかりやすい典型です。
不確実性と緊張を解決したいという本能とそれが達成されたときの神経科学でいうところの報酬が、与えられるストレスよりも上回ることによって「なんでこんなにも傷つけられながら読む手を止められないんだ」という娯楽が成立する。
この作品は少なくとも俺にとっては好奇心ドリブン小説だった。簡単にいえば「どうなっちゃうんだよ!」ってやつ。安っぽく聞こえてたらすみません。
ディアの時も感じたのですが、つるさんの作品はこの「不確実性と緊張感を出して読み手の本能をフックする」速度感が現代的だなぁと思ってます。割と計算してやってるのかなぁとも思ったり。道具としてそれをうまく使って、なかなか人が踏み込みにくい重いものをずんずん読ませるようにしてる。
不確実性と緊張の開放と解決が、暴力によってなされるのもすごい。非常に丁寧にそれがただの不快な行為にならないように、それでいて都合のいい人物像にもならないように綱渡りしてる。暴力によってされるせいで、それが報酬であると同時に新たな不確実性と緊張になってるから無限ループなんだよなぁ。それをずっと続けて、最後に真の開放がくる。
読み手の気がそれたり白けたりすると好奇心ドリブンはうまく機能しないので、読んでて文章に引っ掛かりがなくて五感がぞくぞく刺激される表現力が基盤にあるからこそと思います。今回は本当に文章が一段垢抜けてて (なんかこの言い方も上から目線ですみません、うまい表現がみつからなかった) 五感がフル活動ってかんじでした。
梨を切ったときの白とか、香りとか。あのみずみずしさで光がテラっとする感じとか、かじったときの音も。肌の白さも、夏の日差しも。そして何度も登場する印象的な場所も。モチーフがあって、それらとの五感の繋げ方、連想のさせかたも自分とうまく波長があってた。例えるなら美術監督がいい仕事してるなー感。
ここまでは枝葉の話です。
可能であればどう心を動かされたかについて書きたいのですが、これがむずかしい。言語化してしまうと別物になってしまうような。かれこれ二十分くらい悩んでますが諦めました。
おそらく単に、自分でもよくわかってないんだろうな。
でも、これを言語化できるようになることだけが正しい読書ではないと思う。
言い訳ですが。
とにかく最後は喉の奥が熱くなった。
よき体験でした。
ありがとうございました。
作者からの返信
八軒さま
読了有難うございました。
また「書けない!」と仰いながらもこんなに長いコメント、ありがとうございます……!
今作はいままでとまったく違う作風で(通じるところはありますが)こちらを八軒さまがどう捉えるかどきどきしながら通知を見ていました。結果、お心に残ったようなら、なによりです。
「どうなっちゃうんだよ!」と先を読ませるフック、八軒さまが言うところの「好奇心ドリブン」。満ちていましたか、よかったです。重苦しくセンシティブなテーマを含んだ作品なので、どこまで読み手がついてきてくれるかはすごく気になっていました。重苦しくはあっても、エンタメでありたいとは思っているので。
ただこのフック、私はあんまり意識的に使ってる自覚はないのですよね。ディ・ア・レ・ストのときから展開が早いのは特色だと思っているのですが、それよりは抑えたつもり、くらいしか。結構感覚でやっています。ここのへんでこういうシーンがくるといいかな?くらいの。とくに今回はプロットの立て方がまず各話の「時代を決める」→「その時代の世情を調べて登場人物がどう感じたかを考える」というところからストーリーを練っているので、ストーリーの組み立ては、自分でもいつも以上に先の見えない感がありました。暴力がフックの推進力になっているのも、ご指摘いただいてはじめて「なるほど」となるなど。テーマが「暴力」「性」「時代」みたいなものなのと意識して書いてたので、それが滲み出た感じでしょうか。ともあれ、こうやって自分が無意識に書いてる部分をこうして言語化して下さるのはありがたいです。
文章の表現力も今回は力を込めた部分ですので、そこに目を留めて頂けたのもうれしかったです。とくに梨の描写はキーなので心を砕きました。よかったです!まだまだ語彙力も表現力も足りないと日々思っていますので……。
感想の言語化、むずかしいですよね、これ……。他サイトでも連載していたのですが、そこでいつも「言語化の鬼」みたいなコメントを書いてくださる方がいるのですが、最終話にその方が「語彙が見つからない」とだけ書いてくださったのを見て「そうか……」とは思ったのですが、肝心のわたしでさえ、いまもこの小説をどう紹介すればいいかわかりません。良太郎と邦正のエンドも、書き上がったとき「こうなるんだ……」とちょっと呆然とした記憶があります。でも、それでいいとも思っています。読んだ方が彼らの生き様になにか感じていただければ、この作品はそれでいいと思っています。八軒さまが「喉の奥が熱くなった」と言い表してくださったのは、そういうことだと思うので、読んでくださりほんとうにありがとうございます!としか、もう、わたしには言葉がありません。
今回もありがとうございました!
感謝いたします。
編集済
大正十五年(昭和元年)*への応援コメント
当方の自主企画に参加してくださり、ありがとうございます。
つるよしのさんの作品では、今まで「匂い立つは黄金の薔薇」や、Oセンセイのお話が好きで読ませていただきました。この作品もこれから最後まで読むのが楽しみです。
このプロローグでは、良太郎が強い者にこだわる意識を植え込まされた場面が強烈に印象に残りました。それがこれからの話にどう繋がっていくのか、続きが楽しみです。それと梨のみずみずしさに思わず涎が垂れそうになりました。
PS. ご丁寧な返信をありがとうございます。7月20日までの公開予定なのは残念ですが、今のペースでいけばそれまでに最後まで読めると思います。でも万一、間に合わなかったらお言葉に甘えて多少の延長をお願いするかもしれません。その際はよろしくお願いします。
作者からの返信
田鶴さま
おいで下さりありがとうございます。また素敵な企画立案ありがとうございます……!
黄金の薔薇やエッセイ、その節は熱心にお読み下さりうれしかったです。またこうしてコメント欄でお話しできるのは何よりの幸せです。
この作品、いままでとまったく違う作風の男ふたりの昭和憎み愛史なのですが、ドロドロは間違いないかと、企画に参加させていただきました。男性性の呪いを受けた男と、それにそぐえない男。彼らの行く末を昭和史に託しました。梨の描写は力を込めて書いたのでうれしいです!
なお、勝手ながら、こちら7月20日までの公開予定なんですね。
でも「あともうちょっとなんだけど……!」みたいなことありましたらお声がけ下さい。ちょっとは伸ばせます……
いずれにせよ楽しんで頂けますよう!
