第一章:快適な拠点作り〜フロッギーの皮集め〜

 スライムゼリーを大量に手に入れ、残す才良はフロッギーの皮のみ。


 スワンプ・フロッギーとは名の通り沼地に住む蛙のモンスターだ。


 170cm程の巨体で世の女性陣がキャーキャーと悲鳴を上げる代表格だ。悪い意味で。


 これから狩る予定のフロッギーは上層の弱いやつだ。デバフ攻撃なんて心配いらないから跳躍後の振動と伸びてくる舌にだけ気をつけておけば問題ない。


 まあ、初心者にフロッギーの舌攻撃を避けるのは難しいけど。なんたって速度が早いし場所は沼地だ。反応できても足が思うように動かず攻撃をクラってしまう、なんてのは良くあること。


 定石としてはタンクが攻撃を弾き魔法職か弓を使って遠距離から攻撃する。俺もこいつを狩るために昔は弓を使って攻撃していた。


「ま、今はそんなもん必要ないけどな」


 1時間ほど歩き、沼地へと到着する。数メートル先は沼地が広がっており、その中ではゲコゲコとフロッギーが鳴いていた。


 俺は沼地に入ることなくブレスレッドを起動させフロッギーを瞬殺していく。いやあ、本当にブレスレッド様々だな。


 フロッギーは目が悪く、沼地を歩く振動か攻撃方向に対して攻撃してくる。つまり一撃必殺を遠距離から繰り出せば避けることなくそのまま素材になってくれるのだ。


「っと、先客か」


 俺が上機嫌にフロッギーを虐殺していると視界に探索者が見える。盾を持ちフロッギーの攻撃を受けるタンクの少年と、必死で弓を射る三人の少女。


「ハーレムかよ」


 高校生だろうか。見たところ同世代なのだろうパーティを見て嫉妬の念が込み上げる。いかんいかん、社会人になってからそういう機会が無くなったとは言え、年齢も探索者としても先輩なのだ。広い心で受け入れなければ。


「お前もブラックに入ってそれどころじゃなくなれば良い」


 にっこりと盛大に応援した俺は横取りしちゃ悪いと少し遠くで狩りを再開させる。


「きゃあああああ!!」


 そろそろ戻ろうか、と思った所で悲鳴が聞こえてきた。どうやら先程のハーレムパーティに問題が起きたようだ。


「……」


 数巡悩む。ダンジョン内は何が起きても自己責任。助けて難癖を付けてくる探索者も少なくなく、悲鳴が聞こえてもすぐに駆け寄るのは初心者かトラブルを物ともしないトップ層だけだ。後は自分の実力を把握していない馬鹿。


「ちっ、まあしゃーないか」


 悩んだものの、俺は健やかなニートライフを満喫したい。このまま帰っては臆病な自分が悩んで寝付けなくなるのは目に見えている。


「ま、姿を見せなきゃ良いってことよ」


 姿を見られるからトラブルが起きるのだ。ならば姿を見せなければ問題ない。先程見ていた限りでは配信もしていなかったしな。


 気配を出来るだけ殺し岩の隙間から姿を探す。するとなんと、先程のパーティは他の探索者に襲われているようだった。


「胸糞わりぃな」


 足場が悪いタンク役の少年と弓役の少女たちとは少し距離が離れており、助けるどころか一方的にやられている。昔もこういう手合はいたが、何度見ても気持ちいいものではないな。


 顔を顰め、ブレスレッドから糸を取り出し操作する。まずは少年を攻撃している奴らを無力化すべく、糸をその首に巻きつける。


「っ!?」


 声を漏らすことも許さない。切り落とさない程度に締め付ければあっさりと無力化成功だ。


「なんだっ!? くそ、どうなってやがる!!」


 少女たちを抑えていた男たちが異変に気づくが遅い。何より糸が見えていない。この糸は面白いもので、俺が気配を殺すと同様に見えにくくなるのだ。深層のモンスターも気付かないくらいだから、こんな所で初心者を甚振る奴らが見えるわけがない。


 そのままあっさりと全員の意識を刈り取り、少年たちを見る。彼らもまた何が起きたか分かっていないだろう。近くにフロッギーがいるのに無防備な姿にため息を吐く。


 少年の背後に居たフロッギーを殺し、素材に変える。いくらフロッギーが目が悪いからと言って、数メートルしか離れていない場合、その姿ははっきりと見えている。あと少し遅ければ今度はフロッギーから攻撃を受けていたはずだ。


「ここはダンジョンだぞ。心配なら配信でもするんだな。そうすりゃ少しは抑止力になる」


 親切心でそれだけ言うと足早にその場を離れる。いやあ、最後の最後でトラブルか。きっついなぁ。


★★★★★

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