黙冬

白い清潔なシーツに包まれた身体は

頑丈な鉄の上

片指で打つキーの遅さに戸惑いながら

次に打つ言葉を見つけようと

静かに目を閉じれば

廊下から患者の文句が聞こえ

大部屋では老人の愚痴が漏れ

生きることの尊さと

最後の瞬間の潔さを思う

目を開けて見た窓の外

真白な雪が音も無く舞っていた

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