ダンジョンニートになろうとしたら、家族が付いてきた件

果報は寝て待つ

【プロローグ】俺はニートに!なる!!!

 この日、俺は温めていた計画を実行することにした。


 俺の名は秋原 誠、24歳。大学を卒業してから今までブラック企業で働いていたのだが、つい先日首を切られた。理由は良く分からんが、社長が変わったのが原因の1つだろうと思っている。まあそんなことはどうでも良い。会社に勤めて3年、計画を温め始めてから2年、身を削って少しずつ計画を進めてきた。


 俺は今日! この日をもって!


「ダンジョンに住むぞ!!!!」


 誰もいない部屋で一人、拳を突き上げる。


「手紙よーし! 一週間分の食料よーし! テントとその他の装備! よーし!」

 携帯は置いていく。学生時代はネサフや動画、音楽など大変お世話になったものだが、今となってはいつ着信が鳴るか分からない恐ろしい呪物と化している。これも全て、あんのクソ会社と取引先の馬鹿どもの所為だ!!!


「もう働きたくない働きたくない働きたくない働きたくない……俺はニートになるんだ!!! 誰が働くかっ!! クソがっ!」


 世間様から見たら禄でもない発言だろう。だがこれは俺の夢なのだ。希望なのだ。誰にも邪魔させない!


 熱い思いを胸に俺は家を出た。家族には手紙を置いてるから放ってくれるだろう。場所が場所だからもしかしたら死んだと思われるかもしれないが、まぁそれもある程度仕方ない。俺の気持ちが落ち着いてもしかしたら家に戻ることもあるかもしれないから、その時にでも生存を報告したらいいだろう。


「さぁ! 出発だ!」


 目的地は電車で揺られて一時間の場所にあるダンジョンのセーフエリアの一つだ。勿論場所を発見してから少しずつ物資を揃えてはいるのである程度快適になってはいるだろう。


 セーフエリアとはモンスターが一切現れない、来ない謎空間だ。そのお陰で探索者は安心して泊りがけで探索することが出来るのだが。


 まぁ人気なダンジョンやエリアは人が途切れることを知らないから住むには不向きなのだ。その点、俺が見つけたエリアは人が入った形跡も出た形跡もない真っ新なエリア。良く見つけられたものだと自分でも思う。


 少しでも時間があると物資を置きに行ったが一度も盗まれたことはないから、未だに発見されていないのだろう。暫くはテント暮らしだが、セーフエリアの近くに森のダンジョンがあったから、余裕が出来ればDIYしてみるのも悪くないかもしれない。


 でもやっぱり飽きるまでのんびりするんだー! とこれからの未来に想いを馳せながら電車に揺られる事1時間。目的のダンジョンにたどり着いた。


 受付に探索者証を出し中に入る。一応身近なものになったとは言え命の危険があるのは変わらない。つまり何の知識や経験がない状態で入れる訳はなく、訓練や講習を受け試験に合格しなければダンジョンに入ることすらできない。それも一番難易度の低いダンジョンに限るのだが。


 難易度の高いダンジョンに入るには経験を積み、高難易度のダンジョンに入っても問題ないと証明しなければ入れない。


 まぁこれは安全第一の日本や他の国に見られるやり方だ。ダンジョン先進国であるアメリカとかでは『死んでも国は責任を取らない』と同意書にサインをすれば直ぐに入れるらしい。まぁ向こうは学校で死ぬほどスパルタ教育を施されるらしいが。



 閑話休題。



 中に入った俺は暫くは人の居る場所に進み、今度は人一人通れる程度の狭い路地を行く。それから右、左、左、右と曲がりくねった道を歩き続け、あとはこのまま行って見つけにくい狭い通路を通れば……あれ?


「人の気配?」


 俺しか知らない筈のセーフエリアに、人の気配と声が聞こえてきた。



――

あとがき的な

 読んで下さり有難うございます!!

 プロローグは毎日更新する予定です。それ以降は不定期更新かも???

 色々と好きな要素を詰め込んでいるので、楽しんで頂けたら幸いです^^

 面白いと思って頂けたら★をお願いします……!モチベに繋がります><

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