三下悪役に転生したタイムアタック勢、勇者をさしおき魔王討伐RTAを始めてしまう

とあるマイナーゲームをこよなく愛していた少年は、いつの間にかその世界にやってきてしまったことに気がついた。

転生したのは序盤に登場する三下の悪役。魔王軍の捨て駒も同然の雑魚敵になってしまったのだ。

それなのに、少年は心の底から喜んでいた。

少年はゲームの最短攻略に命を削るタイムアタック勢であったのである。

夢にまでみたゲームが現実となった少年はもはや魔王を討伐するまで止まることはない。はたからみれば理解できない狂気で少年はただひたすらに地上を、魔王軍の本拠地を目指す。

「チャートを信じ、お祈りをすませ、乱数調整を華麗にきめる。それがいっぱしのRTAの走者の証です。」

これはのちに人類の救世主と称えられるタイムアタック勢とその仲間たちが魔王討伐RTAを駆け抜ける話である。