暖冬
暖かな日に
あなたは鼻をぐずぐず鳴らせて
今にも起きそうな気配
さぁまだ眠っていなさい
外は青空が見えて
太陽が輝いているけど
山は白い雪に覆われたままで
明日には吹雪くかもしれない
今はまだ起きる時じゃない
春が来て
雪解けの頃になれば
あなた達と此処から外へ出て
一緒に遊んであげよう
そうね
狩も教えてあげなければいけない
この林の何処かで
獲物を見つければ私の様子を見ていなさい
狩とは命のやりとり
神聖なものであることを分かってほしい
でも
此処から向こうにある森に行ってはいけない
そこは狩人の森
見つかれば一撃で仕留められる
それでも大丈夫
私はこの大きな体を張って
小さなあなた達を守ってあげよう
それでもそれでも
私が居なくなった時の
あなた達が心配
駄目ね
そんなことを考えていたら
心配で心配で
目が覚めてしまいそう
楽しいことを考えましょう
これからもっと寒くなる
この冬を越えたら
きっと野に咲く花と一緒に
遊びましょう
きっと、きっと・・・
夢の中で母熊は呟くと
浅い眠りから
再び深い眠りについた
小さな子熊を無意識に抱き寄せながら
暗い穴蔵で
小さな命を愛おしむように
静かに眠りについた
春は
まだ遠い
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