戦隊所属グリーン担当の俺、ブルーな彼女に浮気されてたので闇堕ちします

@hydrogen1102

プロローグ アストラル

 俺、星野康一はピンチだった。


「この程度なの?」


 一人で敵組織の最高幹部に相対することになったからだ。


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 星座戦隊 アストラル、それが俺の所属するチームの名前だ。


 ある日、俺含めた仲良し幼馴染み五人が流れ星にぶつかったことが始まりだ。超流星スーパーコメットと呼ばれたそれに当たった人物は身体能力が爆発的に延び、星座にちなんだ超能力星の瞬きスターツインクルを手に入れ、星読みと呼ばれるようになった。


 星読みの中には超能力を利用する犯罪者達も居た。犯罪件数は日に日に増え続け、世界は終わったと思われたそのとき、俺らが立ち上がった。俺たちアストラルが現れてから犯罪件数は一気に落下し、治安が安定するようになった。


 そんな時、圧倒的カリスマを持った犯罪者がとある組織を作った。超新星爆発ハイパーノヴァ、それがその組織名だった。


 アストラルがハイパーノヴァと敵対してから早1ヶ月、戦いが日常になり始めたときに


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 気がついたのは偶然だった。明日のデートの下見のために訪れていた時、星読みの俺ですら錯覚かと思うような超スピードでなにかが路地裏に入っていった。


「スターチェンジ」


 ハイパーノヴァかもしれない、そう思って路地裏に入ってから変身した。


 牡羊座タウルス、それが俺に与えられた能力だ。万が一のために、通信機器をいつでも使える状態にして路地裏の奥に向かった。


 ガッ


 躱せたのは感だった。ただこのまま進むと死ぬ、そんな予感がしたから止まった。そうしたら、そのまま走っていたら頭があったであろう場所を通るような形で矢が飛んでいった。


 その矢は固いコンクリートの壁に穴を開けて突き抜けた。


「やっぱり避けちゃうわよね。」


 そう言いながら男がやってきた。


「ハイパーノヴァ最高幹部サジタリウス。行くわよ。」


 戦いが始まった。


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 俺は迷わず突っ込んだ。敵の武器は弓。それに比べておれの武器は頭にはえた角。多少なら伸ばせるが、遠距離では俺の持ち味を出せない。


 敵の残り2メートルまで近づいたとき、またもや悪寒がした。止まると、


「よく避けられるわよね」


 伸ばしていた俺の角が切れていた。痛覚が通っているはずなのに痛みを感じなかった。


「っ!?」


 これはやばい。敵を観察すると、弓の弧が鋭いのがわかった。そして、相手が近接戦にも強いと言うことが。


 俺は迷わず、通信危機で緊急招集を掛けた。俺一人で厳しくても5人集まったならこいつにかてるかもしれない。


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 ガッ


 俺はもう一度突っ込んだ。


「あなた、学ばないの?」


 そう言って目の前の男は弓で俺を切ろうとする。そこで、俺は高く飛んだ。


 牡羊座は言うまでもなく羊である。星座では下半身が魚だが、俺には、足がある。足の速さはともかく、跳躍力には誰にも負けない自信がある。


 相手は弓で俺の居た場所を切ろうとしているから対処できない。そのはずなのに


「はぁぁぁぁ」


 バキ


「グハッ」


 胸にこいつのパンチが刺さっていた。


 「ガハッ」


 そのまま吹っ飛ばされ、壁にぶつかる。そして、冒頭に戻る。


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 どれほど時間が経っただろうか。方針を時間稼ぎに転換してなおこれまでのダメージを受けている。満身創痍とも言える状態だが、仲間が到着さえすれば


「来ないわよ。」


 そんな思考を敵が遮ってきた。


「あなたのお仲間さん達は今、交尾に夢中だもの。全く気がついてないわ。」


 戦いで疲れきった頭に言葉が染み込む。レッドの奴とピンクの奴はまだ理解できるが、ブルーには俺が居るしイエローにパートナーは居なかったはず。ブルーとイエローが駆けつけるはず。


「来ないわよ。青も黄も。」


「そんなことないよ、あいつらは来るさ。」


「もう一度言うわ、来ないわよ。赤と青と黄と桃が4Pしてる最中ですもの。」


「そんなわけない!」


「なら、調べてみる?」


「は?」


 意味がわからない。


「私の星座は射手座、能力は視ること。未来だろうが遠くはなれたところだろうがね、見えるの。それでわかったって訳。」


「お前の言うことが嘘かもしれないだろ。」


「なら、実物をあなたの眼で視てくればいいわ。今頃あなたの部屋で淫れてるはずよ。私はあなたを逃がすわ。してなければ、仲間を呼んでここに来ればいい。してれば、ここに逃げて来ればいい。」


 そう言って、こいつは松葉杖を俺に渡した。


「ただ、視るなら覚悟しなさい。相当えぐいことやってるわよ。」


 そう言うこいつを尻目に俺は自分の家に向かった。


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 家から3分の近所だったのですぐに戻ってこれた。一応、音が鳴らないようにドアを開ける。すると、汚い喘ぎ声が聞こえてきた。心臓が締め付けられるような思いをしながら、自分の部屋を音が鳴らないように細心の注意を払いながら向かう。


 俺がこの家の合鍵を渡したのは彼女と母親だけだ。あいつの言っていたことは本当なのか…そう思いながら、おとの聞こえる自分の部屋の前までたどり着く。ドアに耳を当てると


『おい華麗、あいつと俺どっちの方が好きなんだよ。』


『あんなッブスよりもッ!誠の方がッッ!!百倍好きァ!!!??!?』


 彼女の声だった。


「……」


 未だに事実を受け入れられない俺に更なる爆弾が投下される


『ねぇ、早く僕もぉ』


 イエローの声だった。こいつらはグルだったのだ。仲間だと思っていたのは俺だけだった。


 俺は逃げた。逃げて逃げて


「どうだったか…はあなたの顔視ればわかるわ。」


 いつの間にかあの路地裏に居た。

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新作をどうぞよろしくお願いします。♥️とフォローもしてくだされば作者が喜びます。


牡羊座のルビがタウルスなのは意図的です

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