平成元年(昭和六十四年)への応援コメント
ひたすらに複雑な感情が押し寄せてくる凄まじい作品でした。
それぞれ過去やお互いに囚われて苦しむ二人の内面と人間性が深く描写されていて圧倒されるばかりです。
壮絶で目を離せない人生を結末まで読めて感慨深いです。
作者からの返信
右中桂示さま
読了ありがとうございます。通知を拝見するたびに「今あの箇所を、どう感じておられるだろうか」などと思っていました。じっくり読み進めて頂きましたこと、感謝いたします。
わたしは「人間とはままならないもの」「理性ではどうにも出来ないことがある」という考えを創作にも滲ませることが多いのですが、それを説得力ある描写で描き出していられたら幸いです。凄まじいとのお言葉、うれしいです。人間の交錯する感情を鮮やかに切り出せていたら良いな、と思います。
彼らと一緒に昭和を駆け抜けてくださり、ありがとうございました!
平成元年(昭和六十四年)への応援コメント
彼らの行く先や想いの交差に、のめり込んでしまいました…
最後にした決断は、邦正が考えに考え抜いた復讐、かもしれませんが、そこにはその一言では言い表せない言葉が相応しい気もします。そこに優しさもあるような、邦正さえも理解しがたいような、認めたくない言葉。
「男」に取り憑かれてしまったかのような良太郎も、邦正がいたからこそ、その事実に最期、気が付けたのかもしれませんね……
とても読みやすく、時代情景も感じられて心地よかったです。
素敵な物語をありがとうございます!
作者からの返信
凛々サイさま
一気に読了ありがとうございました!
なのに、お返事遅くなりスミマセン!
のめり込んでしまったとのお言葉、嬉しいです。自分でも訳の分からん変な熱量を持って書き進めた作品ですので。
仰るとおり邦正の最後の決断は、良太郎への究極の復讐なんですけど、ほんと、この感情をなんと呼べばいいのか。正直いってわたしにも分かりません。きっと誰にも理解できない、本人でさえ理解できない感情。でも人間は多かれ少なかれ、そういうものを内包して生きていると思うんですよね。
ふたりの行く末を見届けて下さったこと、心より感謝申し上げます。
大正十五年(昭和元年)*への応援コメント
たまげたなぁ……文章から嗅覚を刺激されるとは思いもよらず。この暴力性を孕んだ甘露さを識った良太郎は何処へ向かうのやら。
作者からの返信
メイルストロムさん
ようこそ昭和の梨畑へ!
お返事遅くなってしまいすみません。
嗅覚刺激されましたか?ありがとうございます……!とても注力して書いたので、嬉しいです。ここからはじまるものがたりです。
編集済
平成元年(昭和六十四年)への応援コメント
素晴らしい読書体験でした。てんえがに引き続き、魂を語彙ごと持っていかれました。それほど素晴らしい筆力でした。圧巻です。
この作品は良太郎の視点で書かれていますのでどうしても良太郎の男性性の方に目が行きがちですか、邦正もまたこの時代の男性性と戦ってきた男なんでしょうね。
小児麻痺で子供の頃から足が悪いということは、同年代の男の子達のように駆け回ることもできず、男としての劣等感を募らせてきた幼少期だったのでしょう。それを、明らかに男性の象徴であるような良太郎を蹂躙して否定することが、まさに彼の「男性性」に対する戦いだったのかもしれません。でも彼が孫にかけた、男とか時代とかに囚われないで好きに生きろという言葉が邦正の本心なんでしょうね。そう思うと、邦正もまた時代に翻弄された男だったんだなあと。
なんかもう、言葉にできないくらいにいい作品を読んだという気持ちでいっぱいです。これはまごう事無く文学ですね。いつもつるさんの作品には情緒をぶん殴られていますが、こんなに等身大の人間を鮮やかに描き出すweb作家さんを他に知りません。ぜひ多くの方に読んでもらいたい名作です。素晴らしい作品をありがとうございました。
作者からの返信
花さん
読了ありがとうございました……わああ、読んでいただけてよかったです。そしてとてもとても、勿体ないお言葉を頂いてしまった……うわあどうしましょう!ありがとうございます!
良太郎に対して、邦正にはずっと「時代にも親にも求められなかった人間」というコンプレックスがあったと思います。そんな彼を唯一認めてくれたのが馨だったわけですよね。だけど馨は良太郎に奪われてしまう。それゆえの憎しみです。戦後は戦後で、おそらくなんらかの手で自分で社会を変えようとしたけれど、結局それにも挫折している。邦正も仰るとおり、いろんなものに囚われた人生だったかと。だから、彼は孫にああいった遺言めいた言葉を掛けざるを得なかったんですよね。
「人間が書きたい、なら、なんのジャンルでも良いじゃないか」と思って挑戦した作品でした。めちゃくちゃ背伸びした感はあります。目指すところまで届いたかも分かりません。でも、花さんの心に響いたのが何より嬉しいです。
書いて良かったです!
編集済
《11》ー1への応援コメント
ここまで夢中で読んでいましたが、ここで思わず泣いてしまいました。本気で。でも良太郎への哀れみの気持ちとも違いますね。なんだろう。やっと許された良太郎への「よかったね」の気持ちかもしれません。
良太郎が今まで馨に向けて来たのは憎しみや情欲でしたが、本当はずっと彼は馨を愛していたんですよね。でも愛し方がわからずに、良太郎は暴力的に振る舞うしかなかった。良太郎が男でいる為には、力を誇示することしかできなかった。そして戦争に負け、男に組み伏せられた良太郎が唯一男でいられたのは、邦正への暴力的な憎しみの感情をずっと持ち続けてきたから。そう思うと、良太郎が愛おしいです。この不器用な男を、白く細い腕で抱きしめてやりたいです。一度だけ良太郎が馨を恋しく思うシーンがありましたが、本当はもっと良太郎は素直になって馨に甘えたかったのかなと思いました。そりゃそうですよね。いくら強くたって、ずっと強くい続けられる人間なんているわけがないんですから。
馨が生きていた頃は、ついぞ心を通わせることがなかったことを私も切なく思っていたのですが、ここで救いを書いてくれたことに感謝します。良太郎自身は「馨は俺が戦地で死んでくれれば良かった」と思っていたようですが、実は馨の方も本当は良太郎のことを愛していたのではないかなと私は思っています。女はやっぱり、自分が一度でも体を許した男を憎みきれないところがありますから(笑)
良太郎は負け続けてきた人間かもしれませんが、自分の弱さを唯一見せられる「妻」という存在を失い、代わりに邦正への憎しみで生き続けてきた彼はやっぱり強い男だったと私は思います。最後まで男を貫いた彼のこと、私は大好きです!
作者からの返信
花さん
本編最終話まで辿り着いて下さりありがとうございます!
