第一章:快適な拠点作り〜ベッド作りとトラブル〜
モンスターハウスに居たスライムを一層し、無事ベッドが出来るだろう量のスライムゼリーが手に入った。
そんでもってフロッギーの皮も。
もうすぐ夢のウォーターベッドが出来る。そう思っていた時代もありました。
「釘が……ネジがない……」
スライムゼリーを大量にゲットした俺は足早にセーフエリアに戻り早速組み立てようとした。そこまではいい。しかしだ。木枠を固定しようとした時に己の失態に気づいたのだ。
「こうなったら釘ナシで作るか……木材を加工したらなんとかなるだろう」
はめ込み式は隙間があったらそこからスライムゼリーが漏れ出す可能性がある。トレントの木材は水分を通さないから、隙間にフロッギーの皮を貼り付けるか。
工程を考えつつ、木材を積み上げる。少しでも誤差があると大変だから慎重にだ。
まずは4枚、両端をコの字型に切り、はめ込めるようにする。続いて短くした木材も同じように加工し、凹んだ部分を重ねれば枠の完成だ。
「器用なもんだなぁ」
後ろで俺の作業を見守っていた父の声に「こんなもんだろ?」と返す。そもそも不器用だったらベッドを作ろうなんて思わない。
お互いを支え合っている部分に補強の意味も兼ねてフロッギーの皮を貼り付ける。木材にフロッギーの皮の裏側を当て、火で炙る。そうすると何故か張り付いて離れないのだ。
これを剥がすには相当苦労するだろう。
「ほうほう。こうするのか」
ずっとこちらの様子を見ている父がいちいち相槌を打ってくる。暇なのか?
「暇なら手伝ってよ」
「ん? 俺も使わせてくれるって?」
一体全体何が起きたらそうなるんだ。にこにこ笑う父にため息を吐いて作業を続ける。
「そろそろご飯よー!」
母の声にもうそんな時間かと驚く。ダンジョンの中は四六時中一定の光源があるため時間間隔が曖昧になってまう。母の言葉に手を止めて水が入っているタンクのコルクを回す。出てきた水で手を洗い席についた俺は、空席を見つける。
「兄貴と姉貴は?」
俺の言葉に母は「まだ帰ってきてないのよ〜」と眉を下げる。
「まじ? 珍しいね」
姉は食べるのが大好きだ。だから大体は夕食に合わせて帰って来る。
帰ってこれない場合は前もって弁当を頼むくらいだから、何かしらトラブルだろうか?
父も気になったのか携帯を取り出しDAN LIVEを開く。
「麗華たちの配信名ってなんだっけ?」
「確かナツレイなんちゃらって名前だった気がする」
ぼんやりとした記憶を掘り起こしてそう言えば「これかな?」と一つの配信を見つけ出した。
「ほんっとに!! いい加減にして!!!!」
父が配信を開いた瞬間、姉の凄まじい怒りの声が響く。
……どうしたんだ?
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