第25話 今後に向けて
今日は生徒会に向かおうかと考えていると、三上先生に呼び出された。問題を起こした記憶はないので、男としての何かかもしれない。
とりあえず、反発する理由はないので、素直に生徒指導室へと向かう。そこには、三上先生と高瀬会長、陸上部の秋山部長と、文芸部の蒼井部長がいた。
大体状況は分かった。つまり、俺の今後の活動についての話だな。部活や生徒会を掛け持ちするつもりなので、やっていけるかどうかを測るとか、その辺だろう。
まあ、珍しい男子だし、3箇所も掛け持ちしようとしているし、色々とあるんだろうな。三上先生には、苦労をかけて申し訳ない。
それでも、せっかくだから学生生活を楽しみたい。ガチ恋チキンレースも、頑張ってみたい。
多少は迷惑をかけるかもしれないが、その分みんなを楽しませたいな。そうすることが、あらゆる意味で良い未来につながるだろう。
単純に、仲のいい相手を増やすにも、ガチ恋チキンレースにも、学生生活を満喫するにも。
ということで、できれば生徒会も、陸上部も、文芸部も頑張っていきたい。それが俺の望みなんだ。
「とばり君、まずは座ってくれ。呼び出しという形にはなったが、責めたい訳ではないからな」
「そうですねっ。今後の活動が、みんなにとって良いものになるように、話を詰めていきたいんですっ」
「私は、赤坂君を歓迎するぞ。君が本気で誰かを応援したいのは、伝わっているぞ」
「赤坂君は本が好きみたいですし、文芸部でも大丈夫だと思いますよ」
とりあえず、高瀬会長も、秋山部長も、蒼井部長も俺を受け入れてくれるつもりのようだ。ありがたいな。
それなら、これから先の話は、どんなスケジュールでそれぞれの活動に参加するかを決めていくことになりそうだな。
まずは第一関門を突破したって感じで、一安心ではある。歓迎されない部活に入るのは、しんどいところがあるからな。
親しい相手の参加する部活だから、できれば入ってみたくはあるが。だからといって、わざわざ苦労したいとは思わない。単純に、活動に熱を込めるのとは別の話だからな。
例えば、生徒会の活動で、スケジュールに追われるという感じなら、まあ納得はできる。だが、俺が必要ないという空気を出される環境に居続けるのは、ちょっと苦しい。
まあ、そこまで心配はしていなかったけどな。高瀬会長も、秋山部長も、蒼井部長も、みんな良い人に思えるからな。その辺は、大丈夫だと思っていた。
「皆さん、俺を歓迎してくれて、ありがとうございます。手間を掛けさせたかもしれなくて、申し訳ないですが」
「全く手間がかからなかったと言えば嘘にはなる。だが、気にしなくて良い。とばり君が真剣だというのは、みんな分かっているんだ」
「そうですねっ。真面目に活動しようとしているのは、ちゃんと信じていますよっ」
「他にも、赤坂君のような人が参加してくれれば、励みになるぞ。だから、安心してくれ」
「同感です。文学部では、書く人は読むことに興味がない人も居ますからね。赤坂君のような態度だと、ありがたいんです」
そこまで言われると、少し申し訳なくなるな。ガチ恋チキンレースは、ちょっと不純だというのは否定できないからな。
とはいえ、恋以外の部分では、真剣に活動するつもりなのは事実だ。というか、ガチ恋チキンレースにとっても、真面目に活動するのは都合が良い。
だから、全力で頑張っていく予定ではあるんだよな。誰かを応援したいのは、色々な意味で本音だから。
「そうなると、後はどの部活にどんな感じで参加するか、ですかね?」
「ああ。生徒会は、毎週水曜ということになっている。そうだな、高瀬?」
「そうですねっ。でも、部活の大会などであれば、融通を利かせるつもりはありますよっ」
なるほど。まあ、そうでもなければ、生徒会に入った時点で部活の活動は難しくなるよな。遠征や合宿でも生徒会を優先することが要求されるなら、扱いが大変だろう。