はい、ここで良太郎には「許し」を書きました。彼は褒められた人間ではないけれど、それでも必死に足掻いて自分の生を生きたと思うんです。なら、最後に「ここまで生きたことは間違いでない」と少しでも思わせて死んでいってもらいたい。そんな気持ちで書きました。そしてその「許し」は誰によって与えられたのか、は、あえてぼやかす描写です。
そこに心打たれていただけて、本当によかった……。ほんとうにありがとうございます。良太郎を造形しつつ「彼のことはわたし以外誰も好きになってもらえないだろうな」という懸念がありましたから。だから彼のことを花さんが大好きと言って下さったこと、ほんとうに感謝です。
良太郎は不器用で、生涯、暴力衝動に突き動かされて生きて、愛する術も愛される術も知らない男ですけど、そんな彼でも、わたしは最後まで生き抜いたことに「馨」という手向けの花を贈りたかったんですよね……。
《6》-1への応援コメント
男、ひいては自分は強いと思っていた良太郎ですが、蓋を開けてみれば彼の人生は負け続けなんですよね。男に組み敷かれたのは心を折る最後のトリガーだったかもしれませんが、この男としての負け続けの人生が彼の感情にどう影響を及ぼしていくのか楽しみです。
作者からの返信
花さん
良太郎は立派な「おとなの男」になったつもりだったのに、戦争に負け、邦正に心を折られ、しかも時代にも置いて行かれる。彼からすれば「どうしてなんだ」という気持ちにしかならないと思うんですよね。でもこの時代、同じような人間はたくさんいたんじゃないかな、そう考えてます。それをやや極端なかたちではありますが、良太郎という人間で描きたかったんですよね……。
編集済
《5》-1 *への応援コメント
ここで短編の内容が来るのですね。いやもう、素晴らしいです。この作品を的確に表現する言葉が思いつかない。短編でも読みましたが、やはりあの時と比べて今回は感情の積み重ねがありますので、これがクソデカ感情かと暫く放心してしまいました。
男は強いもの、暴力性のある存在として生きてきた良太郎にとって、力でねじ伏せられるのは最も屈辱的なことですよね。しかもそれが今まで軟弱で弱いと軽蔑の対象だった邦正の思惑によってというのが。そしてここのシーンを書く為にこれまでのエピソードを積み上げてきたつるさんを物書きとして尊敬します。この場面を最も効果的に書く為の伏線の張り巡らせ方が秀逸すぎる…!
作者からの返信
花さん
はい、ここでようやっと短編まで辿り着きました。短編の設定をなるべく生かして、と考えての長編化だったので、人称と地域設定以外は変えずに書き進めました。それだけにここに至るための伏線の張り方や辻褄あわせにはかなり苦慮したので、秀逸と仰っていただいてほんとうにうれしいです。
すべてはこのシーンが礎ですが、ここが分かっていても面白く読めて、なおかつその先も楽しんで読んでもらえるように、かなり気を遣って執筆したので、花さんにそうお言葉いただけて、心から安堵しています。ありがとうございます。
平成元年(昭和六十四年)への応援コメント
何かもう言葉がないです。
完膚なきまでに叩きのめされました。
多分、「男とかどうとか関係なく自由に」のアンチテーゼで良太郎が、そして「私情に取り憑かれ自由をなくす存在」として邦正がつるよしのさんの中で生まれたのかなって思いました。
すごい作品だったな……。
レビューしなきゃ。
作者からの返信
飯田太朗さま
ありがとうございました!読了、ほんとうにありがとうございました!!
ここまでの熱量でお読みくださいましたこと、心より感謝いたします。改めましてレビューもありがとうございました。
強さ。
自由。
仰るとおりそれらを追い求めたふたりの昭和だったと思います。こんな結末ですが。
また、たまにでも良太郎と邦正のことを思い出してくだされば、これ以上の幸せはありません。渾身の一作、お届けできて良かったです!
《10》ー3 *への応援コメント
うぐぐ……これここに告白して気持ち悪がられないか心配なんですけど僕も不能気味なんで良太郎の葛藤、苦しさ、悲しさ、怒り、憤り、懊悩、その他諸々、すごく分かる……なんか泣けてきた……。
「男だから強い」が「強くなければ男じゃない」に転化されてるのも業が深くて深くて……うおおお……。
作者からの返信
飯田太朗さま
いえいえいえ、気持ち悪いとか思いませんよ。
むしろ戦後、良太郎がずーっと抱えてきた辛さや痛みにご共感いただけてありがとうございます。そういうことって、すごく男性に取って辛いことだという想像はできますが、どれだけ辛さが書き表せてるかはわたしにはわからないので…!
《7》-1への応援コメント
男の感情と一緒に敗戦兵の気持ちも書かれてるところがすごいですよね。
思うに敗戦兵の気持ちって「男の感情」のその先にあるのかなって思いまして。
「負けた男」とも違うんですよ。「負けたことにされた男」というか。「負け」は受け入れれば華やかなことなんですが、「負けたこと」はどう足掻いても受け入れられない。だって頑張ったんだから。頑張ったのに「負けたこと」にされたらこの熱いものをどこにぶちまけたらいいか分からなくなる。
……なんていうのをつるよしのさんは書いてます。すごい。女性ですよね?
作者からの返信
飯田太朗さま
わぁああ!ここでももったいないお言葉をいただいていますね…!ありがとうございます( ; ; )
そのふたつの感情のリンクが、まさに良太郎の戦後なので、ほんとうにここもうれしいですね…。重ねて申し上げますように、男ならではの感情ってわたしは想像でしか描けないので悩み苦労して書きました。特にここは作品の軸なので、どう受け取られるかドキドキものだったのです。
《5》-1 *への応援コメント
うおおおおおおおおごほおおおおえええおおえおおおお
こっ、これは致死量!
これはいかん!
でも読んじゃった!
まずい!
うおおおおすごい。これまで凌辱する立場だった人間が凌辱されるのいい。美味しい。もっともっと……!
もう、中毒ですね。
作者からの返信
飯田太朗さま
いい吐血音(?)ありがとうございます…!!
