第一章:快適な拠点作り〜まずは木材採取です〜

 10分程歩いたところに森が広がっていた。ダンジョンの中だというのに頭上には空が広がっている。


 まぁ、そんな摩訶不思議な事はダンジョンには当たり前なのだが。


 俺はベッドフレームを作ろうと森の少し中に行き、木を見て回っているのだが、正直言って何が良いのか悪いのかさっぱりだ。


「んー、とりあえず真っすぐな木でも切っとくか!」


 そうすれば加工も楽だろう。素人判断だがここには素人しかいないのだ。仕方ない。


「それじゃあささっとねー」


 森にはウルフやトレントなどのモンスターが多い。そいつらに嗅ぎ付けられる前にさっさと事を終わらせたい。


 ブレスレッド真ん中にある玉を触り起動させる。このブレスレッドはただのブレスレッドではない。中に無数の糸が仕込まれており、それを操ることによってモンスターを仕留めたり拘束することが出来るのだ。


 高校の時に見つけたこのブレスレッド、最初は生糸みたいに柔らかかったが、真ん中にある玉にモンスターの核を吸収させ続けた結果、鉄線よりも硬い糸となっている。今は集中すれば50本は動かすことが出来る。動き回りながらだとその半分位になるが。


 木を切り落とすくらいなら数秒もあれば十分だ。と、思っていました。


「あああああああ」


 俺の目の前には大漁のトレントが。木材をゲットしようと木を切ったら、次の瞬間にはトレントが大量に目の前に現れたのだ。


 何故だ! 俺はただ楽に木材が欲しかっただけなのに! 結局トレントを倒して木材を得るしか無くなってしまった。トレントくらいなら何体居ても問題ないけど! ないけど!


「面倒くせぇぇぇぇ」


 糸を使ってトレントを切断していくがどんどん現れるトレントに思わず叫んだ。


「くそ、簡易魔法でも覚えておけばよかった!」


 座学がどうしても嫌で魔法と言う選択肢を最初から捨てていたがトレントの弱点は炎。火の一つ出せたら一網打尽に出来たのに。


 まぁブレスレッドがあるだけ有難いというものか。


 枝を鞭のようにしならせて襲い掛かってくるトレントの攻撃を避け、ブレスレッドの糸で切断していく。避ける場所が無くなればトレントの巨大な体を使って飛び回った。こんなデカいのに密集してるから飛び回り放題だ。


 俺が飛んだ場所を鉄線で切断する。そうすればその巨体はまるで紙切れのように切れ崩れ落ちた。


 それを繰り返すこと数分、大量にいたトレントは全て木材へと変貌を遂げていた。


「ふぅ、生きてる時はあんなデカいのにドロップするのは半分以下になるの、どうにかして欲しいよなぁ」


 まぁ大漁にゲットしたしベッドフレームを作っても余るだろう。


「次はスライムゼリーかぁ。思ったより時間が掛かったし、一旦帰るかぁ」


 ダンジョン産のポーチに収納する。このポーチは下層のダンジョンボスを倒すとゲットできる拡張機能のあるポーチだ。見た目は財布とか携帯とかそう言った小物しか入らないが実際は1畳~2畳くらいの大きさはある。時間経過が違うのか生モノも腐りにくい優れモノだ。更に奥のダンジョンボスを倒すと完全に鮮度を保ったままだと言う噂もあるが、眉唾だな。

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