第一章:快適な拠点作り~意外な客人?2~

ツイッター本アカと統合しました。最速などは https://twitter.com/hanayuu730_15 からお願いします。大体ヴァロのことしか呟いてません。



「あら! それだったら御馳走できるわね!」

「待て待て待て! 流石にそれは無理だ!!」


 両親の声が被った。母は能天気に喜んでいるが、父の合う通りそれは無理な話だ。


「? ドウシテダ」


 ピクシーが首を傾げる。いやいや、さっきの話で答えが出てるだろう。


「ダンジョンのモンスターは人間を殺す事しか考えてないのに、友好的なモンスターが居たら話題になる」


 兄が淡々と話す。それに姉が頷き「こればっかりはねー」と零した。


「あら、そうなの? 別に構わないと思うけど」

「いや、本当に色々と面倒なんだ。それに夏樹と麗華の活動も休止しないと行けなくなるかもしれない

「あら、そこまで? 確かに二人の仕事を奪うのは駄目ね。ピクシーさん、ごめんなさいね」


 父の説得に眉を下げ謝る母に、味方を失ったピクシーが慌てだす。


「ソ! ソンナコトハナイ! ホウホウハアル!」


 ピクシーは必死に母の言葉を否定しマジックバッグを指さした。


「アレノナカニハイレバ キヅカレナイ! サワギ、ナラナイ!」


可愛らしい筈のピクシーの顔が般若になりつつある。少しだけ面白さを感じつつ「いや、あれはマジックバッグだから生き物は入れないぞ」とツッコミを入れた。


「……」


「いや、事実なんだから仕方ないだろ」


 そんな捨てられた子犬みたいな顔をされてもな。


「残念だけど、私達もそんなリスクは背負えないわよ」


 姉の呟きにピクシーは俺たちを見渡す。そしてどうしても付いていけないことを知り肩を落とした。


「ねぇ、また来るときに普通の鞄を持ってきて、それに入ってもらえばいいんじゃないかしら。そうしたら今日は駄目でもその時にご馳走できるじゃない?」


 ようやく話が終わった、と思ったら母から別の提案が。確かにまたここに来るけど、それは……。


「!!! ホントウカ!?」


 肩を落とし絶望していたピクシー達が飛び上がり、母の周りを飛び出す。あーあ。皆分かってて提案しなかったのに。皆の顔を見れば呆れたような、まぁしょうがないかと言うような表情をしていて。


「しょうがねぇな。ちょっと待ってろ」


 次も今も一緒だと判断した俺は持参したマジックバッグからモンスターの革と意図を取り出し、小さめの鞄を作り始める。


「ナニヲシテイル?」


 母の周りを飛び回っていたピクシーが俺の行動に興味を持ったのか近寄ってくる。それに対し「鞄の中に入れば騒ぎにならないんだろ?」と答えた。


「カバン! オマエ、カバンツクレルノカ!」


 嬉しそうに飛び跳ねるピクシーに「そんなに大勢は連れていけないぞ」と首を刺す。


「モンダイナイ! モンダイナイ! ヤッタゾ、ゴハンガタベレル!」


 何を思ったのか俺の髪を一房取りそれと踊りだすピクシーに苦笑しながら手の動かすスピードを上げる。まさかこんな事になるとは思っていなかったが、悪くない一日だ。

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