はい、ここまでの話はすべてここに帰結するためのストーリーなんですよね。
ネタを明かしますと、元々ここだけが『絡まる』という短編として独立していて、それを設定をやや変えつつ長編化させたのが『梨子割』なのです。なのでこのエピソードがすべての基礎なんです…!この前後の話が読みたい、という声に動かされて書き進めたのでした。
なのでここに辿り着いたときは安堵と「この先の戦後をどう書こう?」という戸惑いでいろいろ頭がクラクラしました。
《4》-3への応援コメント
やっぱり邦正に意識が向きますよねぇ。行原が出てきた時そう感じました。
思うに男性の頭の中って「男性を捉える脳」と「女性を捉える脳」ってのがあると思うんですよね。よくいう「男は名前をつけて保存、女は上書き保存」なんて話もこの脳みその使い方に原因があるような気もします。
良太郎はきっと「男を捉える脳」「敵へ向ける意識」が強いから邦正を思い浮かべたのかな。
作者からの返信
飯田太朗さま
行原。登場時にそう思いましたか…!お流石です。彼も中世的な容貌として描いていますからね。
脳のお話興味深いです。特に男性の脳の話、なるほどなぁと思いました。なかなか女性には体感できないことですから。
《4》-1 *への応援コメント
戦争の暗さの中にも咲く男の欲の花が大変美しい。
でも敵兵を仕留めきれないあたり良太郎もなかなかサイコにはなり切れない模様。多分根は優しい子なのかもしれませんね。あるいは自己愛が強く、それ故に自己を踏み躙る存在を鮮明に覚えている、のか。
作者からの返信
飯田太朗さま
引き続きありがとうございます。この辺は従軍兵士の手記を読んで書き進めていったところです。
良太郎は自己愛が強い、というより、凶暴に見えてけっこう平凡な人間なんだと思います。馨を襲うにしても絶対安全な立場を得てから、というあたり、彼は凡人です。それはこのあとの展開を見ても頷くところが多いのではないのでしょうか。
《2》-3への応援コメント
読めば読むほど惹き込まれてしまいます。ああ好き…!今はジェンダーレス男子なんていう言葉が当たり前のように使われていますが、この時代では邦正のような中性的な男が侮蔑の対象になるのもよくわかります。良太郎が邦正に感じる嫌悪の感情は、そんな男に対して一瞬でも良からぬ思いを感じてしまったことから来ているのでしょうか。
それなのに、同じような容姿をしている姉の馨には惹かれてしまう。これがエモいという感情か…!
作者からの返信
花さん
ありがとうございます。
邦正はほんとこの時代の「男子」にはそぐわない容貌に身体の弱さですが、知能は長けているんですよね…それは馨も同じで。
この双子のそんなところをすでに察知しているからこその、良太郎のふたりへの愛憎なのかもしれません。
大正十五年(昭和元年)*への応援コメント
ピカレスクロマンにも通じる何かを感じますね。ぞくぞく。
果実の香りから甘さまで、存分にぶん殴ってくる筆力も恐ろしい。まさに「男の暴力」。でも書いてるつるよしのさんは女性ですよね?
作者からの返信
飯田太朗さま
ようこそこの作品にたどり着いていただきました。お返事遅くなりすみませんでした!
ちょっと連投になりお騒がせしますがお返事していきます。ご容赦ください。
ピカレスクロマン。たしかにそういう味はあるかもしれません。暴力をあまり誤魔化さず暴力として書いてしまうあたり。
平成元年(昭和六十四年)への応援コメント
んーむ、ありがとうございました。
うぅむ、最後までぶれない二人の、何と言うか、在り方、感情、んーっ、表現が難しいにゃ、よし、諦めた。余韻に浸るのに専念しますにゃ!
完結、お疲れ様でした、おめでとうございます、それより何より、読み応えのある素晴らしい作品、ありがとうございました!!
作者からの返信
@hikagenekoさま
読了ありがとうございました。お返事遅くなりすみません。今回も最後までお付き合いくださり、感謝に堪えません。@hikagenekoさまにはほんとにいろんなつるの姿を見ていただけているので、お読みいただき緊張もありましたが、追いかけてくださりとても嬉しかったです。
もう、この作品に至っては、ただただ受けたご自身の感情に浸っていただきたいです。わたしもこのラストをどう言い表したらいいか、よくわかりません。
ほんとうにありがとうございました!また別の物語でお目にかかれれば幸いです。
編集済
《1》-3への応援コメント
あぁぁあーー…!やばい、もう好きしか出てこないのですが、ちょっとこの感情を自分の中で言語化する時間がほしいですね(笑)すみません、コメントがおざなりなのですが、とりあえずここまでで既にちょっと転がっております。私こういうクソデカ感情すごく読みたかった…!
押し倒した時に良太郎が感じた劣情と、邦正を殴り倒す暴力性は、一見対極にあるように見えてものすごく近いところにあるのですよね。あーーーーー好き(語彙)
作者からの返信
花さん
続いてありがとうございます。ここから始まる邦正との因縁です。第一話にしてたいへん業が深い展開でした。
そう、劣情と暴力。遠いところにあると良太郎は思ってますが、根本は同じなんですよね。お流石です。
大正十五年(昭和元年)*への応援コメント
うわ、もうこの1話だけで好き…!となりました。まるで国文学を読んでいるような重厚な文章と印象的な梨の瑞々しい描写。私は結構日本文学も好んで読むので、こういう作風大好きです!この上でつるさんお得意の人間の描写で情緒を殴られる(と噂)とかもう隅々まで好きな予感しかありません。ああやっぱり私、つるさん作品が好きだ…!
じっくり腰を据えて一文一文浸りながら読みたいお話ですね。楽しませていただきます!
作者からの返信
花さん
ようこそ昭和へ。辿り着いてくださいまして感謝します。
お返事遅くなりすみませんでした!これから返していきますね!
いつも作風がてんで違うのに、花さんに好きと言っていただけるのはなによりの喜びです。
平成元年(昭和六十四年)への応援コメント
完結おめでとうございます!!
うわーーーーーーーーー……!
まず亜紀ちゃんの「梨って『ありの実』ともいうらしいね」でうわーーーーーー!でしたね。
実は前回、良太郎は良かったけど、邦正はそれで良かったのかな、と気になっていたんです。
これから邦正は、良太郎が受けるべきだった分の罰まで独り占めして残りの人生を送るんでしょうか……あの時に割った梨……自分だけが彼の秘密を抱え込んだままで……ングゥ(窒息)
ある意味でこれ以上ない愛のようにも思えてしまってもう、ウワァァァ……
最初から最後まで素晴らしかったです。
ちょっと、しばらく余韻でぼーっとしときますね。
毎回の更新が本当に楽しみでした。ありがとうございました!
作者からの返信
陽澄すずめさま
読了ありがとうございました。お返事遅くなりすみません!また、あらためてレビュー、また各話のコメントもありがとうございます。陽澄さまのコメントを読みながら読み手の感情を探って行くことができ、その結果推敲して書き直したシーンもあります。とてもありがたかったです。
こういう帰結になりました。人間はどこまでもままならない、理性だけでは生きられない、という自分の考えや実感が色濃く出たエンドだと思います。邦正の選択はきっと誰にも(なんならわたしにも)理解し難いものでしょうが、彼ならこうするだろう、という妙な確信がありこうなりました。良太郎への愛も憎しみも、罪も罰も、みんな自分が背負うことで復讐の終わりとする。と書くと、ほんとわけわかりませんね、こいつ…。
各所で「梨」の描写にも注目していただけたのが嬉しかったです。「なし」か「あり」か、という言葉遊びがしたかったんです。もっとも舞台を梨の産地に決めたのは偶然なので、それが後付けで意味を持ってきたのはわたしもめちゃくちゃ意外で面白い経験でした。
ほんとうにありがとうございました!
