第21話

「へっ、羨ましいねぇ!」

「全部美人じゃねえか。」

「一人か二人、俺たちにくれよ!」

「叔父さんが可愛がってやるよ!」

「俺たちと一緒にいる方が、あの小白臉といるよりずっといいぜ!」

「「「「「ハハハハ!」」」」」


 まったく容赦ねぇな……


「いや。」


 ガリーナは淡々と答え、一瞥もせずに言った。


「私は腰抜けなんかに興味ないわ。」


 デージーが冷たく続けた。その一言で奴らは武器を抜く寸前だった。言葉のせいじゃねぇ、あの軽蔑の眼差しだ。まるで路傍の石を見るような目。デージーだけじゃねえ、アミリアもイザベルも同じ目をしてやがった。


 昨夜、俺たちは地下十階と十一階の間にある転送の部屋で休んでいた時に、奴らと会った。五人組の男だけの冒険者パーティーだ。挨拶もなしに、俺の女たちをじろじろ見やがった。誰かが口笛を吹きやがって、ステラが眉をひそめて嫌そうな顔をした。


 転送の部屋は冒険者同士の争いを禁じてるから、そこで戦うことはなかったが。


 奴らは俺たちと同じ階でキャンプを張り、時折下品な笑い声が聞こえてきた。仕返しとして、イザベルとキャサリンは夜中に大声で楽しんでやったよ。幸い、昨夜この階には俺たちと奴らしかいなかったから、他の冒険者には迷惑をかけなかったが。


 翌朝、俺たちが転送の部屋を出た途端、奴らに呼び止められた。俺の女たちをいやらしい目で見やがって、侮辱的な言葉を吐きやがった。俺がキレる前に、ステラたちが先に声を上げたんだ。


 しばらく罵り合ってたが、すぐに殴り合いに変わった。奴らは五人、三人が前衛で二人が後衛だ。前衛の一人、大盾と長剣を持ってるやつが先に突っ込んできた。タンク役で、俺たちの攻撃を引きつけるつもりか?他の二人の前衛は、双剣使いと槍使いで、後衛の魔法使いと連携して攻撃してくる。


 さすが地下十一階に来れる冒険者だ。デージーの元の隊と同じくらい強そうだが、相手が俺たちじゃ分が悪いな。同じく【六花陣】を使って、タンクは瞬時に風魔法で捕らえた。軽装の前衛二人はステラとアミリアが抑えて、三人の後衛の攻撃で拘束した。援護するはずの魔法使いは、キャサリンの突撃で既に倒れていた。


「回復!」


 最後の後衛は回復役か。なるほど。そいつが魔法使いを回復させたが、自分がガリーナの標的になった。魔法使いが起き上がった時には、回復役の額に矢が突き刺さり、そいつは倒れていった。


「うあああああああ——————!」


 怒りに駆られて判断を誤り、強力な魔法で俺たちを焼き尽くそうとしたが、キャサリンが阻止して、拳一発で吹っ飛ばした。


 後衛を失ったことで、タンクと槍使いもすぐに倒れ、残るは双剣使いだけだった。こいつが隊長か?他の奴らより明らかに強い。奴は剣を俺に向けて言った。


「タイマンだ!俺が勝ったらここの女は全部俺のものだ!」

「ふざけんな!」

「ビビってんのか!」

「もう俺のもんを賭ける必要がどこにある?賭けるなら命を賭けろ。」

「いいだろう!」


 そう言って突っ込んできた。双剣の連撃、なかなかの腕前だ。一撃を受け流し、もう一撃を避けた。奴の剣が絡みついてくるが、体を捻ってかわした。数合のやり取りで、俺は壁際に追い詰められた。


 速い動きの代償は、安定性の欠如だ。俺は来る一撃を見極めて、一閃で奴の片方の剣を押さえた。それで奴の攻撃は封じられた。奴はもう一方の剣を使って、俺の剣を防ごうとしたが、それが致命的なミスだった。


 奴は目を見開き、不信の目で俺を見つめ、ゆっくりと倒れた。俺の左手には、土魔法で作った剣があった。それを奴の腹から引き抜いた。俺が長年練習してきた魔法剣だ。実戦で使えることが確認できた、奇襲にはもってこいだ。


 奴が倒れかける時、俺はその口を掴んで引き起こし、


「【攝魂大法】!」


 と同時に胸にもう一刀突き立てた。


 奴は叫ぼうとしたが、俺が口を掴んでいるので声が出せなかった。奴の目は見開かれ、血の気が引き、最終的に光を失った。


 続けて【攝魂大法】で、残りの四人の魂と魔力を吸収した。能力パネルを開くと、五つの新しい職業が選べるようになっていた。その中には、重装職のタンクが一つあり、重戦士と呼ばれるものだった。重鎧を装備でき、盾も持てる。これは【石の膚】を使えるアミリアにぴったりだ。


「アミリア、タンク役の前衛に転職したいか?」

「主人からのものなら、アミリアは何でもできます!」


 能力パネルで二回クリックすると、転職が完了した。アミリアを見ると、彼女の服は全て脱げて、下着だけになっていた。


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