ということで、明陽さんや秋山部長が大会に参加するのなら、応援に行けるかもしれない。それは大事なことだ。
ただ、どの条件で融通が利くのかは、ちゃんと確認しておかないとな。そこは、お互いの活動に関わる部分だろうし。
「例えば、秋山部長が県大会に出たとして、その応援には向かえるという認識で良いんですか?」
「そうですねっ。おおよそは合っています。とはいえ、小さな大会でも応援に向かえるかは、活動次第なんですけど」
「私の目標は全国大会だ。だから、問題ない。そこまで行けば、確実だぞ」
秋山部長は自信満々だな。だが、カッコいいと思える。実際に走りを見たことがないから、実力相応の発言なのかは知らないが。
「沙耶ちゃんなら、番狂わせが起きなければ、ですねっ」
「そうだな、里緒奈。というか、正確には、出場が目標ではないぞ」
そこまでの実力者なのか。なら、実際に応援に向かってみたいものだ。知り合いが戦う全国大会は、それは楽しいだろう。応援にも、きっと熱が入る。相手が3年生だから1度きりなことを、もったいなく思うくらいだ。
「文芸部では、そこまでスケジュールに圧迫されることはないでしょう。何らかの賞に応募するのならば、話は別ですが」
「とばり君は、何か目標はあるのか?」
「いえ。俺自身で何かがしたいと言うよりは、誰かの応援がしたいので。それに、書くとしても、身内に楽しんでもらえれば十分です」
「そういう目標も、ありだと言えるでしょう。文学に関する活動は、全て文学部のものですから」
なるほど。そうなると、遠野さんが何かの賞に送るなら、それを応援するのも良いな。実際に合格するかはともかく、楽しい思い出になるはずだ。
俺としては、蒼井部長がどんな活動をしていくのかにも、興味があるが。まあ、時間をかけて知っていけばいい事か。1年しかないが、1年あるとも言えるのだから。急ぎすぎても良くない。
「水曜日は生徒会で、部活の大会には応援に向かう。後は、どんな感じが良いですかね?」
「私としては、無理にスケジュールを決めなくてもいいと思うぞ。赤坂君の気分で決めても良いんじゃないか? それでも、みんなはやる気を出すだろうし」
「基本的には、同意ですね。とはいえ、大きな活動には参加して欲しい気持ちもありますが」
秋山部長は優しいな。もちろん、蒼井部長も。とはいえ、打算もある気がする。前世で考えれば、男子校みたいなところで、女子が応援してくれる状況だものな。俺には経験がないが、盛り上がるものだという知識はある。
そうなると、陸上部の大会の応援には、向かった方が良いだろうな。それでやる気が変わるのなら、大きな違いだろう。
文学部の大きな活動というと、文芸誌みたいな物の作成だろうか。それなら、参加してみたくはあるな。
「でしたら、決まりでいいでしょうかっ。当面は、毎週水曜は生徒会に。残りの期間は、好きな活動を」
「担任としては、問題ないと思う。とばり君に負担をかけない、いい塩梅だろう」
「私は、意見を出した側だからな。当然、賛成だぞ」
「文学部としても、同意します。男の人に無理をさせないのも、大切なことですから」
今のところは、男だからお客様扱いを受けている部分はあるのだろうな。いずれ、どの活動でも、大切な仲間になっていきたいものだ。
そうすれば、俺の思い出としても、ガチ恋チキンレースとしても、とてもいい活動になるだろうから。
無理はしない範囲で、積極的に活動していこう。結局、俺が無理をしすぎると、みんな困るだろうからな。優しい人達ばかりだし。
ということで、今後の活動は決まった。まずは、生徒会での活動に力を入れたい。クラスメイトが居ないところだからな。しっかりと、関係を作っていこう。
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