平成元年(昭和六十四年)への応援コメント
く、邦正さあん!!
お別れを言うように「母さんを大事にして」という辺りから怪しい気がしていましたが、穏やかな最後すら捨ててしまうなんて……!
あの事件の事はいずれ誰かが決着させなければ終わらない、という気がしていましたが、死後に良太郎を辱めるのではなく、実行した人間であることすら世間には知られない形にしてしまう、そこまでするほど良太郎の存在に囚われていたんですね。
最後の最後で良太郎を救ったのはたぶん邦正だったのだと思いますが、憎んでいた一方では「愛し愛される人間になれない」良太郎を憐れんでもいて、亜紀への優しさに感謝もしているという、その複雑さからこの最後の行動の意味を別の意味ににも見せている気がします。
良太郎を理解できる人間は自分だけでいい、とでも言うような。
途中何度も「良太郎のあほー!」と思いながら読んでいましたが、最後まで読めてよかったです。最後は「邦正もあほー!」って思いましたが。愛憎でここまでドロドロした話は初めて読んだので、また機会があったら読んでみたいです。
作者からの返信
しらすさま
読了ありがとうございました!お返事遅くなりすみません。
邦正、アホかな?ってわたしも思います。頭がいい奴ほど常人に理解できない行動をとるというか、なんというか。ほんとは本編最終話で締めれば綺麗にまとまる話だったとは思うんです。でもわたしの頭の中の邦正が「僕ならこうします」って主張してきて、こうなりました…。
最後に邦正のなかにあった感情はなんなのか。これはわたしも言葉にはできないもので。愛ではない、でももう、純粋な憎しみでもない、だけどすべて許すわけにはいかない。そんな葛藤の賜物なんだろうとしか。結局、どこまでも良太郎も、邦正も、人間だったんだと思います。理性に、規範に、時代に沿って生きようとし、でも揺れ動く感情がそれを許さない。そんな人間の姿が書きたいと思い書いた話でした。言葉ひとつでまとめられませんが「人間だった」としか書き終わった今も、わたしには言い表しようがありません。
最後までお付き合いくださり、ほんとうにありがとうございました!感謝です。
平成元年(昭和六十四年)への応援コメント
完結おめでとうございます。
ここまで息を詰めて拝読いたしました。
ヒリヒリするような二人の感情にずっと揺さぶられ続けました。
良太郎はあくまで自身の生を生きたように思います。もちろん、そこに深く消えない傷痕を刻み、彼から男性としての幸福を奪ったのは邦正ですが、それも良太郎自身の行いの帰結と言えるのではないかと思います。
ただ、戦前という時代の感覚では、良太郎はさして悪いことをしたわけではないということになるのでしょう。
この時代が彼の中に育てたある種の傲慢さを、良太郎は生涯自覚することはなく、けれど邦正はそれに良太郎の死後も囚われ続けるのですね。
義兄さんは狡いんだよ、この一言がとても胸に来ました。
最後まで孤独に生きた(生きざるを得なかった)良太郎に対し、邦正は家庭を持ち、孫まで生まれ、はたから見れば彼の方が戦後という時代を上手く生き、幸福を得たはずですが、結局それらより、既に亡い良太郎の生を無かったものにするための道を選ぶのですね。
邦正の人生を象徴する選択だと思いました。
振り返ってみれば、この二人の人生は何だったのか――感情というもののある種の恐ろしさを感じずにはいられません。
とても引き込まれる素晴らしい作品を読ませていただき、ありがとうございました。
作者からの返信
Skorcaさま
読了ありがとうございました、そしてお返事遅くなりすみません。
ふたりの帰結、このような形になりました。結局はどこまでも、良太郎も邦正も、己を生きて、なお自由にはなれなかった、だけどそれに満足はしている、みたいな結末です。
良太郎は戦前の規範に死の寸前まで囚われ、邦正は良太郎という憎き仇に囚われ。ほんとうは無視し、でもどうにかしてやりたい相手に固執し、どうしようもなく人生を撹乱されていくふたりの男が書きたかったので、このようなラストにしました。
仰るとおり感情とは恐ろしいものだと思います。わたしの創作のベースにはいつも、人間理性だけではどうにもならないことがある、というものがあるのですが、それを昭和という舞台を借りて極大限に書き出そうと思ったのがこの梨子割です。口当たりの悪い話だとも思います。それに最期までお付き合いくださいましたこと、感謝に堪えません。
なお、「義兄さんは狡いんだよ」の台詞は、脱稿後、推敲に推敲を重ねて、更新前日に付け加えたものです。書き加えてよかったです!
《11》ー1への応援コメント
>むしろ、そうでない俺なら、お前は愛してくれたのか?
ここで涙が出ました。
自分の弱さを認めるのは、良太郎にとってはずっと耐え難いことだったでしょうね。
最後の最後で、やっと受け入れて自分を許すことができたんだと思いました。
これまでのように梨の実を割るのではなく、丁寧に剥いてもらった優しい一切れの甘さが沁みました。
作者からの返信
陽澄すずめさま
いつもありがとうございます。
良太郎が今際の際に、己の弱さを認め、気付くシーン、読み取って下さりほんとうにうれしいです。
遅すぎたのかもしれませんが、彼はここでやっと自分の人生と和解したのだと思います。馨を受け入れることは、彼にとって自分を受け入れることでもあったのですね。
いよいよ終章を残すのみとなりました。どうぞ、最後までお読み頂けたら幸いです。
編集済
《10》ー3 *への応援コメント
冒頭から綴られていた「男は強い」という命題が、対偶的に「強くなければ男ではない」というような呪いとなり、ずっと良太郎の中で齟齬を起こしていたのかもしれませんね。
今回の邦正とのやりとりで、それがくっきりと見えた気がしました。
二人の関係がどんな結末へと向かっていくのか、見届けたいです。
作者からの返信
陽澄すずめさま
いつもありがとうございます。
ついに完結まであと2話になりました。おそらく人を選ぶであろう作品にここまでお付き合いいただいたこと、心より感謝申し上げます。また、今話の陽澄さまを含めましたコメントを拝読しまして、自分がこの作品で書こうとしたテーマは伝わってることを実感し、大きく安堵しました。
仰るとおり、「男はつよい」から始まるこの物語の主軸は男性性の話です。それを支えとし、囚われてしまった男と、それに添えなかった男ふたりの話でもあります。彼らにとって「男らしさ」は支えであり、呪いでもある。そういう話です。
どうぞ良太郎と邦正の結末を見届けていただければ嬉しいです。
《10》ー3 *への応援コメント
なんとなく感じていたことなのですが、良太郎さんはずっと、自分自身にも抑圧され続けている人のように見えてきました。
なんとも言えないこの閉塞感は何なのだろう、といっても原因は時流や、良太郎さんの周囲にいる誰かから来るものと考えていたのですが、その実一番、自分が本当はどうしたいという道が分かっていない良太郎さん自身の苦しみがずっと出ていたのではないのかと、今回の話を読了してふと腑に落ちるように、曇り続けていた視界が晴れたように、そう思いました。これでそうじゃなかったら恥ずかしいですが……笑
性的描写、それも直接的とあって人を選ぶとは思うのですが、性的行為は解放や慰めを求めるものという側面が、今回の話でじわじわと見えてきたような気がします。亜紀ちゃんが来た時、良太郎さんは手を出さなさそう、出せないのではと漠然とした予感を抱いていたのですが、それも、亜紀ちゃんでは良太郎さんが求める解放も慰め得られないだろうと考えていたからかもしれないです。勃たない原因にも、良太郎さんの「馨さんはもういない」という諦めが絡んでいるような気がします。
繰り返し掻き立てられる邦正さんへの憎悪と共に、馨さんへの未練でもあって、それって一方的だけど一途とも言えるし、囚われているよなと。邦正さんと馨さんが双子であることは、良太郎さんへの二重の鏡になっているのかもしれないなと。より人間の本性が露わになる性行為があったことで、良太郎さんの凝ってしまった何かを、より理解できたように感じました。
ちゃんと伝わるか分からず見当違いかもしれず、読みにくい文章を長々と書いてしまってすみません……! でも、センシティブな回があったからこそ、より良太郎という人間の姿が浮き彫りになって、こうして色んなことを考えられたと思います。完結も間近とのことでしたので、最後まで応援させていただきます……!!
