神送りの夜(改稿中)

作者 千石杏香

280

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★★★ Excellent!!!

二回読みました
読むと海辺の街の風景がパッと浮かんで、潮のかおりと冬の冷たい風が感じられる
田舎の閉塞感と、街の重苦しく怪しげな雰囲気
先が気になって一気に読んでしまった
モデルの地域は山陰のあの辺りかなーと思いながら読んでました

映像化希望!

★★★ Excellent!!!

 民俗学や歴史学の考証に裏打ちされた、奥深い謎解きホラー。この「ホラー・ミステリー」部門にぴったりな作品。
 日本を代表する折口信夫や柳田邦夫など、実在する人々が残した物を巧く利用し、また、医学、神社の知識なども詰め込まれていて、重厚な世界観が広がっている。
 たった一人の家族だった父親を亡くした主人公は、故郷の海沿いの町にある叔父の家に引き取られる。故郷の記憶の中には、あるはずのない奇妙な神社が存在していた。何故、人々の記憶に神社が無くなっているのか? そこに祭られていた神とは何だったのか? 片目を失っていた主人公と祀られていた神の関係は? 主人公たちは、徐々に失われた神社の謎に迫っていく。
 しかし、その謎に迫る中、主人公の周りから徐々に人が消えていく。そして主人公が引き取られた家でも何かが確実に狂っていく。主人公の協力者で、博識の男子生徒は、主人公と共に神社の謎に迫っていくが、その謎に一歩迫るたびに、自身が徐々に欠落していくという現象に襲われる。そして男子生徒の家も狂っていく。
 ある意外な人物の手引きで、失われた神社に居座るモノを送り返そうとする主人公と男子生徒だったが、そこには衝撃のラストが待っていた。
 超濃厚なホラーでありながら、あらゆる知識を動員しても追い付かない謎解き。短くはないが一気に読めてしまう。
 是非、ご一読ください。

★★★ Excellent!!!

冒頭、表面上は大きなことは何も起こっていないのですが、しかし、町と人々の様子から私たち読者はすぐさま感じ取ります、その水面下で巨大で禍々しい何かが蠢いていると。そして掴まされる「記憶にあるはずの神社が見当たらない」という謎と、それを基軸に連続する異様な事件の数々。なんだこれは、いったい何が起きている……そこまで漬かってしまったらもう後は読む手が止まらないです。結末まで一気です。

また、物語の随所で奥深くも丁寧に神道、考古学の知識で彩りと厚みが加えられ、単純なホラーでないレベルにまでこの作品を引き上げています。単に知識をひけらかすのでなく、謎解きの材料として自然に組み込まれており、作者様の力量や推して知るべしです。たぶんこの領域の引き出しの数はこんなものでは収まっていないはずです。

結末も謎に対して整理つけてクロージングしており、構成も含めて非常に質の高い作品でした。楽しませていただきました。

★★★ Excellent!!!

和風ホラーの長所とも呼べる、空気感・少しずつ迫る恐怖・暗闇などの要素が、見事に調和しています。その怖さは、まるでこの小説を読んでいる私たちにまで迫ってくるような気配すら感じてしまいます。

日本独特の身近な建物「神社」が話における重要なキーワードとなっており、次は自分がこの体験をするかもしれない……というどこか親近感が湧いてしまいそうだから、それがむしろリアルで恐ろしいです。

そして話を進める上での文字や文章の並びですら怖いという、作品独自の世界観と魅力があります。一読者として、登場人物たちと共に恐怖を体感し謎を解明したい! そんなワクワク感やドキドキ感を、一緒に共有しませんか?

★★★ Excellent!!!

「祟り」という言葉が身体の芯まで染み込んでくる気がします。こんなに怖いホラーを読んだのは何年振り…いや十何年ぶりだろう。
「本当の不安とは何が不安なのかわからないことだ」という一節はこの物語全体に当てはまります。何が起きているのかさっぱりわからない、だけど確かに何かがある。何かがいる。何かを見た…はずなのに。
その不安と焦燥感を誘導する表現力が素晴らしいです。地の文は感情を直接説明はしない、あくまでも淡々と「経験」と「行動」「思考」を書き下していくのですが、それが余計に想像力をかき立てる。

神道と民俗学に関する確かな知識が、最高レベルの文章力・構成力と融合して初めて書ける作品なのは疑いありません。

★★★ Excellent!!!

神。

それも、神社に祀られる神。

ある神社が主人公の記憶にあるのだが、知らないとされている。

ここは、ある時期に外出をすると人が消えてしまう町。

神主になると、周囲で、災いが起きるという。

定期的に死亡事故もみられる。

シャーマニズムの説があり、それにも驚かされた。

黒板のシーンも、背筋に水が流れた。

怖い、とにかく、怖い……。

今、部屋は暗い。

読まれる場合は、覚悟をなさってください。

ぜひ、ご一読を。

★★★ Excellent!!!

