【プロローグ】なんだかんだでニート生活、開始!
日にち設定をミスって昨日投稿出来てませんでした……申し訳。
今回でプロローグ終了、1章スタートします。
1章から不定期に更新してく予定です。
……一度深呼吸をして落ち着こう。
ヒッヒッフー、ヒッヒッフー。
なんて冗談は置いておいて、真っ先に確認すべきことを確認しよう。
「……母さん、確かダンジョン入ったことないって言ってなかった?」
そう、ダンジョンは探索者証を持っていないと入れない。持たずに入れば本人と持っていないと知っているのに一緒に入った第三者も刑罰に処される。つまりこの場合、全員が刑罰の対象なのだ。もし持っていないのなら何としてもこのダンジョンから出さなければ。
「あら、言ってなかったかしら? お母さん頑張って探索者証を取ったのよ~」
うふふふふ、と笑いながら母は自慢げに探索者証を見せびらかしてくる。取得日を見ると半年前。どうやら俺の計画がバレてから直ぐに行動に移したらしい。
「……いやいやいや、取り立てでダンジョンに住むとか意味わかんないから。第一元の家はどうすんだよ!」
「大丈夫、これでも父さん強いから。母さん一人くらい守って見せるさ。家はたまには帰って掃除するつもりだし。セキャムにも申し込んでるから、何かあれば連絡が来るし問題ない」
何でこんなに用意周到なんだ。はぁ、とため息を吐く。俺は知っている。この人たちは思った以上に頑固でこういう時は梃子でも動かない人間だ。俺が折れるしかないのだろう。
「一人になんてさせないさ。それにニートは家族が居ないと出来ないんだぞ?」
お茶目にウィンクする父に苦笑いする。
こうして俺の計画は半分崩れ、ダンジョンに逃げ込んでも家族がいると言う何とも奇妙なスタートを切ったのだ。
少し落ち着いたところで兄が焼いていた肉と、母が家から持って来たおにぎりを頬張り腹を落ち着ける。
「んまー……」
兄が焼いていた肉は弾力はあるのにちゃんと噛み切れて肉汁が口の中に広がる、大変美味しいものだった。
兄曰く、深層――ダンジョンには入口から近い順で上層、中層、下層、深層とあり、深層に深ければ深いほどモンスターが強くなる――に居るモンスターの肉らしい。今日の為に頑張った! と自慢していた。
「さーて、腹も落ち着かせたし、寝床も整えた! 夏樹、探索行くよ!」
満足げに自分の腹を叩いた姉は兄の名前を呼ぶとセーフエリアを出ようと歩き出す。
「待てよ麗華。お前水筒忘れてるって」
兄はそう言いながら姉のであろう革袋の水筒を持ち、姉を追いかける。その後ろ姿に「気を付けろよー」と父が声をかけていた。
「お昼ご飯作って待ってるから、一度帰ってくるのよー」
母もそう言って見送り、俺も手を振って送り出す。そうして自分のテントを設営し中に寝転がった。
「んー!!」
思い切り伸びをする。最初はどうなるかと思ったが無事、ニート生活開始である。
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