作者からの返信
葉霜雁景さま
いつもありがとうございます。
昭和を辿る物語、ようやっとここまで来れました。本日の葉霜さまのコメントを読んで、この作品で書きたいことはおおよそ読み手の方に伝わってる方がわかり、この話を書いてよかったという実感がじわじわ湧いてきています。
良太郎、とくに戦後の彼を覆う靄は、「時代に置いてきぼりにされた自分」というところに起因していると思うのですが、それは、その彼がすべての価値観と規範を委ねた「戦前」という時代の自分に囚われ、抑圧されているからこそなんですよね。それだけにどう生きていけばいいかわからない。信じていた規範にも、自分の支えだった男性性の力強さにも、頼れない。
それゆえの逡巡、それゆえの苦悩。そのなかで彼は生きてきたんだと思います。
特に「勃たない」という物理的な事実はその象徴として書いています。
加えて、この作品は歴史的、性的なこととかも含めて、だいぶんセンシティブな話題に触れています。今話なんかもまさにその代表で。人間が生きて行く上で、自分を守るために、腫れ物のようにしか触れない話題ってやっぱりあると思うんですよ。でもわたしは、敢えてそこに踏み込みたかったんです。それは創作でしかできないことだと思うので。
性的行為が人にとってどのような意味を持つか。それは本当に人それぞれだと思うので一概にはいえませんが、解放と慰め、という一面はあると思います。翻って、良太郎にとって性的行為とはなんだったか。それは馨に対する姿勢でわかるように、昔も今も彼を縛り続けている男性性による「暴力性の発露」でしかなかった。でもそのことが馨を不幸にしたことも、今となれば無意識ながらわかっている。そして今話で、邦正に大っぴらにそれを指摘されてしまったわけです。
さて、あと完結まで二話となりました。こんな人を選ぶ作品にここまでお付き合いいただいたこと、感謝しかないです。ありがとうございます。
良太郎は生涯、男性性の軛に囚われて行くのか、そして邦正は良太郎に対してどうするのか。
どうぞ見届けてださい。
編集済
大正十五年(昭和元年)*への応援コメント
梨の描写がむちゃくちゃ美味そうでした……そしてタイトル回収速い!(たぶん何度もこの回収を反復するんだろうなという顔)
作者からの返信
冴吹稔さま
ようこそ昭和へ!おいでませ昭和!
第一話がすべての芯になる箇所ですので、梨の描写にはとても力を注いだのでうれしいお言葉です。ありがとうございます。
タイトルもめっちゃ早く回収です。でもお察しのとおり、この先何度もタイトルを思い返す文脈が出てきますので、どうぞお楽しみに。
最後まで梨を味わい尽くしていただけたら幸いです。
《8》-2 *への応援コメント
>こいつを殺していいのはなぁ、この俺だけなんだよ!
そう言いながら別の二人を殺してしまうクソデカ感情のうまみがすごいです……!
梨の実が割れる。今後も二人の因縁を繋ぐ軛となりそうな、象徴的な描写でした。
作者からの返信
陽澄すずめさま
いつもありがとうございます。
「この俺だけ」っていう邦正に向けた良太郎のクソデカ感情、味わっていただけて良かったです。クソデカ感情が話の肝なので。邦正も邦正で相当抱えているのですが、それはこの先わかってきます。
梨の実が割れる。書いたときは「何もこんな物騒なシーンでタイトル回収(ここだけではないとしても)せんでも」と書き手としても呆れたのですが、象徴的な描写になっていたら良かったです。書いた甲斐があります!ほんとうにありがとうございます。
《7》-3への応援コメント
日本中がオリンピックで湧くお祭りムードの中、それとは正反対に冷え冷えとした良太郎の心境、そのギャップをとても生々しく感じました。
偏執の募るままに時を経ての再会、緊迫感がすごいです。続きが気になります!
作者からの返信
陽澄すずめさま
いつもありがとうございます!
戦後編、大分時代が動いてきました。ようやっと確執を超えての良太郎と邦正の再会です。時代についていけない良太郎と華やかな東京オリンピックのギャップ、しっかり感じ取って下さりありがとうございます……!うれしいです。同時に、平和の祭典の裏で行われる怨念溢れる2人の対峙のギャップも緊迫感と共にお楽しみいただければ幸いです。
このエピソードを書くに当たってはオリンピック開会式の式次第など調べるのがたのしくもあり、大変でもありました。
《5》-1 *への応援コメント
おおう……こうなっちゃうんですか……!