文章の端々から紡がれる言葉一つ一つにしっかりと意味があり、確かな筆致でホラーとしてのジャンルを描かれています。
淡々と描かれた文面からイメージが脳裏に焼き付き、どんどんと読み進めてしまいました。
物語としても読み返したくなるほどの様々な想いが交錯しています。

重厚な作品ではありますが、是非読んでみてください!!

★★★ Excellent!!!

重厚な作品。あえて書きますが、普段読書に慣れていない人には、少し難解でとっつきにくいかもしれません。気合を入れて読みましょう(笑)
特に神話の説明や神とは何であるか、といったくだりは気後れしかねません。私はそうでした(恥)

でも、そこで離れてしまうのはもったいない作品です。作者さんには大変申し訳ない話ですが、そこのところはサラッと読んでいったとしても、ストーリー上、重大な欠陥にはなりません。要は「神とは身近であり偉大である」といった印象さえ掴めればいいのです。それにそのあたりは日本人には詳しい説明はなくとも、なんとなく分かる感覚でしょう。

ホラーと言えば、幽霊や心霊現象が浮かびますが、この作品ではそれにあたるのが「神の存在」であるため、厳粛な恐怖と畏怖によって読者を物語に引き込んでいきます。


主人公の中学生美邦は父を病気で亡くし、母も幼いころに亡くしていたため、親せきに引き取られることになる。
地方の田舎町、海が近くにあり、のんびり過ごせそうに思えるが、実際は過疎化などで寂れた雰囲気と田舎特有の閉鎖的な気配が漂う。

幼いころ暮らしていたことがある美邦は、ある神社の存在を思い出す。しかし、誰に聞いても知らないと言われ途方に暮れる。
確かにある記憶、不思議な夢、幻視……。一体、自分の周りで何が起こっているのだろうか。

友人たちと共に神社探しを開始するあたりは、少年探偵団のようなワクワク感があるのですが、物語は悲劇により一転する。孤立する主人公とそれを支えるように行動を共にするクラスメイトの冬樹の存在。神経質になっていく叔母や狂っていく生徒たち。

敵対する存在が霊であるなら、除霊や神の力を借りるなど出来るが、相手はそう生易しいものではない。町全体が神に憑かれている。

この物語は「家族」の持つ温もりと閉塞感、喪失による空虚などが、テーマではないでしょうか(あくまで… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

父の死去により港町・平坂町に越して来た大原美邦。
かつてこの町に住んでいた頃の記憶。それは、存在しない神社を訪れた光景だった。
酷く靄に覆われた過去の記憶。もういるはずの無い妹の気配と、存在しないはずの姉の夢。違和感と不安を潰すように同級生「冬樹」と共に神社について調べていくうちに、次々に起こる事故、不可解な事件、そして同級生たちに降りかかる不幸が、真相を掴まなければいけないという美邦の意志を確固たるものに変化させ、大きな決断を強いる。

それぞれの生活の「息」が感じられる港町の住人達。新しい家族と生活に揺れ動く思春期を迎える少女の心情。得体の知れない者が這い寄ってくる気配。これらの描写が素晴らしい事は、最早この作品の特筆すべき点では無い。
何故なら、それらの描写を骨として構築される作品の肉の中に、あまりにも秀でている点が多すぎるからだ。
この作品を語る上で欠かせない特色として、ホラーの醍醐味のひとつとしての「説明のつかない存在の提示」がある。
10枚の心霊写真を例に出すと、そのうちの9枚がカメラの不具合や合成など、作り物であると科学的に証明された後、最後の1枚だけはどうしても説明がつかない物であった時、「これは一体何なのだ。もしかして、本当に本物じゃないのか」というありえない考えが浮かび、抵抗不可能な恐怖が訪れる。
この作品では日本史や郷土史、更には民俗学から引き出されてくる説得力を持った幾多の「鍵」によって開かれていく扉の奥に、「人智を超越した存在や事象」が浮き彫りになっていく次元の高い恐怖が込められている。
そしてそれは、主人公である「美邦」の持つ身体的特徴による演出に起因するものでもあり、目に見えているのが幻覚なのか、それともどうしても説明のつかない存在なのか、どちらか解らない不安が随所に盛り込まれ、そこにはただ異形の恐怖を突き出されるだけでは決して味わえない、芳… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

怖すぎて中断しましたが、再開後、あっという間に読了しました。

凄かったです。

ネタばれると困るので、「読んでみてください」としか言えません。
30万字超の大作ですが、文字数で敬遠するのは勿体ないです。

(一回目のレビュー)
第九章小雪IIまで読んでの感想です。

日本的なゾクゾクする怖さを好む方に、おすすめしたい作品です。

一気に読もうと思い、実際、端正な文章と謎解きの面白さでどんどん読み進んだのですが。読み進むにつれ怖さも増してきて、今、あまりの怖さに、第九章小雪IIで中断したところです。怖い!!

人によって恐怖感は異なると思うのですが、私はこの作品、本当に怖いと思いました。結末を読んでいませんが、この迫力に★3つです。

(思うままにレビューを綴り終わった後、「怖」の字をカウントしたら7個も!)