第六話 覚醒1

 華憐には、後で覚悟決めるからそれまで待ってくれと頼んだ。手を出したわけだしそれなりに責任は取らないとなとか考えていたら、総督室の前までついた。朝、テレパシーで総督室に来てくれと頼まれたからだ。


 こんこんこん


「失礼します」


 職員室に入るときの妙な緊張感があるな、とか考えていたら


「待っていたよ。」


 オフィユカスさんが膝を組んでそれを机?デスク?の上においていた。たばこまで吸っていたら任侠物の敵役のボスって感じだったが、流石に吸っていなかった。


「おはよう、星野。今日ここに呼んだのはね、変身後の姿に関してなの。」


 いまいちよくわからん。


「あっちからしてみれば、君は今行方不明な訳でしょ。まだ、出されていないだけでそのうち捜索届けも出されるはずなんだよ。だからさ…」


 オフィユカスさんが顔を乗り出して言う。


「君には死んだ人になって欲しいんだ!」


 ………


「現実的にいけるんですか?」


 至極全うな意見だと自分でも思う。そういう偽装は困難を極めたはず。


「はい!」


 オフィユカスさんがマジシャンのように、机?デスク?の上に俺に似た何かを召喚し、それですねを強打した。


「こんなッ、感じでね…」


 涙眼になりながら必死に自慢しようとする総督に少し憐憫を抱いてしまった。


 オフィユカスさんが脛をさすって痛いのが治まるまで待った。


「んんッ!こんな感じで僕は死体を出せる。DNAも100%君と同じなはずだ。これを、君とサジが闘った場所に置いておく。そうすれば」


 オフィユカスさんの顔が悪く歪んだ。


「君は一人で闘いつつ、仲間を呼んだが情事だった彼らは気付かずに死んだことになる。」


 流石にこの死体は綺麗すぎるから、"汚し作業"が必要だけどね。


 そう言ったオフィユカスさんに倫理観はないのかな?と呑気に思った。


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「もう一つ。君に確認したいことがあったんだよ。ここで変身してみてくれ。」


「はい」


 変身しようとしたが、よく考えると


「あっこれ、俺だってばれますね。」


「そうだよ、よくわかったね。私が言いたいのはそれだよ。」


 アストラルは当然変身した状態で闘う。俺が他の四人裏切り者達の変身状態の服を知っているように、他の四人裏切り者達も俺の変身状態の服を知っているはずなのだ。


「だから、君の変身後の服を変えたいんだよ。少し、変身用装備を貸してくれ。」


 俺達アストラルは、変身するために腕時計を使う。


「まず、腕時計の種類を変えようか。これを変身用にできる?」


 そう言って、オフィユカスさんはROXの時計を渡してきた。


「!?!?!?」


 顔色を変えて驚いたが当然だろう。ROXと言えば、100万を優に越える高級時計ブランドなんだから。


「こんな買えませ「入隊祝いってことで私からのぷれぜんとだよ。友好の印として貰ってくれ。」


 オフィユカスさんの目からわかるよねと眼力で言われる。


「わかりました、貰います。」


 そう言って貰ったその時計に力を加える。すると、少し形が変わった。なんか、若干厨二病っぽい見た目になった。


「これも君にあげよう。」


 そう言って、オフィユカスさんは宝石の付いた指輪を渡した。


「あの、これは…」


「それは、牡羊座アリエスの星座石だよ。それに力を流してみて。」


 言われた通りに流すと


「ゴウッ!」


 と、指輪が勢いよく、全てを燃やし尽くす勢いで燃え始めた。


牡羊座アリエスの本質は活動火。全てを燃やそうとする、活力だよ。君の星座の本質は。」


 本質…か。よく考えると、俺は自分の星座に向き合ってこなかったな。


 なんとなく、指輪を時計にかざした。


『よくここまで来たな。』


 なんか、上半身が羊、下半身が魚の巨大な化け物が目の前に現れた。


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