歪みに歪んだ良太郎さんの結末は因果応報って感じですが、邦正さんのこの歪みっぷりも凄まじいですね。
馨さんの墓の前で、良太郎さんの一番痛いやり方で責め抜くこの復讐、怖いんだけど圧倒されます。
邦正さんも、結局この家から離れず生きてきたのは、良太郎さんへいつか復讐するという執着があったからという気がします。死んだものと思って捨てきれなかった、その邦正さんの心中を思うと哀れな気がします。
ここがターニングポイントでしょうか?続きを楽しみに待っています。
作者からの返信
しらすさま
今日はあちらもこちらもありがとうございます!温度差ぁ……。
はい、こうなっちゃいます。ここが話の肝なので、前半はここに向かうためのすべてで、このあとが後半なのですが、そのあとのふたりを追っていくかたちとなります。
良太郎の歪みは強烈な幼児体験からですが、対する邦正の歪みは年を重ねて積み重ねてきた馨への思慕と良太郎への怨念からなんですよね。邦正は仰るとおり、馨が死んでからただただこの日の復讐のため生きていたと思います。
このふたりの男、かわいそうでは簡単に片付けられないんですけど、ともに「時代に寄り添えなかった」という意味では全く反対の立場ながら同志なんですよね。そういうテーマでもあります。
次からは戦後編です。ふたりの憎み愛、お楽しみに。
編集済
《5》-1 *への応援コメント
なんという因果。
歪みに歪んだ邦正が凄まじくいいですね。彼はずっとこの日を待ち望んでいたんじゃないかと思うと、良太郎はざまぁ……いや気の毒ですが、言いようもない昂りを感じます。
しかも、もし生きてたら好きに蹂躙しようとしていた薫の墓前で、ですもんね。いやあ、ロケーションも完璧ですね。これはすごい……
作者からの返信
陽澄すずめさま
いつもありがとうございます!
これで前半部分は終了となります。種明かしをすると、キャプションには書いてありますがもともとこの作品は今回更新分が短編として独立していたものを長編化したもので、だからすべてはここのシーンに走っていくし、今後はそのあとふたりがどうなったかを書く構成になっていて、いわばここが全ての礎なんです。(短編より設定はかなり変え加筆してますが)
仰るとおり邦正は馨を亡くしてからずっとこの復讐だけを考えたて生きていたと思います。墓前というロケーションもすべて計算ずくですね。良太郎も偏った価値観の持ち主であるように、邦正も歪みに囚われていく…というふたりの関係がこの作品の肝です。
それだけに「これはすごい」のお言葉めちゃくちゃ嬉しいです、ありがとうございます!
さあ、この後、戦後をふたりはどう生きていくのか…お楽しみください。
《4》-3への応援コメント
遠い祖国の歌……特に桜のイメージは、日本人の精神の根底にある原風景でもあり、胸にくる印象的なシーンでした。
ここで思い出すのが薫ではなく邦正だというのが、たいへんしんどくてとてもいいですね……(語彙力)
作者からの返信
陽澄すずめさま
いつもありがとうございます。
ここのシーンが書きたくての第四話でした。今話は執筆もここのラストシーンから始めたいきさつがあります。良太郎が邦正のことを異国で思い出すとしたらどんな瞬間だろう、と考えた結果このシーンが生まれました。
日本人の原風景を思いだし、涙が溢れ、そしてなぜか馨でなく邦正を思い出す。良太郎からすれば意外過ぎてしんどいことでしょう。彼ら彼女ら3人の関係性を示すようなエピソードでした。
大正十五年(昭和元年)*への応援コメント
女の子どもが――かなぁ?
良太郎にとっての背骨が出来そうな第一話。
けっこう衝撃的です。
このおとなの男とは、一体ダレなのか!?
続き楽しみにしております〜!
作者からの返信
ハマハマさま
ようこそおいでくださいました!ありがとうございます。
仰るとおりこの出来事が良太郎の主軸になり、進んでいく物語となります。そこを汲んでくださり嬉しいです。
男の正体、そして「――では?」の続き。
どうぞ引き続きお楽しみ下さい。
平成元年(昭和六十四年)への応援コメント
こんにちは、お邪魔します!ここ数日(耳でですが)読ませていただきました。今日は移動時間が多かったので、なんと最後まで来てしまいました…!!途中で感想を挟まなかった(なんかもう挟めなかった笑)のでちょっと長くなるかもしれないんですがお許しください。
いやあ、圧巻でした…!梨は好きな果物ですが、きっと今から見るたび食べるたびにこのお話のことを思い出しそうです。私は普段ファンタジーかミステリしか読まないという極端な人間なので、こういう骨太でリアルなお話で殴られるのに慣れていません。戦争映画なんかも入り込んでしまうのであんまり観なかったりします。が、面白かった…!緊張であれ不安であれ、何かの感情を掻き立てて「先はどうなるんだろう」と思わせることが物語の一番の仕事だと思っているので、最後まで読ませる力に溢れているこのお話の完成度が高いことは間違いないと思います。
他の方みたいにすぐれた分析はできないので、感じたままのことを書きますね。暴力からはじまる冒頭シーンや良太郎の「男の強さ」という価値観の形成は、もう今の時代では失われてしまったやりとりばかりで単純に新鮮でした。別に良太郎が特別ひどい男というわけじゃなく(むしろ真面目で勤勉ですよね)、こういう「時代」だったんだなあと強く感じさせられます。そして美しく強烈な印象の双子と過ごす子供時代もまた鮮やかで…。こんな双子が近くにいたら狂わされますよね。馨を「啜った」喜びも、女としては胸糞なシーンなのになんだか乾いていた喉が潤っていくような感覚が…あ、私もいつの間にか梨症候群になっている??w
やっと手に入れた梨を味わう暇もなく厳しい戦地へ行くのもさすが。描写すごすぎる…。調べられた資料の量を思うと頭が下がります。私も実は編集の仕事で満州引き揚げの自伝をお手伝いしたことがあるんですが、戦時中って本当に違う世界ですよね。良太郎、心が壊れずに帰ってきただけやっぱり強い男です。それもこれも馨という希望があったからこそなのに、帰ってみれば彼女はいなく…。そして待っていたのが邦正で、あああお墓のシーンってここー!!ってなりました。屈強な男が組み伏せられているの大好きマンですが、このシーンはまた違う味わいがありますね。邦正、おそろしい子…。
その後はあの日の衝撃から抜け出せずに、でも世の中はどんどん進んでいくという描写が見事でした。読者の心も全然世の中の進化についていけず、良太郎と一緒に呆然とするばかりです。実際彼の個人的な事情は抜きにしても、元兵士の方ってこういうやりきれない思いだった方も多かったんじゃないかなあと思います。けれど孝敏との出会いからは一転、復讐計画という熱くて黒い想いを抱えた男になっていき、ああ「良太郎」が帰ってきた!という謎の応援心が湧き上がってきました。いやどちらに肩入れしたらいいのかわからず読んでいたんですけども。誰の心情の元にも落ち着けない、それが梨子割。ひとを殺すために生きている、というのはなんとも不思議な状態ですよね。嫌いなの?いっそ好きなの??という…。しかもまた、ちょっと結局ひとが二人も死んじゃったというなんとも痛い結末!孝敏ィ!でもお金ちょっとくすねてたから因果応報だね!!双子の父親殺しの真相もまたゾッとしました。なんなのこの双子…(すき)
