概要
そりゃ、目を合わさないのは基本だよな。可愛くても悪霊かもしんないし
俺の家は代々“見える家系”で死ぬほど幽霊に囲まれて生きてきたし、幼い頃から幽霊と生者の区別がつかないほどで慣れてはいる。
だが……いま、困った事になっている。
毎朝、俺の隣に座ってくるめちゃくちゃ可愛い幽霊が現れた。
なぜ幽霊だとわかるか?ってそりゃ、ガラガラの電車なのにわざわざ隣に座り、電車を降りても隣を歩いて着いてくるのだ。
学校に着くと幽霊は俺の背中を見つめ、校舎に入れば去っていく。毎朝の日課が1ヶ月続けば、もう左右の腕に数珠を2つずつつける始末。
(怖い、可愛い、怖い、可愛い……、いや、普通に怖いわ!)
目を合わせないのは基本。
可愛くても悪霊かもしんないし。
徹底無視と数珠が俺を守ってくれるはずなのに……。
「ふふっ。なんだか恋人みたい……ぁっ」
「…………」
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