恐ろしく説明くさい冒頭……企画じゃなかった読み飛ばしてるね……

 はい。

 エピソードタイトル通りなんですけど、冒頭とかでこういう文章があると「う~ん」となってしまうものを書き連ねていきたいと思います。

 おめえこの間「文章は読めるかどうかでしかない」とかぬかしてたじゃねえかよ、と思ったあなた。

 みせ方の問題です。


 ですのでこれからあげるものの冒頭でも正直うまい具合にみせられれば勝ちです。


 その展開がNGなのではなく、その展開のみせ方がNGなのです。


・世界観の説明から入る

 小説というのは登場人物と一緒にその世界を歩いていく行為だと思っています。つまり、世界観設定は小説内のキャラがそこに遭遇したときに説明してほしいわけなのです。


 とりあえず物語がファンタジーだと仮定します。魔法の概念とかモンスターとかいても最初は気にしません。魔法を使うまでは説明はいらないですし、モンスターが出てくるまでとりあえずいいんです。設定資料集を読みにきているわけではないので……。


 とはいえ説明をするなと言っているわけではありません。


 芥川龍之介の『羅生門』がわかりやすいですかね。


・ある日の暮れ方に雨やみをまっている下人。

・通常であれば人がいるはずだが、今は人がいない

・なぜ今この状況にあるのかという説明


 この流れになっているわけですね。

 最初に状況を伝え、今が異常であるということを描写し、それの説明をする。非常に自然な流れです。


 何の登場人物が出ないまま世界観説明を始めてしまうと、それだけ「歩き出し」ができなくなります。『羅生門』でいうところの下人がいない状態で説明から入られたら「だから何なんだってばよ」となります。


 なので知らせる順序を意識してほしいのです。それだけで読む意欲がわきますので。

 派手とかインパクト、壮大な物語を見せようとして、読者を宇宙空間に放り込むような冒頭にしてしまうと、おいてかれてしまいます。

 読者が目を借りられるような人物を登場させて、ゆっくり世界を歩かせましょう。


 インパクトを持たせたいのならそういう状況や主人公の台詞、地の文でグッと引き込むような何かを突っ込みましょう。世界観を羅列するのは辞書を小説だといって読むようなものです。



・自己紹介 登場人物説明を入れる


――例文だよ――


 俺は異世界太郎。いたって普通の高校生だ。

 気が付いたら転生していたのだが、昨日の記憶が全くない。どういうことだ。


「リヒト! 大丈夫? 怪我はない?」


 顔をあげると金髪のチャンネーに覚えのない名前で呼ばれていた。

 なんだリヒトって。


――終わりだよ――



 みたいな文ですかね。


――例文だよ――


 あっ、これ転生ってやつだ。

 俺はずいぶん小さくなった己の手を見ながらそう思った。つい昨日までただの高校生だったよな? なんでこうなったか全く覚えてないんだが。

 何が起こってるんだ? まるで意味がわからんぞ。


「リヒト! 大丈夫? 怪我はない?」


 顔をあげると金髪のチャンネーに覚えのない名前で呼ばれていた。

 リヒトって俺の名前か? 俺には異世界太郎っていうかーちゃんからもらった大事な名前があるんだが。


――終わりだよ――


 何が言いたいかっていうと自己紹介させないで状況に付随した描写を入れてほしいということですね。

 自己紹介型の文章の悪い点は、「聞いてもいないのに喋ってくるやつ」ということです。つまり本来説明を入れたい場面で入れるはずの説明を先取りしてしまってるので、序盤にして説明の機会を奪っているわけですね。こうなると説明臭さが増すわけです。


 こういう自己紹介型は学園ものでわりと見かけるんですが、これ主人公だけならいいんですけどこのタイプの作者って登場人物全員にやるんですよ。



――例文だよ――


 朝支度を済ませて家から出ると外で女の子がひとり待っていた。


「おはよー」


 こいつは幼馴染の小佐 奈慈美。文武両道、容姿端麗で、クラスでも人気者だ。


「おはよう」


――終わりだよ――


 まぁ先ほど説明の機会を奪ってると言いましたが自己紹介型にせず「会話させよう」となった場合にはこうなるわけです。


――例文だよ――


 朝支度を済ませて家から出る。外では、いつものようにひとりの女子がまっていた。俺の存在に気付くとぱっと眩しい笑顔を浮かべる。元の容姿の良さも相まって、ドキリとしてしまう。


「おはよう、奈慈美」

「おはよー」


 いつも通り、当たり前に並んで歩きだす。これは小学校のころから変わらない俺らのルーティーンだった。


「ねぇねぇ、この間のテストどうだった?」

「まぁまぁ。お前は完璧なんだろうな」

「完璧じゃないよ、平均九十点くらい」


 十分高いわ。


 

――終わりだよ――

 


 容姿端麗は容姿の良さ+笑顔でドキリとする主人公の様子から。幼馴染というのは「小学校のころから変わらない」のところで伝わりますし、文武両道の文の部分を会話で説明しております。属性を羅列するわけではなく、主人公の「感じたこと」、「思っていること」、あと会話で属性を示しているわけですね。


 この後スポーツ大会とかイベントを用意して「そう、こいつはスポーツもできる」とか地の文で入れればいいですし、最初の会話を「昨日また告白されちゃった」みたいな会話にすれば、少なくとも男子に人気+性格か容姿がいいんだなという情報が入るわけです。


 紹介型の文章で説得力を持たせるような機会を奪わないようにしましょう。場合によっては展開のインパクトとかを薄めてしまうかも。


 そして最初に属性を羅列されても説得力がなければただの「説明」なわけです。これを登場人物が出るたびに繰り返していると読んでる立場としては話の方を進めてほしいと思ってしまうわけです。


 説明臭さをなくしましょう。説明するとしてもくどくない程度にしましょう。


 というのが伝えたい要素です。


 私自身できてるかわからないのに「インパクトのある冒頭を!」とかは言いません。ただ企画で読んでく中でサラッと読ませてもらえる作品というのはみせ方がうまいものなので、説明をしたときは一度立ち止まって「ここで必要か?」と考えてほしいという感じですね。


 全て説明したい気持ちはわかりますが、必要な説明を必要なだけ追加していきましょう。


 今回はこの辺で。



あとがき

推敲しなくても満足できる文章をかける人間になりたいし、リメイクとかしたくなるのをどうにかしたい。

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