ここで痛み分けかと思いきや、なんと今度は邦正の娘が登場という。やっぱり良太郎の人生は梨子の香りから離れられないんですねえ。でもここで亜紀ちゃんに復讐の炎を差し向けなかったこと、本当にすごいと思いました。先にも書きましたが良太郎って獣みたいな激しい気性だけどきちんと生き残るためのライン引や賢さ、冷静さもあると思っています。亜紀ちゃんをただの子供として扱って世話を焼いたのは、そういう彼の「良いおとな」の部分があったからじゃないかな…と感じました。自分は決して守られた子供ではなかったけれど、今の時代を生きる子供までそういう目に遭わせたいんじゃないというか。復讐のチャンスではあったのに、ここを梨のようにすぱっと半分に切ることができない良太郎、本当に人間くさくて良い人物だなあ。
何気にちゃんと仕事して出世もして、独り身ではあったけど何もなければ穏やかに終われそうな人生。でもちらちらと浮かぶ哀愁と憎悪と、そして「男」としての価値を自分に見出せない諦観。華やかになっていくばかりの世の中と比例するようで印象深かったです。亜紀ちゃんの件もあって、邦正との関係も変わって…………変わってない!!最高!!!!(突然のクソデカ感情爆発)私が一番このお話で心打たれたのはその点でした。じいさんになってもこいつら……変わってない!!!!(大拍手)男なのに色っぺえ邦正(ただし毒蛇)と、つよい男になりたくてもがいている良太郎(ただし不憫)。ふたりが最後までずっとふたりだったのが最高でした。ちょっと上手く言えなくてすみません、伝わって…^q^
ハピエンとかメリバとか、そんな形式には収まらないラスト。ここにきての邦正視点すごかったです!何を考えているのか最後のお話でようやく分かった気もするし、さらに彼(と馨)に対しての謎や闇が深まった気もします。お互いに相手を消してやりたくて、それが一番消せない方法だったなんて…これって結局愛?なのかな。恋なのかな。いいえ梨子割です。それしか言えない。
今までで一番謎な感想になってしまいましたすみません…。とにかく非公開までにお邪魔できてよかったです!(T ^ T)きっと数日後に「あれはああだったのではないか!?」などと気がついている自分を予感しています笑 今はただ、なんというか…梨子たべたい。だめ、なんかもう梨がアダムとイブの禁断の果実みたいなやべえフルーツの印象になってしまいました笑。たぶんこの秋に親族から「梨食べるー?」って誘われても「梨だとぉ…!?」って構えちゃいそうwww大好物なのにどうしてくれるんですかよしの先生!ww最後に謎のクレームを入れる形にはなっちゃいましたが、素晴らしいお話をありがとうございました!!
作者からの返信
ぶんさん
読了ありがとうございます……!ほんとお忙しい中ありがとうございました……。昨日今日とぶんさんのコメントを浸って読んでおりました。
感じたことだけ、といいながらもめちゃくちゃ長いご感想いただけて本当にうれしいです。人を選ぶ話だよなあとはいつも以上に自覚があるので、最後まで読んで頂けただけでも嬉しいのに。泣いちゃいますよこんなん;;
この作品は柄にも無く「男性性」とか「暴力」「性」とかに踏み込んで書いてみたいと思って、その象徴のしての良太郎という人物、それに相対する邦正、というところから話を作っていったんですけど、まさに仰るとおり「こういう時代」があったんだよなぁ、というところからしか成り立たない話でもあって。とても遠い時代に見えて、でも掘ってみるほどに自分もその地続きのなかで生きている、っていう実感が出てきて、そこが一番書いてて面白かったところでしょうか。とはいえ、わたし、昭和50年代生まれなんですけどね……。
満州引き揚げの自伝……うわーそれをお手伝いしたのなら、わたしのへっぽこ資料探しなんかよりもよっぽどお詳しいと思います。へんなとこあったらすいません……(震え)戦時中やシベリア抑留のことは阿呆みたいな気力を絞って調べたつもりですが、調べても調べても、今の人間にはわからん、みたいな部分がたくさんあって。ほんとあの渦中で心壊さなかった人間は強いですよね……そんな良太郎を帰国した途端に木っ端微塵にする邦正はやっぱり恐ろしい子……!
ああなってしまった良太郎を戦後、奮い立たせるにはどうすりゃいいんだ?と考えた挙句「こいつを動かすのは結局暴力衝動なんだよ」と至り孝敏の登場となるのですが、ここで「帰ってきた良太郎に謎の応援」ってのがうれしいですね。良太郎はほんとうに褒められた人間では無いんですけど、すごく凡人で、戦後を生き抜いた中で身につけた社会性もあって、それが後々の亜紀への対応にも繋がっていくんですよね。そういう彼は「こいつほんとどうしようもないな……」と書きながらも、わたしも応援したい気持ちはあって。邦正に殺意を燃やして生きていく、って、ほんとにもう矛盾の塊だし「嫌いなの?いっそ好きなの?」っていうクソデカ感情でしかないんですが、そうとしか生きられなかった彼がわたしは愛しいですね。本当に傍に居たら殴り倒す気もしますがw
そんな良太郎、そして邦正が最後まで「良太郎と邦正」だったところにクソデカ感情の大爆発、ありがとうございます……!とてもうれしいです。内面の変化はありつつも、それでも表に出るやりとりは、じじいになってもこいつらはこいつらでしかないので……。お前ら常務室を何だと思っているんだーッ?と思いつつも、人間の変わるところと、それでも変われないところをこのふたりに託せて書けたのは非常に面白かったです。
ラストもほんとうにねえ。わたしも書き上げたとき「なにこれ?なんなの君たち?」ってなって、正直いまも言葉がありません。わたしは「どう生きてもどう言われても、その人間の人生はその人間のものでしかない」っていう考えの持ち主なんですが、ラストの邦正はまさにそのわたしが滲み出た格好になりました。だから「愛なのか恋なのか。いいえ梨子割です」という感想はすごくうれしいんですよね。なんかそういう自分の思いがひとつの作品としてかたちになった証のように感じてしまって。
梨。ヤバい食べ物にしてすみません。わたしも、いまから秋のスーパーの果物売り場を変な顔で歩いてしまう自分が見えます。生涯、梨を見るたびに変な微笑を浮かべてしまいそうです。できれば、ぶんさんもそうであってほしい(こら)
なんか今だけかも知れないんですけど、この作品を書いたことで「もうこのあと何も書かなくてもいいかな」くらいの自分になっているわたしがいます。まあ、これからもなんだかんだと書くんでしょうけど、今死んだら「あのヤベえ梨の話書いた人」で思えてもらえるのいいな、とか思ってる自分がいます。
そういう作品を楽しんで読んでいただけたこと、感謝しかありません。ほんとうにしあわせです。
ありがとうございました!