第一章:快適な拠点作り~ベッドを作ろう~
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★★★
テントに籠って暫く。俺は硬い床の上をゴロゴロしていた。ただゴロゴロしているわけではない。ベストポジションを見つけるべく、試行錯誤しているのだ。
「くそ……やっぱ布団買っておけばよかったか?」
こんな硬い床の上に寝そべっていると、帰れずに会社のかっっっったいソファで仮眠を取っていた日々を思い出してしまう。折角ニートになったというのに、なんであんな所の事を思い出さなければいけないのだ!!!!
俺が夢見るニートって言うのは死ぬほど自堕落な生活をしたり、頑張っている会社員を横目に二度寝を決め込んだり、たまーにおじいちゃんおばあちゃんの雑談会に混ざってお喋りをしたり、そんなニートだ!
それなのに、こんな硬い床の上だと会社を思い出して二度寝なんて夢のまた夢。疲れ切ってないと寝る事さえままならないだろう。俺の睡眠に悪影響しかない。
「んー……でも今から買いに行くのもなぁ」
郵送をお願いしたい所だが、ダンジョンの中まで届けてくれる業者なんてないだろう。持って帰れはするが……外に出るの、ヤダなぁ。
「でも硬いのもヤダし……いっそ作る?」
絶対買った方が楽なのは分かっている。分かってはいるが……あれだ。
家に材料はあるけど作るの面倒だから惣菜を買いに行く手間を選ぶ、みたいな。
手順的には絶対そっちの方が面倒が少ないのに気持ちで負けちゃって行動に起こせない的な。分からないか。
「ベッド……布団の方が簡単か? でも羽毛どうしようか、下層のボスくらいしか思い浮かばないしなぁ」
モンスターの素材でベッドを作ったほうが簡単な気が。実際、海外のブランドではモンスターの素材を使った家具が売られているらしい。クオリティは下がるだろうが、床で寝るより100倍マシだろう。
「ん~、ガワはスワンプ・フロッギーの皮でいけるか? 中は……どうするかなぁ」
ダンジョンの下層よりの中層には沼地があり、そこに居るカエルのモンスターの素材は生地に最適だろう。実際色々なものに使われているらしいし。
問題は中身だ、中身。
「ん~、あれ? もしかしてスライムゼリーとかありなのでは?」
外枠を作ってその中にスライムゼリーを入れるだろ? そして外枠にフロッギーの皮を固定すればウォーターベッドモドキができるのでは。
そうすると外枠用の木材も必要だが、丁度近くに森のエリアがあるしそこの木を伐採できないだろうか。やったことはないが木なら直ぐ切り落とせるし。それが出来ればトレントの相手をする必要もない。あれ、楽そうだぞ。
「んんん……良い気がしてきた」
ガバッ、と身を起こし準備を始める。順番的には森エリア・スライム・スワンプ・フロッギーの順かな。スライムは中層に良い奴がいるんだ。
「父さん、母さん、俺ちょっと森のエリアに行ってくる」
持ってきていたブレスレットと短剣を装備して一緒に土を弄っている両親に声をかける。
「ああ、行ってらっしゃい」
「お昼までには戻るのよー?」
そう言って再び土弄りしている二人に背を向けセーフエリアを出た。
……ここの地面は岩肌なんだけど。もしかしてあの土、わざわざホームセンターで買って来たとかないよな?
★★
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